「念のため」「丁寧なコミュニケーション」って割と有害な時もあるのよね
様々な災害が起こるたび
『「安全」と「安心」は別物で、その間を繋ぐものは「丁寧なコミュニケーション」が万能』であるかのように語られてきたものの。
東電原発事故からの教訓として、『「丁寧なコミュニケーション」にもリスクがある』ことを知見として考えなければならないと思う。
「丁寧なコミュニケーション」によってどんな不利益が起こるか。
それは、大きく上げると下記の2点。
・時間とコストがかかり過ぎる。
・不必要な不安に過大対応することで別のリスクを上昇させる
・時間とコストがかかり過ぎる
高度な知識技能を持つ人材をかかりきりに個別の不安に対処することは、莫大な人的物的リソースと時間を浪費する。「それでもやるに越したことはない」は「ゼロリスク志向」と同じ。
「時間がかかり過ぎる」は「ケアが間に合わないケースが増える」ことにも繋がる。
・不必要な不安に過大対応することで別のリスクを上昇させる
前述のように「時間がかかり過ぎる」ことで「ケアされる少数」と「ケアされないままの多数」が生まれる。
これは、たとえれば「飢饉発生時に有機無農薬栽培素材を小さな鍋でコトコト煮込む料理にこだわって多数の餓死者を出す」ような状況
不必要な不安に過大に対応することのリスクは、実例も無数にある。 たとえばALPS処理水。「丁寧な説明」「不安への寄り添い」に過剰に配慮した結果、「処理途上の水が地上のタンクに大量に保管されている状況」が生み出されている。 このタンクは1基あたり億単位のコストがかかる上、耐震性も弱い。
膨大なタンクとそのリスクは地元復興の障害になる。
使用後のタンクは放射性廃棄物として処分しなくてはならなくなる。処理水保管タンクの保全作業中には、タンクから墜落しての殉職者も出た。
これらのリスクとコストは、安全が確保されたものを安全な基準でさっさと処分できていれば低減できた。
また、
「丁寧な説明」が通用するのは、それを理解しようとする人達だけ。
ネットで良く見る画像のように「バカに判り易い説明を尽くしたところで、そもそもバカは説明を聞いていない」挙句、散々したでに出る「丁寧さ」に対し「お客様根性」を発揮し、つけあがりナメてくる。
さらに、そういう馬鹿を煽動して政局や工作に利用する活動家や反社会的勢力は確信的にやっているので、「丁寧な説明」など邪魔であり、最初から相手にしない。
詐欺師に「詐欺はいけません」と啓蒙したところで無駄なのと一緒。下に挙げた例でもわかるように、正しい情報や丁寧な説明など、確信的な加害者にとっては「邪魔」以外の何物でもないのです。「トリチウムのイラストに顔が書いてあった!!!!」なんてのは、難癖付けて「情報発信に深刻な問題がある」かのように喧伝する印象操作ですから。実際、修正して顔を消したからといって情報拡散なんて一切しなかったでしょ?
挙句、散々配慮され「寄り添われて」きたバカは、その配慮なんて全く気付かず「危険で処分出来ないから仕方なく地上で保管していたのに、どうしようも無くなったから結局海に流してなかったことにしようとしている」と言って更なる風評加害を繰り返す。
こんな本末転倒。
結局、ALPS処理水の件で「丁寧なコミュニケーション」が生み出したものは
ザックリ挙げると
デメリット
・復興の遅れ
・地元へのリスク押し付け
・莫大な追加コスト
・追加の放射性廃棄物
得られたもの
・他人事の連中が何一つ学ばず他人事でいる権利
・活動家の餌
・更なる風評と偏見
同様のことが、甲状腺検査問題にも言える。
すでに国連科学委員会(UNSCEAR)が「東電原発事故による被曝影響で健康被害が出ることは考えにくく、今後も結論が覆る可能性は極めて低い」としているにもかかわらず、「安心のため」と称して検査は続く。
しかし、それは福島の子供達に深刻な害を及ぼす。
この問題は「福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか(髙野徹、緑川早苗、大津留晶、菊池誠、児玉一八)」
「東電福島原発事故自己調査報告(細野豪志)」「東京電力福島第一原発事故から10年の知見(服部美咲)」、読売、産経、月刊正論などを中心に問題提起されている。
甲状腺がんは被曝の影響がなくとも元々存在するが、これが検査によって見つかることで多くの不利益が生じる。
この問題は、
