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女子中高生向けのSTEAM教育 ~CPSを3Dプリントで体験してみる!Part2
2021年夏、遊びに行きたいのにいけない、いけない、いけない、が続き何か新しいことに挑戦しよう!と3Dプリンタを購入しました。
実はGWに光造形式プリンタを購入していました、が、使い勝手や作れるものの制約を考えてFFF方式を新たに導入しました。
その後、毎日実験をしています。こんな面白いものを独り占めするのはもったいない、という気持ちを持っています。
また、リケジョを増やしたい!という思いで、女子向けSTEAM教育に関与したいなと思っていました。いろんな方に、やりません?と話をし続けてきて、今回主催いただいた大学のダイバーシティー推進センターの先生に、是非!と言っていただき、STEAM教育開催の運びとなりました。今回、第2回となります。先生、アシスタントの皆様、ダイバーシティー推進センターの皆様に感謝!です。
ちなみに、私が大学生の時には、学科の女子率は4/200=2%でした。現在は10%程度ということですので、5倍になったということになります。それでもまだまだだなと。小さいときからモノ作りの楽しさを知ってもらうというのが重要かなと思っているため、STEAM教育に携わりたいと思っていました。
結果、18名の女子中高生の方が参加してくれました。一緒に企画を盛り上げてくださった、大学生の皆様、サポートしてくださった事務局の方々に感謝!そして約半日、頭をフル稼働してくれた中高生の皆さんに感謝!です。
詳細なとりまとめは別にあります。
当日のルールは以下の通り。
初めにデッサンをする。寸法も書き入れる
色は1色まで
造形寸法は$${120mm^3}$$(サポート最小の方向で並べる、がルールなのですが、引き出しを作りたい人、蓋があるデザインは$${120mm^3}$$に収まらず、最大$${180mm^3}$$まで許してしまいました。)
また、当日全体に向けて説明したのは、スケッチ、押し出し、回転といった基本機能のみです。全員、初めて3D CAD(Fusion360)を使うため、視点の切り替えなどこれらの機能を使いこなす以外にも注意点が必要だったりしたためです。
Fusion360上での設計は参加者の方が自ら取り組まれ、そのあとのスライス、プリントはこちらで担当しました。
前回の反省点を生かしていくつか改善しました。
作りたいものの難易度に合わせてアシスタントを割り振る
実現困難なものは初めの時点でデザインの変更をお願いする
大きなものは事前に伝えて寸法を変更する。大きな作品が多いとプリントに時間を要するため、前回は0.6mmノズルを使用していましたが、やはり仕上がりがあまり美しくありません。よって、今回はすべて0.4mmノズルを使用することとし、大きさを制限しました。
デッサンに寸法が入っていないものは、CAD入力前に寸法をデッサンに書き込んでデザインを確定させる。
休憩時間をとる。根を詰めてしまう作業であるため4時間座りっぱなしにならないようにした。
今回は、事前にデッサンを提出していただいていました。Formを使わないと実現できないデザインや、実質の設計時間3.5時間の範囲で設計しきれない複雑なデザインがあることを事前に認識しました。
前回の反省として、”自分の作りたいものを作れる範囲で作る”ことができるアシスタントの方が、必ずしも他人の作りたいものを実現できるわけではない、ということがわかっていました。中高生の参加者が作りたいというものを実現する手助けができないことでアシスタントの方がつらい思いをされたということで、難易度の高いモデルは経験豊富なアシスタントの方に担当してもらうこととしました。アシスタントの方々は自身が担当される方のデザインをどのように実現するのかを、それぞれが予習してきてくれました。本当に皆さんの頑張りに頭が下がります。
デザインの難易度や、Formなど特殊機能を用いて設計する必要があるものの判断は事前にチーフアシスタントの方がやってくれました。マップにしていただけたので、非常にわかりやすかったです。
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目的と試験方法、使用材料
使用条件と使用したフィラメントはこちらです。
目的:将来の女性エンジニアを育てる!
