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アンナプルナトレッキングルートの宿泊と食事

慧海のチベット旅行記にインドのブッダガヤからネパール国境に向けて旅するくだりがある
竹の柱に茅葺き屋根の粗末な木賃宿に泊まり宿賃というものはなく薪代と食事代を支払うだけだったと記述している
私がジョムソンで泊まった宿がそうだった
薪代の請求はなかったが夕食と朝食を食べれば宿代は無料だった

ネパールのトレッキングルートでは旅行記などを読むとそういったシステムが普通のように紹介してあり私もそうだと思っていた
ただ時々宿泊だけして外で夕食を食べる客とのトラブルがあるようで壁に注意書きが貼り付けてあるのをよく見かけた
約束通り食事をホテル内で食べなかった場合は高額の宿泊料を請求しますと言う内容だ
結局飲食代が宿の利益の全てなのだ

アンナプルナではその対策だろうと思うが私がベシサハールから歩き始めた最初の3日間に泊まった宿は地域の協定で宿泊費は一律500ルピー、食事のメニュー表と料金はどの宿も共通というシステムだった
車道が通っていて燃料や食糧の輸送が山岳地に比べて容易だから横並びに統一できたのだろうか

hiker’s lodge  標高930m

その後標高が上がってチャーメからマナンあたりまで来るとそれぞれ独自の料金になったと記憶している
宿泊料は無料か500rpで眺めの良い部屋は1000rpだったりまちまちであった
ただ値段と部屋の快適さは比例していないので当たり外れが多くそこがネパールならではという感想だ

食事の値段は少しずつ高くなり
部屋自体は壁がベニヤ板を打ち付けただけの質素なものが多くなっていった
山では暖かい食事と布団があればそれが一番ありがたい
標高4800mトロンハイキャンプの布団だけは身体の熱を奪われるほど冷たいものだった
流石にここでは天日で干してもなかなか乾かないのだろう
トロンラパスまでの最後の3日間はシャワーを使えなかったが足を洗うことと洗濯はマメにしていた
靴下とTシャツはザックの背中で干しながら歩いていたのだ

マナン super view guest house  標高3540m

田舎や山村では旅人を泊める宿の始まりが民泊なのだから食事代がすなわち宿泊費なのが原型なのだろう
日本でも米を持参すれば宿泊費を割引してくれる山小屋が東北地方にはまだ残っている

tilicho lake base camp hotel  標高4150m
Dana New annapurna lodge  標高1440m
pokhara lakeside

日本の山小屋もそうだが標高が上がるにつれて物価は高くなる
ミルクティーの値段で比較すると
(rpから10%増でおおよそ日本円)
Ngadi 標高 930m 60rp
Manang 標高 3540m  80rp
Tilicho lake  標高 4150m  260rp
ジョムソン街道Dana 標高 1440m  70rp
ポカラの地元食堂 標高 900m  40rp
長野県自宅近くの喫茶店 標高 800m  500円

マナンの近くまでは道路が通っているので比較的物価は安い
その先からはラバ(馬とロバとの交配種)か人間が運ぶしかないので一気に高くなるのだ

とは言え日本の山小屋の物価よりはずいぶん安いと感じた
北アルプスあたりではテント泊でも予約制で2000円支払うのだ
小屋泊まりは一泊2食付きで15000円
まさに高嶺の花である
高い安いは当人の収入から来る主観的な感じ方なのでネパールの庶民から見たら海外から訪れる私達は間違いなく富裕層に見えるだろう
現地の庶民感覚を心に留めて質素に旅したいものだ
普段テント泊で山に登る私にとってアンナプルナは予約不要で宿泊でき軽い荷物で歩けるのが快適だった
標高が高くなって食事の値段が高くなっても
食べることは大きな楽しみだ
麓から歩き始めたので高山病にもならず食欲は益々旺盛になった
毎晩ダルバートを皿に山盛りお代わりして1か月食べ続けたのに帰国した時も体重はまったく変化なし
燃費の悪い痩せの大食いの私にネパールのローカルフードは合っていたようだ

#ネパール #アンナプルナサーキット #トレッキング #ミルクティー #ダルバート

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