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STRAVAで出会ったドイツ人と友達になった話

きっかけは2024年4月

STRAVAの山梨自転車クラブというグループの掲示板にとあるドイツ人からこんな投稿があった。「甲府の大学で2ヶ月間研究を行う。その間サイクリングを楽しみたいので、ロードバイクを買ったりレンタルしたりできるお店を紹介して欲しい」という内容だった。もし逆の立場だったら右も左も分からない異国の地で、誰かにショップを教えて欲しいだろうし、一緒にサイクリングをできたらと思う。誰もコメントしている様子はなかったので、彼にいくつかのショップを連絡した。メッセージをやり取りする中、自然な流れで今度一緒に走ろうとなった。

彼の名前はモーリス
身長186cmと大きいイメージがあるドイツ人にぴったりなサイズ感
中身は謙虚で紳士。そして彼のSTRAVAのログから、ロードバイクを心から楽しんでるように感じたのが好印象だったので連絡をとった。

走るとなれば、地元民の私がルートを作るのが当たりまえだろう。外国から日本に来た人がどんな道を走って、どんな場所へ訪れたら楽しいか?それを軸に考え、お寺でお参りした後に、古民家カフェで小休憩という、和をメインテーマに据えた。

甲府をスタートして身延方面へ平坦基調を走っていく。メンバーは私、仲間2人、モーリスの合計4人だ。会話は拙い英語だが何とかなってる。多分。
「餡子食べたことある?」とモーリスに聞いた。ご当地和菓子みのぶまんじゅうを食べようと思いついたからだ。彼は「餡子って何?!、でも食べてみたい」と言ったので寄ることに。そんな前向きなところも好印象だった。

甘じょっぱいのが特徴。もちもちした皮も美味しい。
4人でモグモグタイム

ここまで50km。小腹も空いて美味しく食べた。外国人なので心配だった餡子もイケる口らしい。モチモチした皮と甘じょっぱい餡が美味しく、それでいて70円と安い。補給をしたところで身延山久遠寺に向かう。境内へと向かう道は最大20%超の激坂だ。富士ヒルのフロントシングル46T仕様そのままで登った。キツかった笑

手水舎で手を洗う経験も初めてだ

激坂を登った後、お寺の名物である283段の石階段を見たり、手水舎で清めたり、お参りしたり….私は何度も経験済みなことだが、モーリスにとっては初めて。異文化に触れて刺激を感じて欲しかったのだ。彼が終始楽しそうであったので、グループ全体が明るかった。

それから早川町赤沢宿へ移動。ここにも2km 勾配10%ほど続く激坂がある。ドイツは平野で、坂が少ないらしい。だから、あそこキツかったな~~って帰ってから思い出すだろう(笑) そんな坂だ。

登った先にはとっておきのご褒美がある。古民家カフェの清水屋さん。映画「君の名は。」でヒロインの宮水 三葉が住んでいる家のよう。周囲を森に囲まれた地で、ここの2階から見る景色と吹き抜ける風が最高なのだ。しかし、敢えて写真は載せない。なぜなら皆に訪れて欲しいから。

高身長で何とも絵になる男だ。こんな風に生まれたかった(笑)

しばらく休憩して、がっつりお腹が空いたので昼食をとることに。赤沢宿を下り、すぐ近くに南アルプスプラザというお店がある。初訪問だったが、これが当たりだった。

▲白鳳味噌ダレからあげと生姜醤油からあげの定食
ボリューム満点で、お肉もタレも美味い。こんな田舎にいい店を発見した。モーリスも「美味しい!美味しい!!」と慣れない箸を使って食べていた。

満腹になったところで、甲府までは休憩なく高速巡行で戻ってきた。コンビニでアイスコーヒーを飲みながら談笑し、この日は解散した。


それからモーリスとは予定が合わず、走ることが暫く無かった。彼は他にどこがオススメか?と私にDMしてきた。登りたいみたいだったし、既に日中の気温は30℃を越えていたので、長野の名所である乗鞍と霧ヶ峰を推薦した。するとその週末には松本へ輪行で向かい、そこから自走で乗鞍を2本も登っていた。140kmで4250m Upだ。私の想像以上にクレイジーガイだった(笑) その数日後も霧ヶ峰や昇仙峡、クリスタルラインなど山ばかり走っていた。



