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北アルプスの麓に在住 職業は庭師 身体の老化と脳の幼児化との折り合いに思案する日々 夏…

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北アルプスの麓に在住 職業は庭師 身体の老化と脳の幼児化との折り合いに思案する日々 夏は山に登り冬は雪と戯れる 時には質素な旅行に出掛けたりなどして暮らす

最近の記事

山小屋からの領収書

最近は夕方になると決まって強い雨が降る 日中はまだ陽射しが強い しかし雨の後は一気に気温が下がり家の中の熱気も和らぐ 都会ではまだまだ記録的な猛暑日が続いているようだ ここ信州は朝晩すっかり涼しくなった 台所の窓から見える田圃はすっかり黄金色になり稲刈りが始まっている 玄関の郵便ポストを覗くと封書が一通入っていた 差出人を確かめる 《飯豊朝日を愛する会》とあった 飯豊山縦走2日目、梅花皮小屋に宿泊(テント泊)した時利用料金を箱の中に入れておいた 無人小屋だったので宿泊者

    • ナルホイヤ的思考 角畑唯介氏の著作から考える

      最近読んだ本についての感想を記す 角畑唯介さんの本を初めて読んだのは[空白の5マイル]が初めてだった それが最初の出版だったようだ 十数年前に読んでから著作が出る度に読んでいる 空白の5マイルは結末がちょっと唐突な感じで荒削りな印象だったが探検記としてとても魅力的な内容だった 今回読んだ本のタイトルは 〔狩りの思考法〕 カナダ極北イヌイット(エスキモー)の村に滞在して人力橇による冒険旅行(後に犬橇によって旅行することになった)を通して村人との交流から得たモノの考え方を考察

      • 登山中にスマホを落とした顛末

        実際あるあるの話なのだけれども登山道で大事なスマホを落としてしまったのだ 休憩した時に地面に下ろしたザックの上にスマホを置き柿の種の袋を出して食べ終わってからそのまま背負って出発してしまった スマホはザックの上から滑り落ちたのだった しばらく歩いてから落としたことに気がついた もう少しで目的地の風吹大池に到着だったのでここで引き返して探しに行くよりは帰りに下山しながら探せば良いと判断した 往復で少なくとも一時間のタイムロスが出る 夏のこの時期にそれは良くない 午後になると天候

        • フジロックの魅力と夏

          フジロックフェスティバルに行ってきた 野外フェスは久しぶりだ 信州の田舎に引っ越してから40年近く 野外フェスに行くことからすっかり遠のいていた 音楽に対する興味を失ったわけではない ただいつのまにか人混みの中に出かけることが苦痛になっていた いやそこに出かける事自体苦痛になっていたのかもしれない コンサートホールでの公演では大手のプロモーターによる警備管理が厳しくなって自由に踊って楽しむことができなくなりつつあった お金を支払う側の聴衆が管理されアーティストもまた管理

        山小屋からの領収書

          勇気を出して職人世界に飛び込んだ頃

          ある時友人から私の仕事を指して 「ニッチの商売だね」 と言われた なるほど庭師はスキマ産業なのか 庭に木が無くても別に困らない人がいる 対してささやかな庭であってもそこに緑があれば心が落ち着くと感じ必要としている人がいる 興味があるかどうかの趣味的なものである 先祖から受け継いでいる庭だから義務として定期的に管理している場合もある 近年は家を建てても岩や松そして灯籠のあるような伝統的な庭を望む人はほとんどいなくなってしまった 若い世代の人達にとっては雑木林風や西洋風で草花

          勇気を出して職人世界に飛び込んだ頃

          朝の習慣

          このところ毎日雨が降ったり止んだり 雨音で目が覚めると布団の中で 『雨か』 『仕事できないな』 『まあいいか、も少し寝よ』 独り言を呟いて二度寝するのも至福の時間ではある それでも長年の習慣で外が明るくなればモゾモゾと起き出してしまうのだ 暖かい季節は庭に出て外水道で顔を洗うのも気持ちがいい この土地の上水道は湧水なので真夏でも手が切れるように冷たい そして早朝はひんやりと涼しいのが信州の良いところだ 窓から蕎麦畑が見える 台所に立つ 食器を片付ける そして雪平鍋でお湯を沸

          朝の習慣

          下山したら素晴らしい天気になってしまった羊蹄山

          羊蹄山と言えば優美な姿を指して蝦夷富士と呼ばれる日本百名山の一つだ 私は夕方遅く倶知安側登山口の半月湖野営場に到着した 登山者が主に利用するトイレと駐車場があり申し訳程度に水道設備と狭い芝地があるだけの野営場だ まあ予約不要で無料なのが行き当たりばったり旅の私には合っているので文句は言えない 軽ワゴン車の先客が一人ちょうど食事の準備をしていた 自転車があったので声をかけてみた 今度羊蹄山でレースがあるので事前トレーニングに来たとのこと この日は一日中雨だったので自転車も大変だ

          下山したら素晴らしい天気になってしまった羊蹄山

          雨の雨竜沼湿原を歩く

          雨竜沼湿原は札幌から旭川に向かう途中滝川市の北、雨竜町にある 町からは西方の暑寒別岳に向かってとても長い林道が続いている 私が最初に訪れたのはかれこれ四十年前 まだ二十代の頃だった 当時は途中からすぐに砂利道に変わり登山口の山小屋南暑寒荘までそれが続いていた 自転車で旅行していたので悪路を息を切らしながら押して歩いた記憶がある 途中には草に埋もれた廃校跡があった それが強い印象となって心に残っている 現在はダムまでは快適な舗装道路でその先は砂利道と舗装が交互に現れる それでも