実験環境:
3Dプリンタ PrusaMini+、Snapmaker J1
ノズル:PrusaMini+ 604 Kaika(0.4mm)
交換時期:2022年9月24日
ノズル Snapmaker J1 0.4mm
交換時期:2022年12月10日
フィラメント: Overture PLAを中心にいろいろ
1. Aさん 作品名:コーン
スケッチ&Fusion360での設計
指輪のホルダーだそうです。シンプルな作りです。アシスタントの方の指輪を借りて、サイズが正しいかを確認されていました。重要なことだと思います。手数も少ないです。デッサンにはほぼ必要な情報が含まれています。(不足するのは、底の厚みとコーンの厚み)。必要な情報がすべて入れられたら完璧だったと思います。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートは着きません。中身が詰まっていますが、重みをもたせて安定させたいという意図がなければ中身を抜いたほうがフィラメントが無駄になりません。
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プリントした作品
艶白の指定でしたので、PETGでプリントしました。機能性が高い素材ですが(PLAより高温に耐える)この用途にはあまり意味がなさそうです。基本機能のみで仕上げた形となりました。きれいに仕上がったと思います。
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総括
作りたい形が実現できたのではないでしょうか。一方で、時間もたっぷりありましたので精一杯手を動かして形にバリエーションをつけてもらうなど試行錯誤してもらうとよかったかなとおもいます。
プリント時間:0:59
フィラメント使用量:9.4g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
2.Bさん 作品名:Rの筒
スケッチ&Fusion360での設計
ペン立てのようです。上部と下部の形を変えることにこだわっていました。回転を活用してうまくデザインされていると思います。デッサンの意図では、ペン立ての側面にRの文字を入れたかったのではないかと思いました。一方で設計された状態では、Rが平面のためペン立ての側面に接着しても取りつきません。よって、側面にRの文字を浮き上がらせるようにこちらで設計変更しました。デッサンに寸法が入っていませんでした。特に使うものですので大きさを意識することは重要です。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートもつかない形です。Rの文字は何かに使ってもらうかもしれませんのでプリントするようにしました。
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プリントした作品
下部を丸くし、上部を切り立てた形とされています。底面がきちんと確保されていますので、少し危うい感じがしますが立ちます。ペンがたくさん入るとバランスを崩す可能性があります。使用するものは、使えることにこだわったほうが良いと思いますが、こういったものは何度か作り直すことで作りたい形と使える形のバランスをとれるのだと思います。
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総括
細かいところまで気を配りながら、最後まで手を動かして試行錯誤し、作りたいものが実現できたのではないかと思います。是非またチャレンジしてもらえると嬉しいです。
プリント時間:3:07
フィラメント使用量:39g
サポートの必要性: なし
設計変更: あり
3. Cさん 作品名:キャラクター
スケッチ&Fusion360での設計
ぬいぐるみのような有機的な形にチャレンジされました。説明にないForm機能を用いたデザインです。アシスタントの方の手助けもあり実現されました。プリント方向を考えると、サポートが付く部分があれますので足(下部)をしたほうが良いかと思います。そうした時に、ループがそのままついていると、壊れやすいということで、別体でプリントすることとしました。アシスタントの方が気を利かせてくれました。説明にはなかったのですが、積層方向の強度は弱くなりがちです。なので、ループは寝かせてプリントするのが良いのです。本体とループのプリント方向が異なるので別体化する、という判断です。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。本体とループは上記の理由で別にプリントしています。本体、ループともに丸みがありますのでサポートとラフトをつけています。できるだけ作品がきれいにプリントされるようにという配慮によります。
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プリントした作品
プリントした2つのパーツはアクリサンデーという接着剤で接着しています。多少の表面の荒れは、フィラメントが湿気を帯びていたことによるものかもしれません。使用前に乾燥させているつもりですが、乾燥が足りなかったかもしれません。こういう作品は、もう少し細いノズルを使うなり、積層ピッチ(高さ方向の分解能)を下げるときれいになりそうです。
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総括
左右の対称性をとりながら作品をデザインされています。思い通りの形に仕上がっていると嬉しいです。このような有機的な形は結構難しいものです。Form機能は粘土をこねるように作品を作り出すもので、設計とは異なる領域にあります。アシスタントの方には、手を出さないように説明、アシストいただきました。次回は、設計っぽい作りの者にも挑戦してもらいたいです!