モーリスからライドの誘いがあった。

内容は、AM3:30にスタートして御坂峠旧道の頂上から日の出を見て、そこから富士スバルラインを5合目まで登る。更に本栖湖まで走り、河口湖まで戻ってくるというアドベンチャーライドだった。「途中から参加でもいいよ」とモーリスは言ったが、私も富士ヒルを終えて新しい自分を発見するようなライドがしたいと思っていたので、夜中から走ることに決めた。

AM3:30、辺りは真っ暗だ。車で河口湖の公園まで向かいモーリスと合流、、とその前に公園のベンチに携帯電話が落ちてて交番に届けるなどした。
スタートして、いきなり峠を登る。前日に行われていたツール・ド・フランスの個人タイムトライアルステージの話で盛り上がった。モーリスもポガチャルが好きだそう。誰が優勝するかなー?とか話した。サイクリストは万国共通だな笑

周囲が少し明るくなってきたAM4:30。日の出まではだいぶ早かった。ウィンドブレイカーを着て、談笑していたら空がピンク色になってきた。しかし、位置関係的に太陽が見えなかった(失笑)  二人とも気にせず楽しい時間を過ごした。富士山と河口湖と空を眺めているだけで満たされていた。

御坂峠を下って、河口湖のコンビニで朝ごはんを補給した。
スバルラインに向かう途中、モーリスの後輪がパンク。何か踏んだみたい。電動ポンプをもっていたので、すぐに予備のチューブへと交換した。3kmほど走っているとまたパンク。今度はチューブのバルブの根元からだ。リムテープがへたっていて、これでは何度やっても無駄。私のチューブをあげて、リムテープとの間にコンビニで買ったパンの袋を千切ってかませた。すると無事に空気圧が上がり、最後までもった。よかったよかった

スバルラインを登っている時は、私の富士ヒルの話をしていた。「ここで千切れて一人旅、そしたら後ろからプロトンが来て。5倍で走ってても置いて行かれた」など。「日本にもスゴイクライマーがいるんだ!」と言われた。

登頂したらモーリスが売店でドイツへのお土産を吟味していた。富士山の写真がプリントされたポストカードを10枚以上買っていて、きっと向こうのサイクリスト仲間と思い出話に花を咲かせるんだろうなあと想像した。自分も知らない土地へ行って、見たことがない景色・食べたことのないご飯・感じたことのない何かを求めたい、そんな風に思った。彼の自分のスケールを自分で決めない生き方が私に刺激を与えてくれたのだ。

その後、スバルラインを下って本栖湖へと向かった。日本札の裏に描かれている富士山だよと教えたり、富士山が噴火して出来たのがここら辺の湖なんだと話したり。何がモーリスの心に残るかは分からないけれど、楽しんでほしいと思って色々会話をした。

本栖湖をぐるりと1周するのは初めてで、湖畔沿いはかなりくねくね道で楽しいコースだった。自分の感情が動いた道はしっかり記憶をしておいて、次の誰かと走る時に役立てるようにしておく。Photo スポットも重要。

西湖の通りながら河口湖に戻ってくる走り慣れた道。最後に刺激をいれようと先頭でパワーを出して走った。モーリスも私のスイッチが変わったことにすぐ気が付き、後ろでしっかりついてきている雰囲気を感じる。あっという間にスタート地点付近まで帰ってきて、二人とも汗だくだ。自転車に乗っていると本当に色んな感情が沸き出てくる。


モーリスと走ったのは2回。しかし、今後もふとしたタイミングで思い出す気がする。そしてSTRAVAにドイツを走るログがアップされる度に、私はKudos♥ を押すだろう。

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