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マシュマロの話

子どもが学校のキャンプから帰ってきた。2泊3日で山の中に泊る。テント泊である。Year6ともなればキャンプも3回目で、親も子どもも少しは慣れたものである。

キャンプの行き先は、毎年、すべて違っていた。最初は森に行き、次は海に行き、今回は山だ。私にとって学校のキャンプといえば、コテージと川があるキャンプ場で、着いてからの大半をカレー作りに費やし、キャンプファイヤーでマイムマイムを踊る(踊ってない気がする)というものでしかないのだが、育った国が違えばキャンプも違う。

学校からのお知らせによれば、カヤック、キウィフォックス、ウォータースライダー、ブッシュウォーク、マッドラン、フライングフォックス、とアクティビティが盛りだくさんである。なかには何をやるのか想像つかないものまである。

(マッドラン?泥のなかを走るの?まじ自然?)とか思っていたら、学校から配信された写真で、ほんとに泥のなかを子どもたちが笑顔ではしゃいでいた。食事を付き添いの保護者(たくさんいる。ボランティア)が担当するおかげで、子どもたちの時間は野外活動に全振りされている。

2泊3日のキャンプを終えて学校に戻ってきた子を迎えにいったら、見事に日焼けでほっぺが赤かった。なんならちょっと鼻を垂らしてもいた。山って寒いもんね。

夜は焚火でマシュマロを焼くと聞いていたので、「いくつマシュマロ食べた?」と車のなかで聞いてみた。私の想像ではせいぜい2個か3個かなって思っていたのだけれど、子の答えは「6個!」「6個!?」。続いて「いや、違うわもっと!」と言って数え出す。きくと、最初に2個もらって、次に取りに行ったら3個もらって、その次は2個もらったらしい。全部足したら何個よ?

マシュマロ、焚火で焼くって楽しいよね……一人ひとりの数って決まってたりしないんだね……いっぱいもらえる世界に住んでいてよかったね……と、私は車を家に走らせながら思ったのでした。

小学校で参加するキャンプは今回で最後である。日本とNZでは学年の区切りが違うので、もうそんなに大人に!?と驚いてしまうが、娘は来年はintermediate(中学校) に入る。あれまあ。

5歳で小学校に入学して、同じ敷地内にあるアフタースクール(学童)までいくのに、おっきなリュック背負ってべそかいていた子はどこにいったんでしょうね。本人はそんなことすっかり覚えてなくて、親の記憶のなかにしかいない。世の中でみかける、娘より小さな幼児や赤ちゃんが輝いてみえるはずである。会えない可愛さは尊い。

NZでのスクールキャンプは学年が上がるごとに、ワイルドさを増して、高校生まで続くらしい。来年はテントを買ったとしても、勿体無いと思わないくらい娘が思い出を作ってくれるだろうな、なんて思うインドアな私。


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