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【ちひろの小旅行記】日本の伝統文化を絶えず伝える有田・波佐見の町

こんにちは!飛田ゼミなんでも取材班のちひろです。

今回は私が取り組んでいるプロジェクトで現地調査のために先生にお願いし連れて行ってもらい訪れた、佐賀県有田町と長崎県波佐見町の小旅行記を書きたいと思います。

まず最初にプロジェクトについて少しお話ししますと…
飛田ゼミなんでも取材班の過去の記事「9つのプロジェクト一挙公開!@飛田ゼミ8期生」でも少しご紹介していますが、飛田ゼミ生は3年生になると「社会課題を解決するビジネス」をテーマに自らでプロジェクトを立ち上げ研究を進めていきます。
私はその中の一つである「越境ECプロジェクト」で活動しています。

この「越境ECプロジェクト」は日本の伝統工芸品をライブコマースで売るというプロジェクトです。

これまでの活動としては主にライブコマースについて研究してきました。

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実際に日本でライブコマースをする中国人と一緒に化粧品の販売をしてみました。

次に商品を決めていく時、目を付けたのが日本を代表する焼物のひとつである「有田焼」でした。有田焼とは白磁に藍色や赤・黄・金など鮮やかな色で装飾された、硬く丈夫な器です。この有田焼を、宝探しのような感覚で求めることができる「トレジャーハンティング」が佐賀県の窯元で開催されていることをご存知でしょうか?


私たちは先生からの紹介もあり知ったのですが、150年以上の歴史を持ち今では多くの外国人が訪れる有田焼の窯元「幸楽窯 徳永陶磁器(株)」さんではこのようなアクティビティを行っています。倉庫に積まれた数えきれないほどの有田焼の中から自分が気に入った器を選びカゴに詰めていくという、まさに宝探しのようなスタイルで有田焼を購入できるプログラムです。ここでの商品は有田焼を制作していく上で、まだ上絵付けをされていない仕掛かり品です。積まれた有田焼はどれも色鮮やかな上絵付けは施されていませんが「モダンで美しい」と人気を博し、日本でも旅行サイトやブログ、SNSなどで取り上げられるようになり、今では日本人だけでなく、韓国、台湾などアジア系外国人も多く訪れるのだそう。

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先月幸楽窯の徳永社長に直接連絡をとり、zoomで会議を重ねてきました。
「では10月中に一度こちらにいらして下さい。工場を案内しながらお話ししましょう。」
と行ってくださり、今日は工場見学も兼ねて行ってきました。

ー福岡大学から約1時間半。
秋の涼しい風がより心地よく感じ、車から見る景色の中に陶磁器が頻繁に現れるようになってきました。そう、ここが佐賀県有田町です。

幸楽窯は有田町にある窯元の中でも広大な敷地を持ち、小学校を改築したため風情ある建物になっています。

「こんにちは。遠いところきてくださりありがとうございます。」
そう出迎えてくださったのが、幸楽窯の徳永さん。
最初に幸楽窯で作られている商品を一通り見せていただきながら幸楽窯についてのお話をお伺いしました。

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左:幸楽窯 徳永陶磁器株式会社の徳永隆信社長

「幸楽窯は1865年に初めて窯を築いて以来、『家庭に幸せを、食卓に楽しさを』を旨にその火を絶やす事なく初代の意志を受け継いできました。ここ幸楽窯の特徴の一つは有田焼の長い歴史の中で産まれた様々な様式を全て生産可能なんです。」
ーそうなんですね。だからこんなに敷地が広いのですね。
「はい。ここでは、鋳込みから素焼き窯・絵付け・本窯・赤絵窯まで全工程を一貫生産します。有田焼の伝統的な製法によるオリジナルのロングセラー商品も多く製造しており、それらは全国の百貨店や小売店に届けられています。」
ーこのように普段使いもできる可愛らしい商品もありますが、芸術的な作品も多く並んでいますね。
「2013年より、様々な分野のアーティストを広く国内外から受け入れ、制作に専念できる場を提供する「アーティスト・イン・レジデンス」を行っています。」
ー幸楽窯で自分の技術を追求できるんですね。
「そうですね。敷地内には宿泊施設も完備しているので有田で生活しながら、職人の技術を仰ぎつつ、心ゆくまでオリジナルの陶磁器作品の制作に没頭できます。そうする機会を設ける事で、有田焼にも新たな風が取り込むことができ世界にも有田焼をアピールすることに繋がるんです。」
ー伝統を守りながらもモノづくりを通して革新を続けているのですね。

