うつ病のわかりにくさ
はじめに
うつ病の手引きとしてアマゾンのKindleで本も出してます
今回は、うつ病について、誤解されやすかったり、一般に認知されにくい要因を書いていきます。
一般人が分かる物差しがない
うつ病は、脳の異常で、詳細は解明されていません。ですから、骨折であれば、レントゲンを撮ったら判明したり、胃腸に腫瘍ができたら写真撮ったり、インフルエンザなら検査キットでどうなのか判定する材料があります。
風邪、という一見フワッとしたものも、熱やせきなど、症状からわかりやすいものがありますよね。うつ病にはこれがないんです。
一般人が、といいましたが、医学的にも、今のところアメリカ式の判定方法を使う、というマニュアルがあるだけで、脳内の何かをスキャンしたり数値で計って判定されたりしないんです。
そのうえで、うつ病って、公に告白するのはなかなかできず、親しい周囲だけになります。ですから、うつ病の人が近くにいても知らない、なんてこともあります。
また、誰しもがなりうる病ではあるものの、多くの人はなりません。風邪やインフルエンザ、骨折だと、自分自身がそうなったり、身近な人がそうなったりして知識を得られますが、うつ病はそうでもない、というのがまずもって、認知されにくく、誤解されやすいです。
少し乱暴な言い方をすれば、目で見て判断できるものがない、と言ってもいいでしょう。
誤解される歴史がある
うつ病は、脳の異常ですが、最初は「頑張りすぎて責任感の強く、断ることが苦手な人がなる」そうした心の病だ、とされてきました。つまり、性格的な特性がある、と考えられていたのですが、実はそうではなかったのです。
そうでない人も、同じように脳に異常をきたし、うつ症状に悩まされ、行動できなくなり、社会生活が困難になります。
ですが、最初に頑張りすぎる人の病気だ、と広まってしまって、それは知っているけど、実はそういう人達以外もなるし、症状や要因は様々である、という新しい知見を知らないと、誤解をしてしまうんです。
頑張りすぎるような責任感のありそうな人ではないけど、うつ病になる、そういうケースもあるんです。
頑張りすぎる人がなるうつ病を、大まかに「定型うつ病」として、そうでないものを「非定型うつ病」と呼ぶこともあります。そしてこれは、お医者さん達も、はじめは混乱していました。
お医者さんたちが混乱するくらいですから、一般庶民は当然さっぱりわからないわけです。
なってみても、どういうものか伝えられない
私はうつ病をわずらって、10年近くたっていますが、ようやく、あるていど説明できるかも、と言った塩梅なので、患者当人ですら、そうなので、どういう状態で、ただしんどいことと違うのか、説明が難しいです。
少し違うのですが、EDというのがありますよね。男性の肉体がうまく反応できず、子供を作る行為ができない、というものですね。
あらゆる行為全般に、脳の部分で行動をすることを阻害するEDとは別の何か、をもたらしているのがうつ病、だと言えば伝わるでしょうか。
つまり、本人の意思では、どうにもできない問題なんです。
少し違う例えは、ストレスで自律神経が乱れて胃が働きすぎて、胃が荒れたとしましょう。でも、それは意志では、気持ちでは、思考ではどうすることもできません。
ですが、多くのことは、ああしてみよう、こうしてみようと、人間はさも考えて行動しているように感じているため、そうした意志でどうにかできないものはあまり認識できないですし、説明が難しいんです。
走ろうと思えば走れるし、歩こうと思えば歩ける、右手を上げようと思えばあげれますよね。意志にしたがって体は多くの場合動いてくれます。もちろん、技術や筋力がないと正確にだったり持久力や力不足はあるかもしれませんが、行動自体はできます。
うつ病になった人はどちらかというと、そうした原理より、まず治療のために、心を休めるため、どうしんどいのか、そう言ったことを吐き出していくことが先になりますから、周囲の人も、うつ病は「心が苦しいんだ」という認識で止まりがちです。
そうしたことから、うつ病は、近くにいる人も結局よくわからないことがままあるのだと思います。
さいごに
だからこそ、最近ではうつ病は「脳の異常」というふうに表現されることが増えています。昔は「心の風邪」だったのですが、なりやすい性格特性があるように見えることや、風邪なら自然治癒するんじゃないかと思われそうなため、表現が変えられてきているのかもしれません。
うつ病は、遺伝的な要因、育った環境による性格によるもの、大きなストレスなどいろんなものが重なって発症します。
ですから、まず、うつ病だと診断された人は、お医者さんのお薬をしっかり飲んで、ぼーっと、ゆっくり休むことが大切です。無理して働きながら治そうとすると慢性化や重症化し、私みたいに社会復帰が困難になります。
それは本当に残念なので。
今回は、理解されにくさ、というテーマでした、こうした内容などもそえて、私の書籍では、うつ病になってしまった時の手順書を、いろいろな分野をまたいで横断して書いています。傷病手当や障害年金など社会的支援から、うつ病の治療はどんなものがあり、患者さんができること、周囲の人ができること、また、近年注目されているマインドフルネス瞑想もまとめて紹介しました。
うつ病でも、生きていきやすい、可能なら元気になれる、そんな環境が整ってほしいなと祈っています。
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