「がんと診断された子供たちが反原発の人や甲状腺を研究する人の議論の種にされ、彼ら彼女らの主義主張を正当化するため利用されている」のが実情。その結果、何の罪もない福島の子供達が政局や活動羽化の矢面に立たされたり、不要な不安や手術を抱えさせられたりする状況になっている。
これが、「念のため」「丁寧なコミュニケーション」とばかりにゼロリスク志向に陥った結果もたらされている害。
更に『「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か 』に収録された月刊正論連載「震災関連死の闇を問う」で言及したが
「東電原発事故では被曝そのものでの健康被害も死者もゼロだが、健康被害と震災関連死が激増した」原因は、ゼロリスク志向と不安煽動
結論をまとめると
・「ゼロリスク志向」は別のリスクを跳ね上げる。
・「丁寧なコミュニケーション」も「ゼロリスク志向」の一種。
・無論、全否定するものではなく量の概念。
・「避難にもリスクがある」ように「コミュニケーションにもリスクがある」
・相対評価無き「念のため」は免罪符にならない
これを何度も何度も訴えてきたのが、渡辺康平福島県議会議員。「風評加害」に触れつつ、毅然とした対処を県知事に求めている。さらに、甲状腺検査の問題も指摘し続けている。 対する内堀知事の、この「暖簾に腕押し力」よ。
渡辺議員の発言がどういう状況に裏付けされているか。
それは、先日の東京新聞報道・朝日新聞報道にも如実に現れていた。
IAEAの査察報告どころか、その存在すら隠し「危険」であるかのような印象操作報道。まさに「風評加害」であり、被災地を苦しめ活動家を利する報道。https://gendai.media/articles/-/100659
朝日新聞も、莫大な論文の積み重ねで得られた国連科学委員会(UNSCEAR)報告書と、それに異議を唱えつつもまともな論文一つ無い連中の主張を等価であるかのように報道した。
地動説と天動説を並べて「両論併記」するかのような姿勢で、典型的な嘘を付かずに煙に巻く風評加害報道
科学的か非科学的か 原発事故被曝の影響めぐり割れる見解:朝日新聞デジタル
先ほど挙げた『「正しさ」の商人』では、
【マスメディアが「加害」に加担する構図】として
紛らわしいタイトルをつけて誤読や誤解を多発させる
事実の中にいくつかの「勘違い」(故意でないことを装った間違い)を混ぜ込む
数値の意味や相場観を伝えないまま「過去と比較して◯倍」などと見せることで危険性を強調し不安を煽る
全く別の意味を持った数値や単位を混同させてリスク判断を誤らせる
明暗が分かれている状況で「暗」ばかりに執拗にスポットを当ててポジティブな情報を伝えない
無根拠なオカルトや少数派のエキセントリックな主張を、根拠の裏付けある定説や多数の民意と等価であるかのように並べて「両論併記」などと正当化する
過去に決着がついている結論を無視したり、終わったはずの議論を蒸し返したりする
全体から見れば特殊な意見を持つ住民をあたかも代表的当事者であるかのように繰り返し使う
一部の不安や主観ばかり過度に強調する一方、それらを払拭する客観的事実は伝えない
などを典型的手法として挙げてきた。
今回の東京新聞と朝日新聞報道も、これらの手法に合致する。
これら科学と迷信を等価に並べる悪しき両論併記や不安煽動こそ、震災関連死増加の背景にある大きな要因。 これは、特異な被曝があったチョルノービリでさえメンタルヘルスこそ地域保健の最大の問題とされた2006WHO報告書から強く示唆されている。
まさに「フェイクニュースはメディアが発生源」と言える事態だが、最近発足したばかりの日本ファクトチェックセンターは、発足に関わる記事で
《 ファクトチェック対象は基本的にはSNSなどで配信されている情報とし、「正確で厳格な報道機関は対象外」としている。その理由について運営委員会事務局長を務める吉田奨氏は、「報道機関はそもそも自身で事実を確認して報道することが使命であり、そこは報道機関自身に委ねる」という 》
との発言が報じられていた。
@fact_check_jp
このようなメディア発のフェイクニュースに対し、同団体が今後どう動くかを注視していく。
「動け…!日本ファクトチェックセンター!日本ファクトチェックセンター!何故動かん!?」(死亡フラグ)
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