⑩痒みの話
朝仕事行く前に「あ〜痒いな」と思ったら左右の足の皮膚が赤くボコボコに浮腫む感じで盛り上がってきたので
「うわ〜!膨疹とかいうやつじゃん?!生まれてはじめての蕁麻疹かもしれん!」
とボコボコした足の写真を撮りながら昨日から今までの食事のことを振り返った。外食はしなかったしいつも通りの肉と野菜とかで、食物のアレルギーが思いつかなかった。写真は診察することになったときかなり有効なので皮膚の状態が変わったらぜひ写真をとるようにしてみてほしい。
痒みのことを『掻痒感』と呼ぶ。「掻(か)きたい痒い感じ」とまさにそんな感じだ。身をって体験している。蚊に刺されくらいでしかしつこい掻痒感を感じたことがなかったので動揺していた。痒み侮れなさすぎる。
これから仕事に行かなくてはならないのに、そんな掻痒感のある膨疹にかまってられない。しかし痒いに抗えない。気づくと手が、足に移動して掻いている。
皮膚を掻くと刺激になってさらに掻痒感は増していく。とりあえずレスタミンの軟膏でも塗りたくりたい。今まで痒みを感じたことがなかったのでそんな薬は家にない。おわった。
痒みに完全に心が囚われてしまい、仕事も行きたくない。それに手足の皮膚はブツブツしているし看護師という仕事は半袖で行うことがほとんどなのでみえてしまう。掻痒感日常生活に支障をきたしすぎている。
汗疹だったり、アレルギーだったり、さまざまな理由で入院中に掻痒感を訴える患者さんの対応をすることがある。疼痛と違い、掻痒感は蔑ろにされやすく、掻いて出血してから声がかかったり、不眠になって話を聞くと掻痒感があることがわかったりする。そういう厄介で、放っておくとQOLを下げるような症状でもあるんだ(ろくろを回すポーズ)
しかしここまでアツく語っておいて、まだまだ掻痒感に対して初心者だったので仕事に向かった。まぁ治るだろうと思っていた。
病棟についてから目を擦っていることに気づき鏡を見ると瞼が腫れていたので「あ、ダメなやつなのでは」と診察を入れてもらった。そのまま何かあったら診療してもらえるのが、病院で働くことのメリットだなと瞼で目が開かなくなりながら受診した。