【ガンバ大阪】もはや見習うべき存在に
花火の名残に煙るパナソニックスタジアムは、まるでイタリア・セリエAのような雰囲気を醸し出していた。両軍のサポ2万2000人は、まだチャントは歌えないながらも歓声と拍手で選手たちを懸命に鼓舞。ほんの少し、本来の大阪ダービーの熱気が戻りつつあることをDAZN越しながら感じていた。
コロナ前の大阪ダービーを知る選手もめっきり少なくなった我が軍も、ただならぬ空気を察知してくれたのか、最後の最後まで死力を振り絞ってくれた。何よりも自分たちが置かれている危機的状況から脱するためにも、この大一番で結果を残したい。そんな強い気持ちを感じさせてくれた。
しかし執念や情熱ではどうしようもないほどの実力差が現実としてある。5月の長居ラウンドに続く敗戦。これでリーグ戦だけでも大阪ダービーは7試合続けて勝てずにいる(2分5敗)。セレッソが圧倒的に弱い方の大阪だった頃は「絶対に取りこぼせない」という重圧と対峙しながら勝利を願ったのが、今や「そりゃ勝ち目ないわ..」と白旗を揚げざるを得ないほどのクオリティの差を見せつけられてしまっている。
この試合も、後半ATのゴラッソに沈む形にはなったが、必然の敗戦だったように思う。
序盤こそロングボールを効果的に使いながら敵陣に進出し、高い位置でボールを奪ってチャンスを作ってはいた。CKからギョンウォンの頭で先制するまでは理想的な流れ。しかし飲水タイムを挟んだ後あたりからプレスが効かず、ジワリジワリと押し込まれる展開に。これ、疲れて脚が止まったというよりはビルドアップのやり方を修正してるよねたぶん。具体的にどう変わったが書ければこのnoteのアクセス数ももっと伸びるんだが肌感覚でしか語れないのがもどかしいところ。
完全に試合の風向きは変わり、前半の終盤はまるでもう試合終了直前のように猛攻をしのぐのが精一杯。どうにか1-0で折り返すことには成功したが、ハーフタイム中に多くのガンバサポは悟っていたことだろう。
「これは時間の問題やな」と。
案の定、52分に失点。これがまた腹立つほど絶妙に崩してきやがった。GKがFW2枚の間をサクッと通し、それを受けると軽やかにターン。フリーの状態でバイタルまで持ち上がると、ワンツーからの崩しでキレイに流し込まれた。スーパーな技術はなくても、一人ひとりが正確なポジションを取ってボールを捌いていく..理想でもあり、悔しいがお手本ともいうべきゴールであった。
起点となるボールを出したジンヒョンも立派やで。もう10年以上トップレベルで試合に出場し続けているというのに、最新のトレンドに合わせてしっかりビルドアップでも貢献している。札幌の菅野とか見てても同じこと思うけど、ベテランになってもアップデートできるのは敵ながらあっぱれである。本人の向上心もさることながら、日頃からいい練習ができている証拠でもあるだろう。
一方でガンバは試合終盤になっても自陣でのパス回しがうまくいかず、ボールホルダーがパスコースを探しながら何度も「ここやろ!」とジェスチャーするほど意思疎通がままならない。途中出場の食野や倉田がチャンスを作りはしたものの、ロングボールのこぼれ球から発生したもので再現性には乏しい形だった。広島戦や浦和戦では改善の兆しが見えた課題が、またしても重くのしかかってしまう現実を直視するのがしんどい。
結局、試合終了間際にリスクを背負って人数を割いて攻撃したものの、決定的なパスやシュートができるわけでもないままモタモタしていたらボールを失い、ものすごい勢いでカウンター来襲。ジョアン・パトリッキがシュートを打った瞬間は「いや、それはさすがに..w」と声に出してしまったのだが、その刹那ゴールネットがふわっと揺れていたのであった..
終了間際の失点で敗れたのは事実だが、「どちらに転んでもおかしくなかった」とは口が裂けても言えない内容。大阪ダービーどうこうは一旦置いといたとしても、残留争いに向けてもズドーンと重くのしかかる1敗である。いよいよ最近はまた寝てる間に残留か降格かみたいな夢を見るようになってきた。こうなったらいよいよ残留争いが本格化してくる証である。光明はある、というかここを拠り所にするしかないというポイントはあるのだが、またそれはどこかで..
にしてもセレッソよ。めちゃくちゃいいチームになっとるやんけ。つい最近までクルピ再登板とかやって遊んでたはずやのに。小菊監督が有能なんですかね?と思ってwikipedia見てみたら「プロ選手としての経験はない」だとさ。何そのキャラ立ち、ジャイキリにもそういう監督おったやん。
そりゃ戦術の落とし込みやらは上手いよな、それがなかったら何の説得力もないもんね。なるほどなるほど。ネームバリューに秀でている選手は少なくても、結束力がすごい。皮肉でも何でもなく、見習うべき点がたくさんあるチームであることをまざまざと見せつけられた。