学校のスキー授業は負担が大きい
北海道は他府県に比べると長い小学校の冬休み(今年は25日間)が終わり、3学期が始まると多くの小学校ですぐにスキー授業が行われます。
スキー授業実施の有無や、その学習内容は各学校の判断となるため毎年議論になる学校もあるそうです。
その理由として、
①スキー授業のために取りやめた他教科の授業の埋め合わせが難しい。
②教師のスキー経験者が減り指導が難しい。
③スキーは高額な用具を必要とするスポーツで、成長の早い子どもに合わせて定期的に買い替える必要があるため、取り組むためには経済的に負担が大きい(すべての児童・生徒が冬季2~3回の授業のためにスキー用品を購入することは難しい)
③スキー場までの交通費(貸し切りバス)やリフト代などの負担も少なくはない。
④家庭の経済状況によって子どもの技術や意欲に大きな差がでてしまう。
⑤自然や天候に左右されるスポーツなので雪不足でゲレンデの整備が間に合わずスキー用品を準備してもスキー授業が出来なかった年もある。
⑥不況のあおりを受けてスキーをする人が減りスキー場が閉鎖する問題
などがあります。
※コロナでの休校措置やインフルエンザでの学級閉鎖などになる場合も…
それでも「北海道の大自然に触れられる大きな意義がある」「貴重な経験の機会」「思い出になる」など、子どもたちが楽しみにしていることを思うと『大変だからやめよう』とはならないという意見や「伝統だから」などの理由から、札幌市ではほとんどの小学校が授業を続けています。
スキー場までのバス代を市教委(スクールバス)で負担したり、サイズが小さくなったスキー用品を希望者に譲る校内バザーを開いたり、スキー未経験の教師には研修の機会を設けることや、ボランティアを募るなどスキー授業継続のための学校の工夫と努力があります。
一方で、「金銭面での負担が大きい」「危険・安全性が心配」「将来に役立たない」「子どもによって実力に差が出る」など負担に感じている保護者の声も無視はできません。
冬休み前に学校のお便りと一緒にスキースクールのチラシが数種類配られることは珍しくありません。
『冬休み集中レッスン3日コース⇒25000円~30000円』程度の料金設定が一般的。(たった3日で3万円…クラクラしちゃいます)
学校のスキー授業が始まる前に、スキースクールや各家庭で基礎(滑る・止まる・曲がる)やリフトに1人で乗れるようになっておくことを『冬休みの宿題』と位置づけ、家庭に求める学校もあります。
各家庭でゲレンデに行くには家族分のスキー用品や人数分のリフト代、用品を積み込める自家用車が必要など、一定の条件や少なくはない費用が必要となります。
授業が始まる前に経験できたかできないか、各家庭の経済状況や環境で格差が生じている現実。過度に競争力をあおり、置いていきぼりになる家庭の子が出てきてしまう側面もあります。
スキー産業が学校のスキー授業に依存している側面があるのなら大問題です。
※参考
ピンキリですがスキー用品店で多く販売されている価格帯だとジュニア用のスキー板(15000円〜20000円くらい)・靴(10000円〜15000円くらい)・ストック・ケース・ウエアー・帽子・手袋などが必要になります。
最近では中古で取り扱うお店も増えて来ましたが、娘が中学生になり大人サイズを買い揃えた時は全て中古で用意しても50000円ほどの出費となりました。
学習指導要領は「地域の特色を生かした授業を推奨し…」とあり、降雪地域の学校はスキーを積極的に取り入れるよう示されていますがあまりにも家計への負担が大きい。塾や習い事、子どもをとりまく環境や教育にお金がかかり過ぎる日本。
特に最近ではコロナ禍での収入減や、原油高騰でのガソリン代や灯油代の値上がりが家計を圧迫しています。
子どもの7人に1人が貧困とも言われている現状で、北海道も例外ではなく生活保護世帯やひとり親家庭の増加が続いている背景と、ウィンタースポーツは誰でも気軽にできるという感覚ではなくなってきている今、スキー授業のあり方を見直すべき時がきているのではないでしょうか。
余談ですが、雪国育ちだからと言ってみんなが寒さに強い子というわけではありません。極端に寒がりな子もいます。そういう子にとっては、冷たい雪の上に座って食べるお弁当は苦痛そのもの。お尻を冷やすことで体に与える影響も心配になります。
子どもの権利という観点から見ても問題はないのか?せっかくのスキー授業がキッカケでスキーや雪遊びが嫌いになってしまっては本末転倒だということも…私の体験談として追記しておきます。