失恋しても大丈夫だよ
わたしの家族はわたしに対して、異常ともいえるくらい厳しかった
今、考えると子供を置いて家を出てしまった母に似ないようにと祖父母、父は必死だったんだろうな、と想像できる
けど、実家にいた頃は本当にきつくてしんどく、辛かった
だから一刻も早く家を出たかった
ときは昭和、寿退社なんてコトバがあって、環境を変えたければ結婚が一番、穏便な方法だった
寿退社、じゃないけれどそんな時代、家を出るのに一番いい方法は結婚と思い込んでいたわたしはとにかく一刻も早く結婚したかった
ところが、だ
祖父母も両親もなぜかわたしが結婚することに対してとても否定的だった
男性とお付き合いすることもとても嫌がった
だから、思った
絶対に文句のつけようがないような人と付き合って結婚する
今、考えるとアホ丸出し幼稚な考えにも程がある
けど、当時は必死だった
そして、あるときわたしはこれは完ぺきでは!という男性と知り合った
必死も必死、一生懸命お付き合いできるように頑張って、なんとかお付き合いにこぎつけた
これで、大嫌いな家から解放される
そんな、幼稚な考えだから結局はうまくいくわけもなく、あっけなくそのお付き合いは終了
この世の終わり、地獄に落ちたような気持だった
そして案の定、死にたい死にたい死にたい死にたい、そういう毎日になった
それでも週一のいけばなの稽古の日はやってくる
わたしの親先生はほとんど、わたしのプライベートを聞かなかった
けれど、いつもいけた花を見ては色々察してくれていた
人生のどん底、絶望の淵に落ちて生きる希望もなにもない、そんな気分で臨んだ稽古
わたしがいけたはなを見て先生はひとこと
「あら~、今日はなんだかちょっと寂しいわねぇ」
そう言って
お庭に出てちょっとした小花を摘んできてわたしのいけたはなに足してくれた
その瞬間、寂しくて悲しいわたしのいけばなが
ぴかぴか~きらきら~って輝いた
本当に本当にびっくりした
そして強く感じた
わたしはダメじゃない、
ほんのちょっと手を入れたらわたしの人生は輝くんだ
植物をいけるってね、単に器に植物を挿すことじゃないんだ
こうやって生きていく希望を持たせたり、
人生って悪くないナって思ったり、
そして親先生はその道を手をつないで、手を引いて一緒に歩んでくれた
わたしは、きっと意外に幸せだったんだと思う