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ネパールの古道を歩く
私はいまネパールに来ている
3日前の朝7時、バスに乗ってカトマンズを出発してポカラの手前ドゥムレと言う町でバスを降りた
ここはアンナプルナ山脈から流れ落ちる水を集めたマルシャンディ川の側に位置する町だ
カトマンズとポカラとの間を結ぶ道路が引かれたのは1970年代のことなのでその後発展した町なのでしょう
到着したのは午後2時近くだった
昼に休憩した時、食堂でダルバートを食べたので他の乗客と共に降りた時にはうつらうつらからちょうど目が覚めた頃だった
私はここからバスを乗り換えてバンディプルと言う町に行きたかったので通りを少し歩いて再び別のバスに乗り換えた
地元の人達の利用するバスのようで後から後から小麦粉の大きな袋が車内の通路に山積みにされていきました
発車したのは結局1時間半後だったので暑い車内にあわてて乗り込むこともなかった
乗り合いバスなので田舎では良くあることだ
カトマンズからは他に数人、トレッキング客が乗っていて同じく彼らもここで下車して別のバスで北のベシサハールに向かったようだ
私もトレッキングが目的の一つでネパールに来たのだがその前にバンディプルと言う古くからある宿場町を訪れたかった
ようやく発車したバスは曲がりくねった狭い山道を喘ぎ喘ぎながら登っていき20分程で町の入り口車止めの手前で停まった
車両は町の中には入れないようでした
整然と敷き詰められた石畳の雰囲気は以前歩いたスペインの巡礼道沿いに点在する町の中に入った時の様子と似ていた
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通りの両側に並ぶお土産屋さん、ホテル、ゲストハウス、レストランの数が圧倒的に多いのがネパールらしいところでしょうか
とは言っても背の高い建物はありません
ここは古くからインドとチベットを結ぶ交易路沿いにある町として発展したそうですが私がバスを乗り換えたDumreの町に取って代わられその歴史から取り残されてしまいました
現代は車社会ですからね
それが幸いして古くからのネワール様式の建築が残され近年再び脚光を浴び観光客も訪れるようになったそうです
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日本にも良くあるような話です
飛騨高山や奈良井宿、私の住んでいる近くの松本の街などずいぶん綺麗になりました
伝統を残しつつ現代的にリノベーションしていく観光開発は良い方法だとは思います
ただどこに行ってもなんとなく小綺麗になってしまって似たような雰囲気を感じてしまうのは私だけでしょうか
私が泊まったのは家族経営の小さなホテルでしたが客は私だけでした
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荷物を置いて少し散歩をしてから近くの軽食屋さんに入って椅子に座りふと外を見ると美しい山並みが正面に見えました
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あの山は何?とおかみさんに聞くとダウラギリと教えてくれた
こちらも高台なのでちょうど目線の位置に見える
贅沢な景色の中で飲むネパールチャイがとても美味しく感じました
夜半過ぎから雨が降り出し心配したのだが
支度を整えて玄関に出たころには小降りになった
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ゲートの下を潜って階段を登り町を後にして街道を歩き始めた
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そこからはずっと下りの道
両側に大きな樹が多いことから古くからある道なのを感じました
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道がいよいよ細くなり途中農家の軒先を通ったりしてどんどん下っていった
草に埋もれて道が見えなくなりそうにもなりましたが迷うことはありませんでした
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ただ石の平板がツルツル滑りやすく何度も転びそうになりここで怪我をしたら私のトレッキングも序章で終了かと真剣に思った
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無事幹線道路まで出たところで今度は粘土を練ったような土の道をトラックが泥水を跳ねながら走っていたのには往生しました
町に到着した頃には雨具と登山靴はドロドロになってしまった
昔の人は正面にダウラギリ、アンナプルナの山並みをそして眼下にそこから流れ出る水によって育った美しい棚田を眺めながらこの道を歩き下った
私もその同じ道を歩いていると思うと感慨深いものがある
これから私は一人のトレッカーとして歩きます
チベットまではとても行けませんが自分の寝袋を背負ってその一部でも歩き街道の歴史を感じてみたいと思う
#ネパール #アンナプルナ #バンディプル #トレッキング #宿場町