ハゲ☆はじめてのリアライズ (地球体験記11)
【地球体験記9の続き】
学校の常識と自分の常識を対比させることでより面白くなることを発見した。
「私はこう思っているのに周りはこうやんけ!」がミソである。目的と障害とはよくいったものでこれがなければドラマは進まない。
本体は頭の遥か上に飛んでった。宇宙が、いわゆる科学分野での「宇宙」くらい遠くなったし、少し役に入れば見えなくなるくらい薄くなった。
中学生活は「わざわざ複雑にしてドラマしてる」を楽しむものとした。それに伴い自分の光もだいぶ狭くした。いちばん内側の球が身体をすっぽり覆うくらいだったのを、身体の線に沿って陽炎が上がるくらいまでにちいさくした。
そうでもしないと全てがどうでもよくなって部活などできたもんじゃないのでね。
違和感より面白さが勝った。日常が劇みたいになるってことでしょ。ドキドキ。
ただ一つ、デフォルトで居ないとどうにもならないというか、フィルターを挟みようがないのが音楽だった。
ここだけはどんなに制限を作っても役に入り込んでいても違和感が正常に作動して素に戻る。
台本的には
音楽が好き
↓
もっと上手くなりたい!
↓
県大会出たい!!
↓
集団行動!!
という流れで努力と友情の青春物語に持ち込む予定だったのだが、
音楽に時間軸が無いため「もっと上手くなりたい」までの矢印が繋がらない。
だから予定より漠然としてしまった。楽しいか頑張るかどっちかに振り切れば台本的にラクなのは分かるけど、どうにも振り切れない。
ひとつ確実なのは明日上手くなる為に練習なんてしたくないということで、そうするとどうしても目標なんて建前になっていく。
ということで台本の流れは歪み、
「おんがくたのしいね!それはそうと、県大会行かなければならないので集団の中での役目を意識しろ!」
となった。脈絡なんてなーいさ。理由なんてうーそさ。
「たのしい」を本体のデフォルトZENが、「しなければならない」を女優ZENが担当し、音楽室と教室で違う物語を行き来した。不自然of不自然。
家に帰ったらすぐに日記を開きドラマを再上映する。
あのとき見たGTOみたいに大袈裟に情熱的に。思い出す時点では繋がりがない感情のひとコマひとコマだけれど、理由をつけて繋げてみるとなんだか大したドキュメンタリーになり、軽率にいい気分になる。書きあがった日記を他人事として読み返してニヤニヤした。
一年経った。
集団行動が上手くなったかどうかは知らん。おそらく何も上手くなってはいない。
ただただ楽しんだ楽器の方は、顧問の先生がびっくりするくらい上手くなったらしい。二年生になって部長に推薦された。努力の成果だと見たようだ。
いや全くもって努力したつもりは無い。
しかしもしかすると、過去を繋いでいくと努力を重ねてきたように見えなくもないし、努力家と言っても差し支えないかもしれない。努力家ならば克己心もすごいだろうしリーダーとして人を束ねられると言っても過言ではないかもしれない(過言でしかない)!!
しかし。
口出しをしないことで有名な私の母が顧問に直談判したと聞いて、我に帰った。
うん。やっぱり努力とかしてませんでした。全然したくありません。
「娘にはリーダーに向いていません。無理だと思います。」
母は、算数が嫌すぎて「プラスとマイナスに分けるなあぁぁぁ!」と泣いてトイレに逃げ授業が終わるまで戻らないようなやつに、人形劇以外で友達とまともに話した事がないようなやつに、部長が務まるわけがないとの見解を述べた。
母も中学と高校で吹奏楽部を経験していて、部長が何たるか知っていた。そんな母がキッパリと断言した。めちゃくちゃ面白かった。
自分と他人という概念すら最近知ったのだ。伝えようとしないし、努力もしない。リーダーとか人生本氣で遊んでるだけのやつに務まる訳なくて草。
もしそうなったらめっちゃ面白いなと思った。
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