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自動水やりパーツをPETGでプリントする実験
ふるさと納税で可動式パッションフルーツの苗を購入しました。可動式といいつつ、プランターに複数の苗がセットされており、車輪がついているわけではないので持ち上げないと動きません。ただし、パッションフルーツは冬場の霜でお亡くなりになりますので、冬場だけでも霜をしのげるようにと購入してみました。地植えの場合には水やりにはそれほど気を使わなくてもよいのですが(いえ、自動水やり機のおせわになっていました)プランターとなるとね、ということで、自動水やりパーツをプリントすることにしました。原理としては、100均にも売っているペットボトルのキャップの代わりにはめて逆さに土にさしておく、あれ、です。3Dプリンタを持っているメリットは、材料さえあれば階に行かなくても済む、ということです。そして、デザインしようとも思いましたが、Printableを覗いてみよう!こういう時こそほかの方のデザインから勉強だ!(半分いいわけ)と思い、覗いてみました。そちらで見つけたデザインを印刷することにしました。
実験のていをなしていないのですが、先日、PETGで不可解なことが起きましたのでメモに残しておきます。いまとなっては、そっかぁ、と納得することです。
実験条件
目的:PETGで自動水やりパーツを作る実験
実験日: 2022年6月14日~6月21日
実験環境: 3Dプリンタ Prusa Mini+
ノズル:0.4mm
ノズル:0.6mm
ノズル交換時期:2022年3月25日(0.4mm)
2022年2月10日(0.6mm)
フィラメント: RepRappter PETG クリア
使用したフィラメントはこちら。使用したのはクリアですが、なぜか現在は購入できません。
デザイン
デザインはこちらからお借りしました。
100均にも売っているじゃん、と言われそうですが穴がたくさん開いているタイプではなく、その代わりにさきっぽから土が入り込みすぎないように内部に仕切りがあります。是非、オリジナルデザインをご覧ください。
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こちらのページにはプリントするためのTipsもいろいろ書いていただいてあります。まずは、それに忠実にやってみました。(つもりでした)
試行1
まずは、指示に忠実に、ということで、指示を見てみます。
初めは0.4mmノズルを使用しました。
外周スピードは25 ~ 30mm/s を推奨されています。
クーリングの閾値がある場合には、最低外周スピードを外周スピードいかにする。
ブリッジ部の冷却は100%にする
クーリングは50~75%の範囲とする
プリントは4本同時にかけておきました。プリント時間が意外と長いため、朝外出前に仕掛けておくか、寝ている間にプリントしてもらうか、いずれにしても何度も見に行かなくてもよいように、ということです。画像、醜くてすみません。
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朝出かけようとしたとき、まだプリントは終わっていなかったのですがプリントしている様子を見ると右奥のものだけなにやらおかしいことが起こっています。なにやらプリントするときにがりがり言っているのです。
同時にプリントしたほかの3本とは明らかに異なります。
この時のノズル温度は230℃でした。これまでもさんざん使用してきた温度です。
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ここで、溶けてない?ファンが強すぎ?(指示通りなのですが)ということで、温度を240℃に上げてみました。先ほどよりつやがあります。ここで、フィラメントケースの中の湿度が全く下がらない(フィラメントを交換後、シリカゲルと一緒にフィラメントケースに入れてプリントしていたのですが、35%程度から下がりません。ということで、もしかしたら湿気を吸ってる?と思いました。
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ここで、麦茶さんの最近のYoutubeを思い出しました。湿気を吸ったフィラメントは溶ける際に内部の水分が気化するための熱を余分に必要とする、すなわち湿気を吸っていない状態より高い温度でプリントする必要があると。確かに。
麦茶さんのyoutubeと前後するように(実際にはこちらのほうが2日早い)TwitterでNature3Dさんが同じことをおっしゃっていました。お二人がおっしゃるので説得力あります。ふむふむ。
フィラメントが水を取り込んでいると溶けが悪くなるのは、水が気化する分の熱量が余分に必要になるから。樹脂を溶かすだけでなく、水が水蒸気になって飛んでいく分の熱量もいるので、その分ヒーター温度を上げる必要が出てきます。
— Nature3D@フィラメント職人 (@nature3d_) June 14, 2022
ということで、フィラメントを乾燥にかけてみました。以前購入したフィラメントドライヤーを使って乾燥させることにしました。
試行2
フィラメントドライヤーを使用し5時間ほど乾燥させました。かつて(半年ほど前)5100円でpaypayフリマでみつけたので購入してみました。実際には、ドライヤーではなく加温機がただしいかな。乾燥剤を入れてやる必要がありますので。とはいえ、シリカゲルにフィラメントを浸しておくと時間がかかりそうですのでこちらを利用しました。
乾燥剤を入れる場所はありますが、もったいないので自作のシリカゲルケースをフィラメントスプールの穴につっこんでやります。(画像のものはフィラメント防湿ケース用のPLA+でプリントしたもので、実際に使用するのはPrusamentPETGでプリントしたものです)
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ご興味あればこちらからダウンロードしてくださいませ。
乾燥ののち、プリントしました。
この時、ほかのプリント物(コンテスト応募作品)が大型のため、ノズルを0.6mmに入れ替えていました。そこで、スライスを0.6mmノズルでしなおしました。
誤ってブリムもつけなかったのですが特に問題なくプリントできました。
こちらも温度は240℃としています。ノズル径を太くしたのでプリントも迅速にでき、結果的に美しく仕上がったので一石二鳥でした。
下から2cmほどの領域はペットボトルの口をねじ込むようになっているので、その部分だけ0.1mm積層となるようにしました。
結果はこちらの通りです。
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実験といいつつ、一度に乾燥とノズル径とノズル温度の条件を変えてしまったのでどちらの作用が強く出ているのかの判断ができません。若者がこのようなレポートを提出したら、即却下!でしょう。
まあ、趣味の実験でこれ以上ごみを出すのは地球によろしくないので、今回はここまでにしましょう!
0.6mmノズルでプリントした時のgcodeはこちらにあります。リミックスNGのようですので、プロジェクトファイルなど共有するすべもなく、もし興味のある方がいらっしゃればお知らせください。