Joe Elliott -「死」とジョー・エリオット-

1993年頃のドイツの雑誌に掲載された、デフ・レパードのジョー・エリオットのインタビュー和訳です。
デヴィッド・ボウイのギタリストであったミック・ロンソンの死、そして自身がフロントマンを務めるデフ・レパードのギタリストであったスティーヴ・クラークの死について語っています。


「ロックの歴史の中で、デフ・レパードはレイナード・スキナードに次いで、運命的なバンドであることは間違いない。最近では、バンドにとって近しい友人であった、デヴィッド・ボウイの前任ギタリストのミック・ロンソンが亡くなった。ジョー・エリオットが追悼を捧げる。」


ジョー・エリオット(以下JE):悲しいよ。11歳の頃から俺はミック・ロンソンの大ファンで、彼のキャリアを追いかけてきた。彼も俺たちと同じヨークシャー出身だったね。1980年に初めて会って、それ以来連絡を取り合い、俺たちは親しい友達になった。
彼が癌を患った時、経済的に非常に悪い状況にあった。俺たちは彼の曲、Only After Darkをカバーし、そのロイヤリティで彼は医療費を賄うことができたんだ。
四月の半ばまで、俺は彼のソロアルバムをダブリンで一緒に制作してて、3曲歌ったばかりだった。だけどこのアルバムが発表されるかどうかは、未確定だ。だってまだ完成してないし、他の誰かがやるにしてもミックが望んだような形になるかは懐疑的だ。すでに楽曲は十分に揃っているから、彼の奥さんも新譜を手にすることがあるかもしれないけど。
彼の最期の日々、俺はミックの家族と連絡を取り続けていたし、フィル・コインはミックが亡くなる2日前に彼を訪問していた。

スティーヴ・クラークとミック・ロンソンを通じて、貴方の「死」に対する姿勢は変わりましたか?
JE:このところ、そのテーマについてとても深く考えて続けているよ。ミックとスティーヴは、これまで本当の意味で自分に「近しく」知っていて-ミックはかなり、スティーヴとはもっと深くかかわっていた ー そして亡くなった人たちだ。俺の両親も祖父母もこの世にいるけど、スティーヴはまだ30歳、ミックは46歳だった。
ロックミュージシャンは皆年を取っているような感じがするが、もし誰かが46歳で死んでしまうと、そこでようやく彼が死ぬには若すぎることに気がつくんだ。
俺は年を取るごとに、死というものをもっと強く意識するようになるだろうね。身近な人々が世を去っていくのだから。
俺は信仰心を失いつつある…いや、元からそんなにあったわけでもないけれど、神がもしいるのだとしたら、なぜ人々を若くして死なせてしまうのだろう?もしかして神はロックバンドを結成しようとしてて、ギタリストを必要としているのだろうか?

貴方は現在33歳。46歳になった時にデフ・レパードはまだ存在していると思いますか?
JE:もちろんさ。スティーヴン・タイラーは現在46歳だけど、更に磨きがかかっている。ローリング・ストーンズの最新アルバム、Steel Wheelsは彼らの傑作のひとつだと思うよ。ミック・ジャガーは48歳だ。
もし俺たちに興味を持ってくれる人々がいるなら、俺たちが46歳になってもまだやれると信じられるだろう。でも、現在のユーライア・ヒープやナザレスのような状態になるとしたら…俺は小さなクラブ周りをしたりはせず、デフ・レパードの偉大な業績を残したまま威厳を持って引退したいね。


貴方たちの新作発表は4年に一枚程度ですが、貴方が46歳になるまでにはこれから4枚しか出ないことになります。
JE:安全面から言うとそれはとても良いことだね、ハハハ。
俺たちの次のアルバムは今年の10月にリリースする。完全にオリジナルなデフ・レパードのスタジオアルバムってわけじゃなく、レアな、未発表曲やシングルのB面曲を新しくミックスし直したものを集めたものなんだ。
それに3曲か4曲、スティーヴ・クラークが演奏したものも入っているけど、それらはHysteriaやAdrenalizeのコンセプトに完璧には当てはまらなかったものだ。すごく強力な曲ばかりでリリースしないまま終わらせるには勿体ないと思う。だけどこれらを次のデフ・レパードのアルバムに収録するにはモラル的には間違っている、なぜなら今はヴィヴィアン・キャンベルがバンドにいるからね。
単に、スティーヴの作品とは区別しておきたかったんだ。


これらの「コレクション」にはヴィヴィアン・キャンベルも参加しているのでしょうか?
JE:ヴィヴィアンはホットハウス・フラワーズとのセッションで、ジミヘンのLittle WingやストーンズのYou Can't Always Get What You Want、それから俺のFrom The Insideをアコースティックで演奏したんだ。
それからTwo Steps Behindにも関わっている。この曲は映画「ラスト・アクション・ヒーロー」のサントラにも収録されているよ。(元々はMake Love Like A ManのB面曲だった)それと、B面の曲だったすべてを再収録しリミックスしなおしたんだ、これらの曲は元々良いものだったけど殆ど全部を一日で、“勢いに任せて”録音したんでそんな風に聞こえると思う。多分、さらに2曲ほどカバーソングを加えるかもしれない。収録曲は15曲ぐらいになるかな。