【読書記録】2024年8月

9月になりました。徐々に陽は短くなってきているのに、まだまだ暑い日が多いのが気に食わないです……。


1冊目:姫野カオルコ『整形美女』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

二十歳はたち繭村甲斐子まゆむらかいこは、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根おおそねに懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子もちづきあべこも、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかに——。
美しさとは? 幸福とは? 根源を問う衝撃作。

姫野さんの小説は初めて読みました。

最初のうちは甲斐子の考え方も間違ってはいないのではないか?と思って読んでいたけど、読み進めるにつれて整形前の甲斐子が男性たちに都合良く扱われたのは見た目だけのせいではなかったんだろうな、と思いました。

整形してまで手にしたかったのが玉の輿。聡明そうに思えた甲斐子が途端に滑稽に見えました。

一方で整形で派手で美しい容姿を手にした阿倍子は、徐々に整形後の容姿に違和感や恐怖を覚え、元の自分を可能な限り取り戻そうとしています。

そこだけ切り取ると幸せになれる容姿は整形後の甲斐子(整形前の阿倍子)なのかもしれません。けれど、甲斐子の結末を見ると結局は内面が成熟していなければ望んだ幸せなど掴めないように思えました。



2冊目:倉井眉介『怪物の町』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

あかね町には人殺しがたくさんいて、至るところでしょっちゅう人が殺されている——。夜のあかねの森公園で人殺しの現場を目撃してしまった塾帰りの高校生・辻浦良太は、暗視ゴーグルをつけた謎の女性に助けられてなんとか難を逃れた。しかし彼女曰く、この町では警察が助けてくれず、通報すれば必ず報復で殺されることになるという……。妄想か、真実か。奇妙な町を舞台にした殺人物語。

倉井さんの小説も初めて読みました。

255頁なので、サクッと読めます。
ハラハラ、ドキドキ、ゾクッとしたい人にはいい本かもしれません。

あかね町に住む人たちは殺人の存在に潜在的に気づいているのに、自分が巻き込まれないように無意識にそれらを無視をしているらしい。
そんな状況を無視できないのが主人公の良太や良太を助けた「先輩」。

危険人物だと思われる人間を調べれば調べるほどに良太と先輩は知らず知らずのうちに窮地に追いやられていく。

良太と先輩には一緒に幸せになってほしかったです。


3冊目:中山七里『嗤う淑女二人』

 あらすじ(単行本帯より引用)

怨恨?愉快犯?真相は悪女のみぞ知る!
高級ホテル宴会場で17名が毒殺。犠牲者の一人、国会議員・日坂浩一は〈1〉と記された紙片を握りしめていた。防犯カメラの映像解析で、衝撃の事実が判明する。世間を震撼させた連続猟奇殺人に関与、医療刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」が映っていたのだ。そして、新たな事件が続発!犯行現場に残るのは謎の番号札と有働さゆりの痕跡。さゆりはある女・・・に指示された手段で犯行に及んでいたが、捜査本部はそのことを知る由もなく、死者は増え続ける一方だった……。

嗤う淑女シリーズの第三弾です。
こちらもとっても面白かった!!

何といっても、『連続殺人鬼カエル男』の有働さゆりが結構なメインどころで出てくるなんて熱い展開じゃないですか。
ついでに古手川くんも出てきたので嬉しかったです。

ダークヒロインものは嫌いじゃないのですが、このシリーズの警察が蒲生美智留にいいように振り回されていて、「もっと頑張れ警視庁……」と思ってしまいます。

あと何人殺されたら警察は蒲生美智留を捕まえることができるんでしょうか……。頑張れ、警察。



4冊目:早坂吝『四元館の殺人 探偵AIのリアル・ディープラーニング』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

今度の舞台は雪山の館 驚天動地の犯人、爆誕⁉
「犯罪オークションへようこそ!」犯人のAI・以相いあが電脳空間で開催した闇オークション、落札したのは従姉を殺され復讐を誓う少女⁉ 以相の企みを阻止すべく、探偵のAI・相以あいと助手のたすくが辿り着いた先は、奇妙な館、四元館よんげんかんだった。連鎖する不可思議な殺人事件。人工知能の推理が解き明かす前代未聞の「犯人」とは⁉本格ミステリの奇才が“館ミステリ”の新たなる地平を鮮烈に切り開く!

早坂さんの小説も初めましてでした。

AIや人工知能が発達した世界ではどんな不可能な殺人も可能になっちゃうんかい!!とツッコミながらも読了しました。

これはミステリと言えるのですか?こんな犯人がありなら、何でもありだわ。

どうやらシリーズ三作目みたいなのですが、前の二冊もぶっ飛んでるのかな。気になるけど、読みません。



5冊目:和田竜『村上海賊の娘<上>』

あらすじ(単行本帯より引用)

難波の海に立ちはだかるのは、戦国最強の信長軍。
和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大坂本願寺。海路からの支援を乞われた毛利家は、「海賊王」こと村上武吉を頼ろうとした。その娘、きょうは海賊働きに明け暮れ、地元では嫁のもらい手のない悍婦かんぷ醜女しこめだった……。木津川合戦の史実に基づく歴史巨編。

7月に広島を旅行しまして、その時に因島水軍城も見に行きました。それもあって瀬戸内海を舞台にしたこの『村上海賊の娘』を読みたい!と思い手に取りました。
本当は8月中に下巻まで読了したかったのですが、下巻は読了できなかったので、下巻の感想は9月の読書記録で書きたいと思います。

この小説、序章が本当に読み進められなくて……歴史小説を殆ど読まないこともあり、歴史に基づいた説明に差し掛かると教科書を読んでいるようでしんどかったです。

主人公の景が出てきてからグッと面白くなり、ズンズンと読み進めることができました。

地元周辺では醜女と思われ続けてきた景が泉州の海賊たちには美人と囃し立てられ女性として気持ちが大きくなってくるところは可愛くもあり、面白くもあり。

景を夜這いから守ろうとする七五三兵衛しめのひょうえが上巻では本当にいい男でな……。源爺のところは切なかったけど、戦の現実を景に教えた姿は実に男らしかった。

ホント上巻では断トツに好きだったんだ、七五三兵衛。

(来月更新予定の下巻の感想に続く)



おわりに

8月は5冊読了しました!

8月末に読んだ『村上海賊の娘』に意識が全部持っていかれています。
もう、めっちゃ面白かった。序章読み進められなくて3週間近く放置してたの悔やまれるくらいに。語彙力なくて上手く感想を書くことができないのが歯がゆいです。

ちなみに上巻を読んでる間、初見の単語や読めるけど意味が曖昧な単語を電子辞書で調べながら読んでいました。
歴史小説っていうのもあると思いますが、知らない日本語が多すぎてめっちゃ辞書使いました。
普段如何に前後の文脈から何となく意味を汲み取っていたのかを実感しました。

語彙力を増やすためにも、これからもわからない単語は調べながら読書しようと思いました。

最後に因島にある大浜SAから撮影した景色をどうぞ。


 綺麗な青空でした(無加工)

では、また。

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