これで釣果アップ! 投げカレイパーフェクトガイド 〜PartⅣ 仕掛けのヒミツ〜
約25年にわたる、失敗とチャレンジとテストを積み重ねた結果、辿り着いたのがこれからご覧頂く仕掛けとなっている。
現在は満足しているが、まだ何かのヒントがないかとアンテナを張っている(笑)
1、集魚パーツについて
カレイ釣りマニアの間でよく話題になるのが、ド派手かシンプルかという点だ。
この判断が分かれる大きな要因として、地域差と個人的な好みがあると考えられる。
【地域差】
例えばカレイが良く釣れる旬の時期に水温が低い、北東北を例にして考察してみよう。
産卵期前の11〜12月の頃は、まだ海水温が下がり切らず、フグなどエサ盗りの活性が高い状況が続く。
そこに水中で目立つカラーや動きがあり、集魚力があると思われるパーツがあれば、エサ盗りのほうが先に反応してしまうのではないだろうか?
それに対してカレイの産卵は1〜2月の厳寒期となるが、良く釣れる春シーズンは水温が1年で最も低い頃となる。
そのためエサ盗りの捕食行動が弱まることから、本命のカレイがエサを発見しやすくなり、口を使ってくれるのではないかと想像できる。
日本は縦長で、北と南では年間の平均海水温の差に開きがあるだけでなく、黒潮、対馬海流、親潮などの影響により、地域ごとに居着く魚種も違ってくる。
つまり、カレイ釣りをするエリアによって海水温が違うため、集魚パーツの効果に対する評価とイメージが分かれているのだろう。
【個人的好み】
一方で投げ釣り師の考えや好みは十人十色。
遠投大好きな人はとにかく飛距離にこだわり、筆者のようにあまり遠投力の無い人のベクトルは別方向を示す。
集魚パーツを好む人の気持ちとしては…
①とにかく魚を寄せたい
②仕掛けを自作する楽しみがある
③自作仕掛けで掛けると嬉しさが倍増する
④結果的にカレイの釣果が伸びる気がする
⑤必殺カラーに出逢った時は感激する
こんなところではないだろうか?
アンケートを取った訳ではないが、パーツ推進派である筆者の想いを記しただけかも知れない(笑)
これに対して集魚パーツのデメリットと、シンプル派の気持ちを挙げてみると…
①釣果に大差はない
②パーツはエサ盗りを呼び寄せるだけ
③エサの消耗が激しくなる
④空気抵抗で飛距離が出なくなる
⑤仕掛け作りが面倒臭いし金が掛かる
一見するとネガティブに見えるかも知れないが、全てがもっともな考えだ。
もしかすると、シンプル仕掛けとド派手仕掛けを交互に並べて、実際に釣り比べてみたとしても、釣果に大差は付かないかも知れない。
このように、集魚パーツの必要性をどう感じるかに関しては、個人的な好みの違いだけではないかと思っている。
そんなどっちつかずな話しで終わる訳にはいかないので、この先は自分の中で釣果に効果があったと確信している、オリジナル仕掛けのコンセプトを紹介しよう!
2、仕掛けの浮力について
カレイの投げ釣りでは、メインのエサとなるアオイソメを房掛けするのが一般的。
その理由としては…
①カレイにエサをアピールできる
②ボリュームを出してエサを見やすくする
③エサ盗りが居てもエサが針に残りやすい
④大きなエサには大きなカレイが来る!
こんな想いと経験が込められているのだろう。
この中で筆者が最も注目したのは①で、次の仮説に基づいたロジックを想定した。
まさに自由気ままな妄想(笑)
さっそく浮力があるパーツ選択に入った。
【流線シモリ】
まずはダイレクトに流線シモリ。
中通しのウキで、おもにサヨリのウキ釣りなどで使われている。
カラーバリエーションも豊富で、各メーカーから販売されているレッド、オレンジ、イエロー、グローなども揃えることができる。
この流線シモリは適度な浮力があるだけでなく、予め何通りかのカラーバージョンを準備しておけば、その日その時の状況に応じて効果のありそうなカラーを選択することも可能だ。
【エッグボール】
こちらはメーカー商品そのもので、微妙な浮力がありながら軟らかい感触で、口に入れたカレイに違和感を与えないだろう。
単純なカラーだけでなく、夜光、ケイムラなどのチョイスも可能で、個人的には夜光オレンジがイチオシ!
【浮力テスト】
つづいてこの2種類のパーツで仕掛けを浮かせるのだが、それをテストしてみたのがこちら…
まずは透明なケースに、自作しておいた自称「Tゾーン」を入れて並べる。
そして水を注入すると、ご覧のように水中で仕掛けが立っている!
これならカレイへのアピールは抜群!
