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不妊治療や流産はオープンにしたほうが楽になれる

 先日、学生時代の友人と久しぶりに会うことができ、妊娠・出産の話をしていたところ、衝撃を受けたので書き留めておこうと思います。


私以外、子連れで再会したあの日

 彼女と前回会ったのは、2年ほど前。友人グループのうちの1人が出産し、久々に集まろうというお誘いがありました。

 当時、不妊治療真っ只中だった私は返事を迷っていました。何せ、私以外は全員子持ちになったので、妊娠・出産・育児の話になったら私は置いてけぼりになることが目に見えていたのです。

 しかし、ちょうどそのタイミングで妊娠検査薬が初めて陽性になりました。そうとなれば問題ない、と喜んで参加の返事をしたのですが、結局、集まる前に超初期の段階で流産となってしまいました。

 適当な理由をつけて断ろうかとも考えましたが、1か月ほど先の予定でまだ時間があったこと、コロナ流行も落ち着いてきて久々に会える機会だったことから、そこまでしなくても良いかなと楽観的に構えてしまったのです。

 当日、私はすぐに後悔しました。
 出産した友人宅へ伺ったので、当然生まれたお子さんはいると分かっていたのですが、予想外に他の友人も皆、子連れで来ていたのです。

 私も母となった今振り返れば、他の友人の子もまだ乳児だったので、母乳やらの都合で連れて来ることも然るべきと思えます。しかし、当時はそんな知識もなく、しかも不妊治療中で流産後で、友人たちにはそれを話していませんでした。

 子ども関連の話で盛り上がる友人たち。かわいい子どもたち。母と子の温かな交わり。私にもそれ以外の話題を振ってくれる気遣い……。
 すべてが、そのときの私には当てつけのように感じられてしまいました。

 特に、冒頭の友人は私と同時期に結婚していました。比べるものでないと思いつつ、なぜ彼女には普通に子がいて、私にはまだいないのだろうと考えてしまいます。そして、そんな風に嫉妬している自分にまたうんざりして、どうしてこんなに私だけ不幸なんだろうと悲観して、その日は楽しめないまま終わってしまいました。

隣の芝生が青く見えただけ

 以来、私はその友人グループの集まりには参加していませんでした。友人たちも何となく察してくれていたのかもしれません。2人めの出産報告などは連絡を貰って返信をしていたので、かろうじて縁は切れずに月日が経ち、ついに私も子を授かることができました。

 さて、出産報告はどうしたものかと悩みました。連絡することはイコール、子持ちになったから私も仲間に戻して、という身勝手なアピールになる気がしたのです。

 でも、報告しないでいて偶然誰かから聞いたらそれはそれで失礼かと、結局連絡を入れることにしました。友人たちは皆優しく、祝福の返事をくれました。

 また会いたい、と率先して日取りを決めてくれたのが、冒頭の友人です。決まった日には急遽来れなくなってしまったのですが、後日、彼女だけ別で訪ねてきてくれました。

 ひとしきり話をしたところで、遠慮がちに「不妊治療とか、してた?」と聞かれたので、病院へ2年ほど通っていたことや流産を経験したことを明かしました。友人は、あの日よく来てくれたね、と言って、続けて自身の過去を打ち明けてくれました。

「私も2回流産したから、妊婦さんや子連れの人見るの、辛かったんだよね」

 その言葉を聞いた瞬間、私はなんて視野が狭かったんだろうと、頭を殴られたような気持ちになりました。

 彼女は何のトラブルもなく母になったんだと思い込み、それを妬んでいた過去の自分は、何も分かっていませんでした。超初期の1回でも辛かった流産を2度も、しかも手術が必要な段階で……。それがどれほど辛いことか、想像するだけでも吐き気がします。

 隣の芝生は青いと言いますが、まさにその通り。知らなかっただけで、彼女も苦難を乗り越えていたのです。

不妊治療や流産はオープンにしたほうが楽になれる

 私が学んだことは、不妊治療や流産のことをもっと話しても大丈夫だということです。

 もし私が早く話していれば、彼女ももっと早く打ち明けてくれていたでしょうから、長い間勝手に勘違いして苦しむことはありませんでした。
 実際、不妊治療を受けていたと話してくれた別の友人には打ち明けたことがあるのですが、妊娠するまで通った病院を教えてくれて、結果的に私もその病院で授かることができたりもしています。

 もちろん、話しづらい・話したくない気持ちもあるかと思いますし、相手の反応によっては余計に傷ついてしまう可能性もゼロではないかもしれません。

 しかし、今回のように意外と身近にも、辛い思いをしてようやく出産に至った人がいることもあります。孤独で先の見えない中、共感し合える存在は心強いものです。

 今、行き詰まってどうしようもなく苦しんでいる方がこれを読んでくださっているなら、参考にしていただけたらと思います。どうか話すことであなたの心が軽くなりように。

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