プリント時間:1:23
フィラメント使用量:14g
サポートの必要性: あり
設計変更: なし
4. Dさん 作品名:ミッキーの筒
スケッチ&Fusion360での設計
始めは非常に複雑な形をデッサンされてきました。時間が限られていますので変更をお願いしました。そして出来上がった次の作品案が、ミッキーマウスの小物入れです。(小物入れというには大きいですが)
こちらも、Form機能を使用して作られています。
短時間で設計されていますし、履歴から様々な機能を使っていることがわかります。完成度の高い作品だと思います。
元のデザインのデッサンにはきっちりと寸法が入っていました。厚み(側面、底面)も入っているとよいと思います。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。大きな作品ですのでプリントに時間を要します。サポートは不要です。大きな作品で、フラットな面(水平方向)の面積が大きいので、インフィル(内部の支え)も細かくしておかないと平面が凸凹します。筒状の部分はインフィルを減らすことで、プリント時間を短縮しましたがそれでもこれだけの時間を要しました。壁の厚みも通常3周持たせるのですが、それほど強度が必要なものでもないと思いますので2周に減らしました。
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プリントした作品
底部のインフィルは増やしましたので、それほどあれることもなくプリントできました。耳も頭にきちんと食い込ませており、それが外から見えないぎりぎりのところに抑えているように見えます。よく設計されていると思います。
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総括
もともと作りたいと思われていたものは時間内に実現が難しいことをお伝えし、別のデザインで設計されました。初めの朝鮮にも関わらず、非常に完成度の高い作品になっていると思います。今回はFormを使って形作られましたが、次回は押し出しと回転など設計要素を多くとりこんだ設計っぽいデザインにも挑戦してもらえればと思います。
プリント時間:11:43
フィラメント使用量:125.5g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
5. Eさん 作品名:ボール
スケッチ&Fusion360での設計
クリスマスのオーナメントのようです。履歴を拝見すると苦労の跡が見られます。シンプルなようで実現が難しいデザインです。サッカーボールを作りたいということでしたが、5角形を均等に配置するアイデアが私にも浮かびませんでした。かなりの試行錯誤の上で実現されていました。
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ほかの方でもコメントしましたが、ループを一体化するとループの強度が弱くなる(積層方向の強度は弱い)ので、もともとのデザイン(一体型)とべったいにしたものの2通りでプリントすることとしました。別体とするときには、ループが沈んでいるのと少し余裕を持たせたくぼみを本体につけます。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。本体内部にはサポートが付きます。内部なので表面に出ることはありません。フィラメントが無駄になりますし、実はサポートのほうがプリント時間が長いというのが難点ですが。
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プリントした作品
小さいながら、意図を反映できたのではないでしょうか。接着するときの目安のしるしがあったはずですが、デッサンになかったのでこちらの都合で組み合わせました。もう一組(ループが一体のもの)ありますので、意図通りに接着してもらうとよいと思います。
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総括
最後までサッカーボールの実現にこだわって手を動かされていました。小さな作品ですがCAD上で実現するには難易度の高い作品です。粘りづよくあきらめることも集中力が切れることもなく続けられていて素晴らしいと思いました。
プリント時間:3:03(一つならその半分)
フィラメント使用量:24.23g(1つならその半分)
サポートの必要性: あり。サポートのほうがプリント時間が長い。
設計変更: なし(ループの強度に少々不安が残ります)
6. Fさん 作品名:カヌレ
スケッチ&Fusion360での設計
カヌレを作られたようです。こちらもForm機能により作られました。端正な形になっています。Formでの作業の詳細は履歴に残りませんのでどれだけの試行錯誤があったかはわかりません。Formとサーフェスの機能を使ってデザインされています。デッサンに寸法が入っていないので、想定通りかどうかはわかりません。デッサンが実物大であれば、すべて倍寸近くになっている(容積として8倍!)かもしれません。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートは着かない構造です。一方で、サイズが大きく中が詰まっているのでプリントに時間を要します。インフィル(内部の支え)はそれほど必要ありませんが、上面付近はインフィルがないと表面が荒れたりしますのでプリント時間が短くなるように工夫を凝らしています。それでも5時間近くのプリント時間となりました。
