サブカルチャーの”オトコノコ文化”
こんにちは。
まさか一番最初に投稿したノートをたくさんの人に拡散してもらえると思わず。「次に何を書こう……。もうバズることなんてないだろうなぁ、でも書こ〜」なんて思っていたら本当にあれから一度もバズらないです、ヤサシノ社です。
だからこれを読んでくれる人、ありがとう。
このノートはいわば、「なぜポパイにジェンダー・ニュートラルな視点を求めるのか。〜『ジェンダーとシティボーイ』後日談〜」です。
あれから補足したいなと思ったことがあるので、書いておきます。
雑誌の人格が崩壊する?
ノートを公開してから一晩、リツイート数が3桁になって本当に驚いた。気になるから感想ツイートを探しにめっちゃエゴサしました。
そこで「なるほど〜」と思ったのが、「ポパイは男性誌なんだから、そこでフェミ視点を持つのは難しいのではないか、面白くなくなるのではないか」というコメント。
ゾーニング、という言葉を最近よくみかけるようになったけれど、SNSではゾーニングがされなくなってきたよね〜だから炎上しちゃうんだよね〜という話がセットになっていることが多い。
そういう意味では雑誌ってゾーニングがされやすい。だからこそ今までそんなにポパイとジェンダーについて語られることがなかったのでは。
それでもポパイにジェンダー・ニュートラルな立ち位置をとって欲しいと思うのは、ヘテロじゃない男性読者のことも考えて欲しいということはもちろん、加えて「女性も読んでね」というスタンスを取っているように感じるからです。
もしも『オリーブ少女も必見です!』などと書かないなら何もケチつけたりしない。女性読者が付いていて、そこをもっと増やすつもりと受け取れます。
それなら、編集部のみなさんは編集方針もちょこっと変えていった方がいいのでは。
男性モデルもビジュアルが幼い?
もう一つ「たしかにな〜」と思ったのは、「そもそも男性モデルも読者層より幼くない?」というコメント。
ガールフレンド号の表紙を飾るモデルさんたちがみんな幼くないですか?と書いたところ、ピンポイントで非難が殺到していた……。
例年表紙を飾るのはおしゃれな雰囲気のある方々で、本当にさすがポパイ編集部!と思う人選です。本当に、まだ日の目をみていない新人を発掘したい思いなのかも。そんなに年齢なんて気にしていないのかもしれない。
でも、完全なる主観で推測ではありますが、ファッションモデルの方の年齢はやはり身長の高い14才くらいに見える。(まぁ、みんな実年齢よりは大人っぽく見える気はする。)
なぜ男女揃って実際の読者より若干年下に思えるモデルさんにお願いしているんでしょう?
サブカルチャーに根付く「オトコノコ文化」
大根さんはサマーリーディングの号で「POPEYEは社会ではなく、都市というローカルの先端を行く雑誌だ。」と自身の某連載について冒頭で弁明していて、一言でわかりやすくまとめるとサブカルって言いたいのかなーと思ったわけですが。
ポパイって、サブカルを大衆に提示する雑誌ですよね。
コメカさんとパンスさんによるユニットTVODの『ポスト・サブカル焼け跡派』によれば、どうやら日本のサブカルチャーにはオトコノコ文化があるよう。
TVODのお二人は先般の著書で「オトコノコ」的文化圏=ホモソーシャル的なサブカル文化圏」について、ビートたけしを例にあげ、オトコノコ文化とは露悪性と純粋さが同居するものであり、サブカルチャーの中にある女性蔑視的な側面を強化したといいます。
そしてコメカさんは、ビートたけしの「純粋さ」というのは、”「少年」としてのピュアさ”だと指摘。
コメカ:彼が女性を「おねえちゃん」と呼ぶことに象徴されてるけど、たけしは父性を表現したことって実はほとんどなくて、ナイーブさ・センチメンタリズムを表現するときは少年の目線に視点を持ってくることが多いと思うんだ。
なぜ ”「少年」としてのピュアさ” に繋がるかというと、そこには「シャイネス」があり、「オヤジ」になりきることは回避しているからだと続けます。「オヤジてきな感覚」の中には「シャイネス」は想像し難いためです。
サブカルチャーの中の「オトコノコ」性はサブカル好きな人(男性に限る)たちに、大人になっても少年のように、ヤンチャに、遊び続けられる免罪符となった……。
ふむ、なるほど!ここで自分はこう思ったのです。
ーーーポパイのモデルが幼めなのも、大根さんが接待のようなタイアップデートを連載しつづけているのも、ポパイの根っこがサブカルチャーのオトコノコ文化にあるからでは???
ちなみに、2018年秋までポパイのファッションディレクターを勤めた長谷川昭雄さんとフイナムによるウェブメディア「AH.H」でも同じように身長はたかく、表情が幼いモデルさんを起用しています。あどけない。これ、オノコノコのボクを喚起させる機能がありません?
男以外には居心地が悪いサブカル界
TVODのおふたりは、ビートたけしの次の章で、〈サブカル女子のフォーマット〉を戸川純がつくった、といいます。「女性として生きている自分自身」への違和感をグロテスクに体現していった。
一方、「男性として生きている自分自身」に違和感をもったとしても、サブカル男子たちには免罪符が常にあったわけです。「ボンクラ」とか。
サブカル男子、長いこと居心地の良い空間が提供され続けていて、超恵まれてるね。
かつてサブカル女子の自意識は戸川純的な〈異形なイメージ〉に限定されていた。でも、そうじゃない方法で、今どんどんいろんな表現が生み出されていってます。反論は置いておいて、CHAIとか。
だから、やっぱり、その先の、すべてのサブカル(男も女もそれ以外も)居心地の良い雑誌ってつくれないんですかねぇ〜とか思います。
おわりに
自分がこんなにポパイについて暇さえあればついつい考えちゃって、あーだこーだ書いちゃうのも、結局すきだからなんですよねー。
さてはて今年もガールフレンド特集は組まれるのでしょうか。ポパイ読者として今からうずうずしています。
今日はこれだけ書いておきます。また修正するかもしれませんが……。そしたら、「あ、修正してるじゃん」とか密かに思ってください、稀有な読者のみなさん。
おわり