TPUタグの実験-CPSの限界?
TPUで実現したいもの(?)形(?)があり、日々(正確には飛び飛びで)鍛錬しています。その形とは、表現しずらいのですが、きっと文字にしたら、ヤモリの指、でしょうか。
そもそもは、通信制大学の陶芸科にご一緒した仲間の作品、そこにこめた思い”抱擁”からインスピレーションを得た作品を作っていました。しかしながら、ブリッジ形状のため、また、TPUを使用しているため苦戦しています。
ということで、ひとつのピースだけを取り出してテストすることとしました。単にテストしても面白くないので、ケーブルタイとすることとしました。結果として、ケーブルタイとしては短く、紛失したジッパータグとして使用し、タイの部分を長くすることでケーブルタイとして使うこととしました。
私の仕事の一部は6Gに関するところであり、6Gの目標にCPS(サイバーフィジカルシステム)があります。私たちの住むフィジカル領域のデータがサイバー空間に通信によってもたらされ、それがサイバー空間で処理されてフィジカル空間にフィードバックされる、これによって予測された将来から新しい未来を築けたり、実際にモノ(試作など)を作らなくても済むようになります。すでに、電磁界シミュレーションや電子回路シミュレーションにより試作の回数を減らすということは当たり前になっていますので、CPSの恩恵は受けています。
今回の実験の結論としては、3D CAD+スライサだけでは不十分だったということです。マテリアルの特性が正確に反映されていませんので当然といえば当然かもしれません。CPSの限界ではなく、私の知見の不足というのが正しいかもしれません。
実験条件
使用したフィラメントはこちら。タイムセールでお安いときに購入しました。税込5,900円ですので1000円以上今よりお安い。
デザインのポイント
ヤモリの指のようなキュートな形状にこだわりました。そこからケーブルに巻き付ける部分が自然と伸びるような形にしました。
ケーブルタイを一度ケーブルに止められる形状にすることによって、取り外しの時にケーブルから外れ落ちることを妨げます。ジグザグ構造は、ストッパーとしての役割(硬さ)とプリントした時にでっぱり同士がくっつかないようにするのとを避けるための苦肉の策の構造です。実は、何度か試作してこの形状に落ち着きました。
スライス
スライスにおいて何度かトライしたのは、射出幅の調整です。ブリッジ構造となっており、TPUのためにサポートが立てられないので、射出幅を広げることで安定させようと思ったのです。
最外周の射出幅を0.8mm,0.6mm,0.45mm(デフォルト)としました。
リトラクションはまだ条件出し前だったので、以前のまま(EDOさんにご教授いただいたまま)の設定です。
プリント結果
上から見た感じはいずれもよさそうです。
下から見たところです。
射出幅0.8mmの時です。一番奥にあるのが、すこし扁平部分が広い感じがしますが、特に問題ないでしょう。
次に,0.6mmのものです。途中でたるんでいます。やはり射出幅が狭くなったからなのでしょうか?
射出幅0.4mmのものです。こちらが最良です。よい順に、0.4mm,0.8mm,0.6mmとなりました。考察のしようがありません。
実験屋としては考察をしないわけにはいきません。
考察
スライスの様子を眺めてみることにしました。上部から見ると内部の様子がわかります。下部から見るとブリッジの様子がわかります。さらに、各レイヤごとに見てみることにしました。
結果として違いは判らず、です。
ということで納得はいきませんが、最外周の射出幅としては0.4mmを採用することとします。
こちらが実際にプリントしたものです。(RepRapper TPU)
一度このようにケーブル1本を結わえます。これにより、ケーブルタイを外した時にも落ちることはありません。
こちらがケーブルを実際に結わえたところです。実は長さが中途半端のため、一度まくだけでは長すぎ、2度まくほどの長さがありません。
よって、設計上で長さを伸ばしました。
黒いTPUも導入しましたが、黒はケーブルと同化してしまうので私はぱっと見でケーブルタイが見つけられる色を好みます。
Modelをこちらにアップしておきますので、ご興味がありましたらダウンロードしてご利用ください。