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プリントした作品
マット白が指定でした。実はこの作品は4回プリントしています。普通にスライスするとプリント時間が長くなるのでスライサをいじると、インフィルを減らし過ぎて上面が凸凹したり、底面の一部がはがれたりと問題が起きました。用途が決まっているもの以外はもう少しサイズを小さくしてもよかったと思います。
総括
Form機能を用いて美しい作品を作られたと思います。Formは慣れるまで使いこなしが難しいと思います。オブジェとするならもう少し小さくてもよかったのではないかと思いますが、Formは大きさをつかみにくいので大きさがコントロールしきれなかったかもしれません。デッサンにも寸法が入っていませんでした。今後は、デッサン上で大きさを定義してもらえればと思います。また、新たな形状や機能を用いた設計に挑戦してもらえればと思います。
プリント時間:4:46
フィラメント使用量:94.5g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
7. Gさん 作品名:星のオーナメント
スケッチ&Fusion360での設計
星をFormを使ってデザインされていました。あらかじめアシスタントの方が予習をされてきていました。実は、星はラフト機能を使うと簡単に設計できるのですが説明していなかったので試行錯誤して設計されたようです。時間があったので飾りも作られたようですね。最後まで手を動かし続けるというのは重要と思います。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートは着きません。クリアなのでPETGでプリントします。
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プリントした作品
プリントした結果は美しい作品なったと思います。ただし、角がとがっているのが気になります。PLAと比較して硬い(折れにくい)ので、刺さりそうな感じがします。欠けないようにするためにもこういったところへの配慮が必要なのです。
総括
いくつもの技法を用いて作られた作品です。残った時間に小作品を作られています。時間に余裕があったらこれらを組み合わせられる工夫があってもよいかもしれません。そういった相談が、作品を作りながらアシスタントの方とできる企画になるとよいなと思いました。
プリント時間:3:52
フィラメント使用量:44.5g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
8. Hさん 作品名:星のチャーム
スケッチ&Fusion360での設計
こちらの方も星をデザインされています。星の上にはループがあります。この方向のループは一体プリントできます。Form、回転など複数の機能を駆使されています。デッサン上はループは星の上に乗っかっていましたがこれだとすぐに外れてしまいますのでCAD上での設計ではループを本体に深く組み合わせる構造にしました。これにより強度は確保できましたが、ループの中に先端が深く入っているのでひもなどを通した時に引っ掛かりそうです。また、先端がとがっているので危ない印象を与えます。そういうところにも配慮をしてもらえるとよいと思います。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。プリントの失敗の可能性が低いことが見て取れます。中身が詰まっていますので、インフィルのプリント時間が長いです。立体化して2つに分けてプリントする、あとで接着するタイプでもよかったかもしれません。(その場合、中身をできるだけスカスカにする)
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プリントした作品
予想通り、問題なくプリントできました。ループもしっかりしています。あとで接着しないこの構造をとったのは、強度の面、美しさの面で正解かもしれません。
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総括
小さい作品ながら、Form、回転、押し出しなど複数の手法にチャレンジされました。試行錯誤の上で実現された作品だと思います。次回はさらに複雑な形にチャレンジしてください。
プリント時間:0:30
フィラメント使用量:5.4g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
9. Iさん 作品名:階段
スケッチ&Fusion360での設計
フィギュアを載せる、階段状の飾り棚だそうです。寸法もすべてきっちりと入れられていました。初めてということですが、サクッとデザインされていました。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。大きいので時間を要します。上面をきれいにするためにはインフィルの割合を上げる必要があり、そうするとプリント時間を要します。プリントの向きを90°傾け、上面の面積を小さくしました。プリントはクリアタイプのフィラメントを用いますので、フィラメントの密度を途中で変更するとそれが表面に現れます。よって、インフィル率を一定としています。透明度の低いフィラメントであればインフィルを上面付近のみ密度を上げることで印刷時間を減らすことができたと思います。
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プリントした作品
色以外は想定通りのものができたのではないでしょうか?