          雨の雨竜沼湿原を歩く

          バスを利用して縦走した十勝岳

          十勝岳へは吹上温泉登山口と南側の十勝岳温泉登山口と二ヶ所ある 火口からはいつも蒸気を上げているので温泉の豊富なところだ それぞれの間はバス路線で結ばれている 麓の町で一番近いのは上富良野町 私は前泊地として日の出山公園オートキャンプ場を利用した 設備が整っていて快適な芝地のキャンプ場だった 上富良野町内の一角にある立地なので買い物にも便利で夕方と早朝は食料品の買い出しに出かけた ここから登山口へは目の前の道路からまっすぐ走れば30分もかからなかった もし前日が雨だったら白銀

          バスを利用して縦走した十勝岳

          友を訪ねて六月の北海道へ

          6月下旬北海道を旅行した 目的は札幌在住の友人を訪ねる事 そして山に登ることだ そのうちに行こうと今まで先延ばしにしていた計画だった 冬場は比較的自由な時間が取れるのだがこの季節は連続した休みが取るのが難しかった 今が人生の節目と今年から自営業一本にしたので時間に余裕ができた 綿密な計画を立てた訳ではない 半分は行き当たりばったりの旅だ たまたま航空券の安い日を選んだら11日間の日程になった 迎えてくれる相手も毎日が日曜日の暇人なのでこちらも予定が立てやすかった 今の時期北

          友を訪ねて六月の北海道へ

          さて今夜はどこに泊まろうか

          5日間の屋久島滞在を終えて再びフェリーハイビスカスに乗って鹿児島に戻った 谷山港から市内までは以外に距離があった 久しぶりに信号の多い道路を走る 交通量が多いので歩道と道路を交互に進むので神経を使う 次の目的地は霧島連山の韓国岳だ きょうはどこまで進めるだろうか 姶良市を通り霧島市内までは行きたい そうすれば翌日には登りが続くとは言え何とか登山口近くまでは辿り着けるのではないかと考えた 鹿児島市内の登山用品店に立ち寄りフリーズドライの食料購入のため寄り道したので龍ヶ水あたりで

          さて今夜はどこに泊まろうか

          屋久島登山を終えて

          雨の宮之浦岳縦走も無事終わった 下山後再び同じゲストハウスに宿泊した 使い勝手の慣れた宿は居心地が良い 洗濯機を回して衣類を洗いシュラフを干したりして登山の後片付けを一通り終えた後キッチンで一休み 夜になると相変わらず多国籍の宿泊者で賑やかであった 皆さんバスに乗って最寄りのAコープで食料品を仕入れて来たようでテーブルの上にはいろんな物で溢れている 彼らは何を好んで買って食べているのかが分かって面白い トレーに入った刺身などは買わないのだ  飲食店では食べたりすると思うけ

          屋久島登山を終えて

          山小屋でご飯を食べて考えたこと

          宮之浦岳縦走2日目 高塚小屋に着いたのは午後2時半頃だった 雨で濡れた木のデッキの上に立ち戸を開ける 既に先客5人グループがシュラフを広げ談笑していた 各階定員5名のスペースでマッチ箱のような3階建ての小屋だった 避難小屋なので定員は目安にしか過ぎないのでハイシーズンともなればぎゅうぎゅう詰めになるだろう 濡れた雨具は脱いでから上に上がるようにと促され登山靴を脱いで2階への階段を登る 入り口の三和土は狭く靴を置く場所、雨具を吊るすのにも苦労した 湿度100%なので朝までに乾く

          山小屋でご飯を食べて考えたこと

          屋久島巨樹の森を歩く

          ボタニカルリサーチパークからバスに乗車して安房に向かった 安房からは荒川登山口行きとヤクスギランド経由紀元杉行きのバスに乗ることができる そこで昼食を食べて紀元杉行きのバスに乗り継ぐ予定だった ところがどの店も既に正午には閉店だった 場所柄登山客相手に早朝から商売をしているせいなのだろうか 空いているのは島唯一のモスバーガーだけだった 昼食は宿のキッチンで作ってきたおにぎりにするとしても夕食は山小屋でハンバーガー (避難小屋宿泊のため2日分の食料と行動食は持参している) ちょ

          屋久島巨樹の森を歩く

          千尋の滝見物 デポした荷物の場所を忘れる

          さて屋久島旅最大の目的宮之浦岳縦走の日だ 出発の朝、宿の玄関で私のきょうの予定など主人と話している中で 『午後のバスで淀川登山口に行くのならまだ時間があるから千尋の滝に行ったら』 『近くだから』 そのアドバイスに従って登山道具を詰め込んだザックを背負ったまま歩き始めた 自転車は3日後に帰ってきてもう一泊するまで宿で預かってもらう事になっていた だんだん汗ばんできた 近いとはいえ坂道なのだ 荷を下ろしペットボトルの水だけを持って登ることにした ザックは近くの草むらの陰に隠して

          千尋の滝見物 デポした荷物の場所を忘れる

          屋久島行きのフェリーと西部林道

          夕方谷山港を出航したフェリーは夜9時に種子島に寄港した 大部分の乗客はそこで下船していった 種子島在住の人達なのだろうか 後に残ったのはほとんど旅行者だけになった いきなり客室内はガラガラになってしまった そしてそのまま朝まで停泊したあと目的地の屋久島に向かった 屋久島行きのフェリーは一日1便で船中泊 のハイビスカスと朝出航で昼到着の屋久島2そして高速船トッピーは一日7便で2時間半程で到着する 船賃が一番安いのがハイビスカスで一番高いのがトッピーである 屋久島2はドックに入

          屋久島行きのフェリーと西部林道