エサ盗りへのアピールも絶大?(笑)
エダスの長さ分だけエサを浮かせて誘いを掛けられるのは一目瞭然だ。
この「Tゾーン」のテストで重要なのは、浮力だけでなく重量のあるパーツを、ハリスの結束部に組み合わせていること。
【トリプルサルカン】
まずはトリプルサルカン。
エダスを結束するベースで、パーツの浮力に負けないウエイトを選べば、これが支点となってエサが浮かぶことになる。
もしもここが軽ければ、パーツの浮力に負けて仕掛け全体が浮き上がったしまい、誘いの効果が薄れる懸念がある。
こちらにはビーズを噛ませてあるタイプを使用しているが、個人的な好みで日中は赤、夜中は夜光というパターンで使い分けている。
【熱収縮チューブ】
このトリプルサルカンの重量を利用して、垂直に近い角度で浮かせるためには、ハリスとの結束部がシッカリしていれば安定してくれるはず。
そこで試したのが熱収縮チューブ。
ドライヤーか沸騰させたヤカンから出る蒸気でチューブを収縮させ、サルカンのアイ部分に固定するイメージだ。
注意が必要なのは、熱収縮チューブがサルカンの回転を妨げないようにしておくこと。
この「Tゾーン」のオリジナリティが高いエダス作りは、オフシーズンの楽しみになっている。
この浮力がある仕掛けを実釣で試したら、確かにエサ盗りの仕業によるエサの消耗もアップしたが、反対に別の効果を確認できた。
それは根掛かりの激減だった。
針先が浮いているため、エダスが根掛かりすることはほぼ皆無となった。
これにより精魂込めて自作した仕掛けロスが軽減され、仕掛け交換のタイムロスも軽減。
ダブル交換で釣れるカレイの数も確実に増えたという実感がある。
3、針数について
市販されているカレイの投げ釣り仕掛けを見ると、そのほとんどが「吹き流しタイプ」「胴付きタイプ」の2本針だ。
そのほとんどが「単独針」✕「2本」となっているのはなぜなのだろうか?
筆者はそんなシンプルな疑問を持って針数について考えてみた。
【針数の考察】
①キス釣りから学んだこと
キス釣りトーナメントにも参戦する筆者だが、キス釣りでは多点針仕掛けが圧倒的に有利だ。
同じ時間、決められたエリアで、数や重量を競う競技だから、釣らなきゃ話しにならないのは明確。
では、カレイ仕掛けはどうだろうか?前述のように市販の仕掛けはパターンが決まっていないだろうか?
市販の仕掛けは考え抜かれた設計で良く釣れるけど、針数を含めて同じようなパターンに集約されている気がしてならない。
②フッキング率に思うこと
様々な動画などでカレイの捕食行動を見ると、エサを一気に素早く丸呑みすることから、フッキングに至る確率は高い魚だと思う。
しかし、エサ盗りの仕業なのか、カレイの食い残しなのか、全く判断が付かない時がある。
上の画像はエダスを3本針でテストした仕掛け。フッキングしていない2本の針は、エサ盗りだと思われる痕跡があた。
恐らくエサ盗りの口の中に針が入っていかないからフッキングに至らなかったと予想する。
しかし、針先の位置がエサの端付近にあれば、エサ盗りでもフッキングに至る確率がアップするのではないだろうか?
③段差仕掛けからの発展
下針を1本から2本に増やし、ハリスの長さを少しズラした「段差針仕掛け」の効果が人気を呼んだ。
それは下段側になる針先が、房掛けしたアオイソメの端あたりに来るし、単純にフッキングするポイントが2箇所に増えるからではないかと思われる。
そこで考えたのが次の仕掛けだった。
4、オリジナル仕掛けで衝撃!
これまでのコンセプトをオールインワンにした「オリジナル段差多点針仕掛け」(笑)
これをエダスと下針の両方にセットすれば、浮力がありながら、2箇所でカレイを妖しく誘いを掛けてくれるのではないか?
合計4本のフッキングポイントがあれば、釣れるカレイの数に変化が出るのではないか?
そんな目論見でさっそく試してみた。
【エサ付け】
この仕掛けにすると、針数が増える分だけエサの消費量も増大するが、集魚効果を更に増やしたいものだ。
そこで考えたのは、アオイソメの細い尻尾を切ってからキャストすること。
こうすることで切り口からエキスが流れ出し、流線シモリ&マシュマロボールの浮力に加えて、アオイソメの匂いがカレイに効いて、即効性があるのではないか?
そんな企みもあって実施。
すると…
なんと、1つの仕掛けの4本針全てに、カレイが食い付いて来た!
1投4枚の自己新記録達成に、思わず釣り場で雄叫びを上げてしまった(笑)
これはまだ海水温が低い、北東北の花見シーズンでのワンシーン。
エサ盗りの少ない時期で、カレイがの魚影が濃いポイントだからこそ実現した、偶然の産物なのか、それとも作戦がズバリと的中した成功例なのか…?
この答えは今後のさらなる実釣テストを重ねて、そのデータと釣果でチェックしてみたい。
気になる人は是非とも仕掛けを自作して、チャレンジしてみて頂きたい。
次回はカレイの時合いについて検証したデータを共有し、読者の皆さんにもジックリと考察してみて頂きたい。