クリアタイプのフィラメントですので内部の構造が透けて見えます。完全に透明なのを期待していたかもしれませんが、かなりの時間をかけてプリントしないと内部まで透明にすることは難しいです。
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総括
きっちりと寸法を決めたデッサンがそのまま実現されたのではないでしょうか。すぐに設計を完了され、そのあとはずっと別のものを設計されていました。早く終わる方には別の課題があってもよいかもしれません。
プリント時間:7:32
フィラメント使用量:152.6g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
10. Jさん 作品名:イニシャル
スケッチ&Fusion360での設計
ペン立てだそうです。円筒の中にAの文字が入っています。こういうデザインで見落としがちなのが、Aが筒とつながっているように作ることです。底面でつながったとしても側面が離れているとAと底面の接続部の強度が下がります。デッサンではそこまでこだわるひつようがあります。何度も試行錯誤しながら設計されたことが履歴から読み取れます。
デッサンからは立体的な情報が読み取りにくいです。例えば、文字の太さや円筒の厚み、底の厚みなど。そういった数値もあらかじめ決めておくとよいと思います。CAD入力しながら悩むところはその外側にあります。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートは着かないデザインです。大きいためにこれだけプリント時間を要します。
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プリントした作品
デッサンよりダイナミックな感じに仕上がったのではないでしょうか?デザインがシンプルなだけに細かいところに配慮する必要があります。
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総括
シンプルなデザインですが、細部まで含めて設計に反映されました。アシスタントの方が細かいところまで指導されていたようです、お疲れ様です。CADでは失敗しても履歴機能で戻ることができます。(Formは別)次回は失敗してもよいのでご自身の手で作り上げられると喜びもひとしおだと思います。
プリント時間:9:56
フィラメント使用量:139.7g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
11. Kさん 作品名:ハートの箱
スケッチ&Fusion360での設計
ハート形の容器です。ペン立てによさそうです。デッサンでは底面とふたに複雑な模様が入っていましたが、最終的にはシンプルなデザインになりました。作りたいもの(意図)をあらかじめはっきりさせる、優先事項を決める、それを文字化する、ということが大切かもしれません。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。サポートもつかない形状ですが、サイズが大きいため時間を要します。底面(容器の内側)をきれいに仕上げるためにはインフィルを15%程度確保する必要があります。立ち上がっている部分のインフィルを減らしてもこれだけの時間を要します。
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プリントした作品
設計通りの作品になったと思います。左右が微妙に非対称というのもよいと思います。
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総括
初めのデッサンとは大きく異なりますし、シンプルな割にはプリントに時間を要しましたが、設計通りの作品が仕上がったのではないでしょうか?決まった時間内(3時間ほど)で設計を完了するための、優先順位(どうしても表現したいものと諦められるもの)をあらかじめ決めておく必要があると思います。そういう意味では、このレベルのワークショップの参加者は中学生以上ということになるのでしょう。
プリント時間:7:05
フィラメント使用量:103.3g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
12. Lさん 作品名:猫のコップ
スケッチ&Fusion360での設計
小物入れでしょうか。使用するフィラメントは食器にも使用可能なものを選択していますが、層の隙間などに食品残渣が入り込み衛生上問題を持つ可能性がありますので、食器としての使用は控えていただくようにお願いしました。それであっても元のデザインを実現したいとのことで、デッサン通りのものを設計することにしました。
デッサン上は顔のパーツの大きさなど確定できていませんが、CADへの反映ではよくデザインされています。蓋には猫の耳が付き、本体には猫の顔がデザインされています。すべてFormを使わず基本機能だけで実現しています。
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レンダリングするとこんな感じです。
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ひげや目がかなり飛び出た格好となっています。もしかしたらこうしたかったのかもしれません。ひげや目が円筒から同じ高さで引き出されています。押し出しの際に、開始を面にするとこのようになります。
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操作はこんな感じです。(押し出しで実現しています)
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実は、エンボスを使ったほうがよさそうです。先日、てるえもんさんのYoutubeにとても参考になる情報を見つけました。実力アップを目指したい方、是非ご覧ください。
Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。目などのパーツが飛び出している分、サポートが付きます。また、蓋のキーの部分にもサポートが付きます。とはいえ、サポートに要する時間もフィラメントも大したことはないです。
