マーケティングトレース 日常編④
「ポケポケ」におけるマーケティングトレース
本noteでは、株式会社ポケモンによってリリースされた「Pokémon trading card game Pocket(以下ポケポケ)」におけるマーケティングトレースを行う。ポケポケは「ポケモンカード」を手軽にコレクションできるアプリで、リリース前の事前登録者数が全世界で600万人を超えたほか、リリースから25日間で3800万回以上もダウンロードされ、その売上高は約1億100万ドル(約156億円)にも上っている。この裏にはどのようなマーケティング戦略があるのかについて考察する。
「ポケポケ」に関するリサーチ
ポケポケには大きく分けて、「ポケモンカードのコレクション」と「バトル」の2つの機能(≒遊び方)がある。
まず1つ目の「ポケモンカードのコレクション」に関しては、拡張パックの開封やゲットチャレンジ(他のプレイヤーが開封したパックからカードをゲットできる機能)によって得られるポケモンカードを収集するものである。集めたカードでコレクションファイルやコレクションボードを作成する事ができ、さらにそれらを他のプレイヤーと共有することもできる。
次に2つ目の「バトル」に関しては、集めたカードでデッキを作成し、そのデッキでバトルを行うというものである。1つのデッキは20枚のカードから成り立っており、世界中のプレイヤーとバトルを楽しむことができるほか、一人用のモードでじっくりと遊ぶことも可能になっている。
考えられるマーケティング戦略
リサーチの結果から考えられる戦略として、「カードゲームにおけるハードルを出来るだけ下げる」という事を行っているのではないかと考えられる。そもそも、トレーディングカードゲームが持つハードルとして「デッキを組むためのカードの収集が大変」「対戦相手がいない」などのようなものがあると考えられる。これらのハードルに対して、ポケポケは上手く対応していると言える。
まず「デッキを組むためのカードの収集が大変」というものに関しては、1日2パックまで無料で開封出来るようにしている点や、一定格率で欲しいカードを手に入れることが出来るゲットチャレンジによってある程度カバーしていると言える。またバトルするために必要となるデッキに関しても、20枚という少ない枚数で作成することが出来る。これに対して、紙媒体のポケモンカードゲームのデッキでは60枚となっており、ポケポケにおいてはデッキの作成が容易になっていることが分かる。
次に「対戦相手がいない」というものに関しては、インターネット対戦のシステムがあることによって解決されている。対戦するためのリアルな環境と相手プレイヤーの存在が必要である紙媒体のカードゲームに対して、ポケポケは世界中のプレイヤーとスマホ一台で気軽に対戦を行うことが出来る。対戦に関しても、次にすべき事の表示やプレイできるカードの可視化など、システムによるサポートがあるため安心して遊ぶことが出来る。
このように障害を出来るだけ取り除き、カードゲームの世界に飛び込みやすい環境を作り出したことがポケポケの強みになったと言える。
また、ポケポケでは「カードゲームにおけるハードルを下げようとする試みが見られる」という事についてバトルに焦点を当ててここまで説明してきたが、そもそも公式サイトにおいてポケポケは以下のように説明されている。
このような記述から、おそらく運営側の意図としてポケポケの主軸はコレクションであり、バトルはあくまでも二次的なものであると言える。「必ずしもバトルで勝つことが目的ではない」という事も、ポケポケがそのユーザー数を増加させている一因となっているのではないかと考えた。
ポケモンGOとはどんな違い?
トレースを終えての感想など
今回はポケポケに関するマーケティングトレースを行った。ポケポケのヒットによって、紙媒体のポケモンカードもその売り上げを伸ばしていくのではないかと感じた。
参考文献
トップページ| 『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』公式サイト
「ポケモン」新スマホゲーム、「ポケモンGO」上回る滑り出し-分析 - Bloomberg