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Ronnie Atkins インタビュー和訳
Metal Hammerドイツ版 2021年4月号に掲載されたインタビューの和訳です。
2019年、ステージ4の肺がんを患っていることが公表され世界中のファンにショックを与えました。治療を続けながらソロアルバム「One Shot」を完成させたロニーへのインタビューです。
Metal Hammer(以下MH):ロニー、大事な質問を最初にさせてもらいます。今日の身体の調子はいかがでしょうか?
Ronnie Atkins(以下RA):訊いてくれてありがとう。今は比較的元気と言える。放射線治療と化学療法のせいで慢性的な痛みは抱えているけど、昨年の春に宣告を受けて大きなショックを受けた時に比べれば、落ち着いているよ。
MH:その宣告とは、貴方の肺がんは不治である、というものですね。
RA:あぁ、残念なことだが医師がそう告げた。現在は3か月おきに医師の検診とスキャンを受けている。前回は11月だったが、その時は幸運なことに、安心できる結果だった。
MH:運命に抗おうと試みていますか?
RA:まぁ、そうだな。もちろんいい日も悪い日もあって、それは避けて通れないことだ。しかし私はこれまでの素晴らしい人生に感謝している。まだ若い頃に思い描いていた夢がすべて叶ったのだから。
MH:つまり、成功したロック・ミュージシャンとしてのキャリアですね。
RA:その通り。私が10歳の頃、SweetやT.Rex、Suzie Quatroに夢中で、大きな夢を抱いたわけだ。ロックスターになりたい!と。そしてそれは現実となった。
音楽で特に財を築くことはなかった。これまで結んだ契約の中のいくつかは最悪なものだったのでね。しかし、私は沢山のアルバムをレコーディングし、世界中をツアーして回り、ファンは私に、私の音楽がどれほどの意味を彼らにもたらしたかという内容の手紙を書いてくれた。それらのすべては人生からの贈り物で、心の底から本当に感謝しているんだ。
MH:それらの喜びは貴方が受けた悲報を凌駕するものでしたか?
RA:ガンのことは常に私の頭の片隅にある。しかし、私は自分を哀れんで悲しむより、こう言い聞かせた。「クリエイティブであれ。生き続けて、お前の音楽で人々を幸せにしろ!」
MH:その素晴らしい姿勢を貴方のソロアルバム「ONE SHOT」からどれくらい感じられることでしょう。
RA:私が思うに、そのモットーがアルバム全体を赤い糸でつないでいる。私はキャッチーなメロディーを好むソングライターで、自分のことはロックを装ったポップシンガーだと思っている。そして、そのミックスがあったから、これまでの人生で沢山良い曲を書くことができたと思う。
私の望みは、この一枚が私の遺産として世に残ることだ。
MH:ONE SHOTの収録曲は、貴方のこれまでのキャリアの中で書いた曲の中でもベストであるという印象はありますか?
RA:少なくともいくつかの曲は私の「職歴」の中でもベストだと思う。その中に最高の物があるかどうかって?
そうだね、ちょうど昨日、2枚目のシングルリリースになるタイトル曲を改めて聞いたところなんだが、私の思う完璧な曲の理想にとても近いと思ったよ。
MH:クリーンヴォイスから歪ませた声まで難なく切り替えることのできる柔軟な声はどこから来ているのでしょう?
RA:これは天恵だから私は何もしていない。こういうテクニックを身に着けるためのヴォイストレーニングを受けたこともないんだ。
全く逆に…1984年より少し前、Pretty Maidsがデビューアルバムの“RED, HOT AND HEAVY”をレコーディングしていた頃、私は町でただ一人のヴォイストレーナーのレッスンを受けようとしたことがある。
私は彼にこう尋ねた、「ヴォーカルテクニックのコツを教えてもらえる?」彼は応えた「君はどんな音楽をやってるんだい?」
私が「ヘヴィ・メタル!」と言うと、彼は「オーケー。消え失せろ!」
MH:今後の予定は? ONE SHOTでツアーに出ますか?あるいはもっとソロ作品を作るとか?
RA:正直に言おう。私には分からない。今のところ私には3か月先までのプランしかない。なぜなら3か月ごとに病院で検査を受けなければならないからね。
2021年中にPretty MaidsかAvantasiaで短いツアーや2,3のショーがあれば参加するだろう。でも、それらが2022年に延期されたら、その時そこにいられるかどうかは分からないよ。
MH:幸運を祈っています、ロニー。私たちはいつも貴方のことを思っています。
【付記】
アルバムOne Shotが発売された後、Avantasiaの主宰でありロニーと長年ステージを共にしてきたトビアス・ザメットが自らのラジオ番組、“Tobias Sammet Rock Show”でアルバムからの一曲を流しました。
その時のトビアスのコメントをご紹介します。
(※ラジオ放送を聞き取ったのを翻訳しました。)
「(コロナ禍で)音楽業界がどん底にある現在、このアルバムは真珠のような存在だ。Avantasiaの同僚、友人であり家族でもあるロニー・アトキンスのソロアルバムは、とても美しく、ワイルド。“本物の”音楽がここにある。」