【母が嫌い】 私は母が嫌いだ。 それを明確に自覚したのは、彼女を介護し始めてからだ。 母の人格自体が私には受け入れがたいことは、これまでの50年以上にわたる経験則で理解していたはず。ところが、介護という密な接触によって、嫌いだという感情をはっきりと認識させられたのだった。 私にとって母は、接していて楽しい人ではない。自分のことを話すばかりで、人の話はまったく聞かない。自分の考えに間違いはなく、誤った考えをするのはあくまでも他人。あらゆることが自分中心で、自分のためにしか行
居間に戻って、アオイとテレビを見始めた。 「おじいちゃん、何を持ってるの?」 アオイに言われて初めて、自分が何かを握っていたことに気づいた。 「見せてよ」 手渡したそれを見て、アオイが驚いている。 それは、40年以上も前のぼくの名刺だ。「岸本伸介」と書かれた右横に、小さな顔写真がついている。 「へえ! おじいちゃんってイケメンだったんだね!」 「イケメンってなんだ?」 「かっこいい顔してるってこと。聞いたことない?」 薄汚れて角もなくなった名刺を、アオイはぼくの手に返してよこ
あの人の名前を思い出そうとしている。ここ何週間か。 20代のある日。わたしはこんな詩を書いた。 今朝は少し遅刻したみたい 上司に声をかけられて 気まずそうな笑いを浮かべるあなた 少し上司と話したあと 視線を上げると 朝の陽ざしが目に入ったのか 右手を額にかざすあなた そのしぐさが眩しくて 心臓がどきっと音を立てた わたしが「あなた」と書いた人。 わたしは彼の名前を思い出そうとしている。 初めて「あなた」を見たのは大学4年生の、きっと夏だ。ミンミン蝉の声
川崎フロンターレ推しです。 FROカフェで売っている、ふろん太とカブレラのドーナツです! カブレラの頭がちょいと欠けちゃいました<~~;> 蕪なので、本来は葉っぱ部分ですね。
【ワークスペース】 2021年12月21日、新しく建て替えられたJR横浜タワーにできた会員制ワークスペースを契約した。なんとこの行動が、仕事を辞めてこころが不安定になっていたわたしを、見事に救ってくれた。 電話をかけてきたデザイナーの友人に「いま、ワークスペースにいる」と言ったら、「仕事を辞めたのに、ワークスペースでなにをするの?」と聞かれ、「職探し」と答えたら笑われたけど、そんなことはまったく気にならない。 だって、ワークスペースにいると気分が高揚するから。まだまだ働けてい