次に工場の中を工程順にご紹介していただきました。
「まずは成形して形を作っていきます。幸楽窯では各製造工程にマシーンを導入するなど、常にその時代の最新技術を取り入れ、商品の長期安定供給と品質向上をモットーに成長してきたんです。」

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続いて下絵付けや釉掛けをしていきます。

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それからこんな大きな窯で焼いていきます。
「触ってみて下さい。熱くないでしょ。いい窯は外に熱が出ないんです。」

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その後、有田焼の特徴でもある上絵付けをしていきます。ここで見せていただいたのは転写という技術です。転写は、印刷絵付とも呼ばれており一度に大量で高品質な絵付けが可能です。
「幸楽窯にはこの転写という技術に優れた方が多くいらっしゃいます。つなぎ目が分からないようにぴったり合わせてできる絵柄はとても美しいですよね。」

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このような工程を経て最終的に生まれる有田焼がこちら↓

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手書きと転写の技術を受け継いだ伝統的な器を作りつづける一方、現代的なデザインを融合させた新しい有田焼を提案する器、またオリジナルデザインの開発にも積極的に取り組んでいる幸楽窯。世界に向けてもその魅力を発信し続けるこの場所をもっと詳しく知り、今後も訪問させていただくお約束をして幸楽窯を後にしました。(また小旅行記で投稿したいと思います。お楽しみに!)

その後、有田町の隣に位置する同じく陶磁器の町、波佐見町を訪れました。
400年以上続く波佐見(はさみ)焼は、生産工程ごとに会社が分かれる「分業制」で作られていて、町の就業人口の内、約3〜4割の人が焼き物の仕事に従事、国内有数のシェアを誇る日用食器の一大産地です。

くらわんか碗とも呼ばれる波佐見焼は、丈夫で割れにくく手頃な価格で手に入ることから、人々の日常の道具として長きにわたり親しまれています。

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波佐見焼の代表的な陶磁器メーカーである「マルヒロ」。シンプルかつ機能性の高い商品が多く並んでいました。

続いて訪れた「西の原」はカフェ・レストランや雑貨屋などが立ち並ぶ
焼物を作るのに適した斜面のある地形で、以前は幸山陶苑という江戸時代から続く窯元が営む製陶所「福幸製陶所」がありました。波佐見焼の特色である大量生産を行うための大きな特徴として分業体制を取ることが挙げられますが、この福幸製陶所は敷地内ですべての生産が可能という大変貴重な製陶所だったのです。

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製陶所として使用された当時の面影を残しながら、現代の感性を備えた空間として、いまも生き続けています。

西の原の中にあるカフェで美味しいケーキを頂きました。

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左上がチーズケーキ、右がパンナコッタ、左下がチョコレートケーキ。フォークで持っても分かる濃厚さ。ずっしりと重いケーキもさっぱりした風味のパンナコッタも全部おいしかったです。個人的にはこのケーキとお皿の配色も綺麗でお気に入りの写真です笑

最後に武雄図書館や武雄温泉をまわりました。

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束の間の休日。

今回有田町と波佐見町を訪れ、それぞれの違いも発見できましたが、それと同時に日本の伝統文化を共に継承してきた町のエネルギーのようなものも感じられました。歴史の中で積み重ねられてきた伝統技術を肌で感じることができ、より一層多くの人にこの素晴らしさを知ってもらいたいなと思いました。

編集後記

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とき里 伊万里本店:〒848-0027 佐賀県伊万里市立花町3760−1

お昼ご飯は、私たち飛田ゼミ8期生のゼミ長のご実家が営む佐賀県伊万里町の大人気店「とき里」でカツ丼を頂きました。

これがとても美味しい!!

味付けが少し濃いめで、大きなカツと玉ねぎ、そして下に隠れているご飯までしっかり出汁が染み込んでいるんです。卵はしっかめに火が通っており、半熟が苦手な私にとってはとても嬉しかったです。ついでに杏仁豆腐も頂き、大満足でした。

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佐賀県伊万里町に立ち寄る際のご飯は、とき里で決まりっ!!

(Written by CHIHIRO)


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