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プリントした作品
おもいどおりに仕上がっていると嬉しいです。蓋のサポート部分は目に触れないので良いですが、特にひげのサポートを外すときにはひげが一緒に外れるのでは?とちょっと怖かったです。細いパーツはあまり飛び出さない形にした方が良いと思います。今回は、作者の方が設計されたデザインでプリントしました。
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総括
最後まで粘り強く作りたいものを実現するために頑張っていたと思います。基本的な手法を組み合わせながら、作りたいものを実現する、というのは今回の目標でもあったわけで、理想的な取り組みをされたのではないかと思います。
ノズル径:0.6mm
プリント時間:4:00
フィラメント使用量:51.6g
サポートの必要性: あり
設計変更: なし
13. Mさん 作品名:木のタワー
スケッチ&Fusion360での設計
アクセサリーホルダーだと思います。デッサンが最も綿密にできていた方の一人です。枝の角度や長さまで配慮されているとよかったとは思います。
デッサンをCAD上の設計にうつすにあたり、サポートが付かない角度は?と質問されたので45°以上あれば大丈夫と回答したところ、それを考慮されたようです。素晴らしいです。アクセサリーを掛ける部分をもう少し長くしたほうがよかった気がします。こういう実用的なものは、何度か作り直したりして最終解にたどり着くものです。艶白を希望されましたのでPETGでプリントすることとしました。履歴を見ても、試行錯誤の末の作品であることがわかります。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。インフィルをもう少し増やしてもよかったかもしれません。
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プリントした作品
湿度を管理した環境でフィラメントを保管していましたが糸引きがみられます。また、下部の上面が少しぼこぼこして少し焦げがついているっぽいのが気になります。インフィルをもう少し増やせばよかったかもしれません。こういう作品はPLA素材のほうが適しているかもしれません。思った通りの出来栄えになっていたら嬉しいです。
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総括
軸と面が接する部分の面取りをしたりと、細かいところまで気を配れたと思います。デッサンの時点ではわからなかったものが実物を手にすると気が付くところもあると思います。もしかしたら、ネックレスをかけるには枝の向きが分散されていたほうが良かった、枝の是非今後も続けていただきたいです。
プリント時間:2:26
フィラメント使用量:21g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
14. Nさん 作品名:きのこの箱
スケッチ&Fusion360での設計
キノコの形の小物入れのほうです。蓋のあるものは、蓋との勘合に気を配る必要がりますので、形作る以外の難しさがあります。かみ合わせのところをよい塩梅で設計できたのではないでしょうか?設計には基本的な機能である、押し出しと回転を用いています。シンプルながら細部にこだわった作品になったと思います。もしかしたら、CAD上で蓋をかぶせた状態でみられるとバランスを調整できたかもしれません。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。容器の部分が丸みを帯びており、平面に近い部分がありますのでサポートが付きます。PETGを使用しましたのでPLAと比較するとサポートのあった部分にざらつきができます。素材はPLAに限定したほうが良いかもしれないと思いました。
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プリントした作品
キノコのようなほっこりした形がかわいいです。クリアといいつつ、全くの透明というわけにはいきません。内部のインフィルの形が表に透けて現れます。
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総括
シンプルな機能の組み合わせと細かい配慮で素敵な作品になったのではないでしょうか。次回は新たな機能も組み合わせてできることを増やしてもらえればと思います。
プリント時間:5:09
フィラメント使用量:63.3g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
15. Oさん 作品名:二段の箱
スケッチ&Fusion360での設計
引き出しです。もともとは2段の大きなものをデッサンしていましたが、規定サイズ内(サポートを最も付けない置き方で、120mm*120mm*120mm)に収めたプリントが困難なためサイズを小さくしてもらいました。120cm角には乗らないので、特別に180cm角に載るサイズまでOKしました。履歴を見ると、基本機能と面取りの組み合わせとなっており、シンプルなデザインながら細部まで気を遣っていることがわかります。デッサンには厚みまで寸法として入っています。ここまでやれば間違いようがないです。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。大きいためプリントに時間を要します。こちらは、新たに導入したSnapmaker J1を使用しました。プリント時間を短縮するために手を尽くしましたが、ここまで短縮するのがやっとでした。
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プリントした作品
フィラメントはクリアタイプのものを選択されました。使えるものに仕上がったと思います。クリアタイプですが完全には透明になりません。(時間をかければ別ですが。きっと2日には収まらない)
インフィルパターンが外部に現れます。
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総括
シンプルながら細部まで気を配った、使える作品だと思います。次回は回転など別の機能も組み合わせて発展させられるとよいと思います。
プリント時間:11:37
フィラメント使用量:180.4g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
16. Pさん 作品名:イニシャル
スケッチ&Fusion360での設計
円筒の中に文字が浮き上がるデザインです。ペンホルダーでしょうか。最後の横棒が円筒に接していないので、華奢な印象を与えます。基本機能と面取りの組み合わせでデザインされています。デッサンに円筒の厚みや文字の幅などの情報が入っていません。初めに仕様を決めることが設計上重要です。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。大型の作品ですのでプリントに時間を要します。プリント時間短縮にトライしましたがここまでの短縮がやっとでした。
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プリントした作品
思い通りの出来上がりになったのではないでしょうか?文字の部分、円筒の断面など面取りをしているので、とがった部分がなく安心して使用することができそうです。
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総括
基本機能と面取りによる作品です。基本機能を使用して作りたいものを実現するというのは、基本でありとても重要なことです。次回は別の機能も取り入れて複雑なものに挑戦してほしいです。
プリント時間:8:32
フィラメント使用量:2.5g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
17. Qさん 作品名:パンダのタワー
スケッチ&Fusion360での設計
パンダとそれを立たせるための台です。当初はぬいぐるみのような立体的なものを考えていましたが、時間内に作成することが難しいので平面的なデザインに変更してもらいました。シンプルなデザインなので、面取りなど細かいところまで配慮されているか、左右対称を意図しているのであれば対象となるようにミラー機能を使うなどの配慮が必要です。履歴を見ると結構な手数です。慣れるともっと手数を減らすことができるようになりますが、ここまで丁寧に仕上げられたのはすごいと思います。
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CAD上の機能を用いると、実際にはめた感じ(大きさ感)なども知ることができ、調整することもできます。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。それなりの容量ありますので、時間を要します。水平方向の面積があるので、インフィルをそれなりに与えないと、表面がぼこぼこします。インフィル:直線的、15%でスライスしました。
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プリントした作品
形がシンプルなので、細部まで気を配る必要があります。それがなされているので美しく仕上がっていると思います。はめ込みもぴったりです。
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総括
難しい機能を使いこなすより、実現したい形を思い描いてそれをシンプルな機能で実現され、丁寧に仕上げられたのが良いと思います。次回は別の機能も使いこなして新しい作品を作っていただければと思います。
プリント時間:4:38
フィラメント使用量:74.2g
サポートの必要性: なし
設計変更: なし
18. Rさん 作品名:フラワータワー
スケッチ&Fusion360での設計
基本の、スケッチと押し出し機能を使ってデザインされました。すでにお持ちのものか、写真を持っていらっしゃったのでイメージ通りの設計をされたのではないかと思います。元のデッサンでは、下の部分と上の花の部分が一体だったのですが、この状態だとサポートが付きますので切り離してもらいました。茎を下の台座にはめ込む感じです。ここで一つ注意が不足していたのは、クリアランスです。ぴったりの大きさに作ってしまうとはまらないのですが、あまり大きいとグラグラしてしまいます。
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Prusaslicerによるスライス
スライス結果は以下の通り。部品を2つに分けたことでプリント時間を短縮できています。
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プリントした作品
台座に植物が伸びたデザインをサポートを立てることなく実現することができました。花びらの形も整っていてきれいです。
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総括
初めからイメージを持ち、それをデッサンで形作り、CAD入力するという流れになったと思います。穴の大きさだけは残念でしたが、こういうのは何度か試しながら大きさを決めていく(きつめがよいか、緩めがよいかなど)のだと思います。軸の太さと花の大きさなどバランスは元のデザイン(写真)とは違ってしまっているようにも思います。CADをいじりながら、自分の意図通りかを確認いただき設計変更することもできると思います。是非これからもチャレンジを続けてもらえればと思います。
プリント時間:2:11
フィラメント使用量:23.1g
サポートの必要性: なし
設計変更: あり
反省と総括
今回は、2回目の試みとして、前回の反省点を生かして進めることができました。アンケートを拝見すると、モノづくりや工学への興味を持てたという方が複数人いらっしゃり、目指しているところに少し近づけたかなと思います。
講師・アシスタントの方々のサポートと、ホスピタリティ、事務局の方々の完璧な準備とサポートのおかげだと思います。
こちらとしても、良い経験をさせていただきました。是非継続、発展させたいです。3Dプリンタ、プログラミング、動くものなど発展の方向性は様々です。
来年度以降、STEAM教育に本腰入れたくなってきました。同志で意欲的な方と、活動を広げていきたいです。
本業は、もちろん!6G・IOWN成功に向けて、動きを加速させていきます!