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#6 癌を公開するという役割について

今日は、みそソムリエ(日本の伝統発酵食「味噌」を伝える伝道師)として、
また、地域情報を発信するコミュニティFM局長として、
自身の「乳がん」をなぜ公開するのかについて、お伝えしていきたいと思います。

結論から言うと、

大切な家族や友人、仕事仲間や私を知る全ての方に、
「癌のことを、一緒に学んで欲しい」
その一念に尽きます。

ほとんどの方は、
癌のことを「知っている」と思い込んでいるだけで、「実際のところは良く知らない」と思うのです。

知ることは健診や予防の一歩。
知ることは未来への希望の一歩です。


以前も書きましたが、
日本では、年間約100万人が新たに癌を発症し、2人に1人が生涯に一度は癌にかかるとまで言われています。

市町村の癌健診もあるし、
街中では、早期発見をうたうポスターやパンフレットを日常的に見かけます。癌は「国民病」と言える時代になっています。


もちろん中には、毎年しっかりがん検診を受け、
癌に対する予防的生活習慣を心がけている方もいるかと思いますが、

実際のところ、皆さんの癌に対する知識と距離感というものは、
どのようなものでしょうか。

癌はなぜできるのか。
癌になると、どんな治療をどのくらいの期間で行うのか。
癌の治療費はどの程度かかるのか。

どうでしょうか。
「知っている」と思い込んでいるだけではないでしょうか。

ガンは腫瘍が出来た場所によって種類があります。
私はオッパイに腫瘍が出来たので「乳がん」。

乳がんにもタイプがあり(サブタイプ)、
主に全4種の中で、私はステージ3Cの「ルミナールAタイプ」。

(ホルモン受容体→陽性、HER2→陰性、Ki-67→10%)

※私の場合、ホルモン療法が一番効くタイプである「ルミナールA」に属することになりますが、がんの進行度がステージ3cという進んだ状況にあるため、ホルモン療法に加え化学療法(抗がん剤治療と放射線治療)を加えることになりました。

乳がんはタイプや進行度によって、効果が期待できる治療方法が異なります。

サブタイプについて詳しくは、↓こちらをご参照ください。


これが自身が乳がんになったことで初めて学び、知ることが出来た癌の実態の一部です。



◆「みそ汁」のことも私たちは知らない?◆

このことは、私が日本人を古くから支えてきた味噌のことを
伝えたいと思ったことと共通しています。

普段、当たり前に食べているお味噌。
原料がどんなもので、どのように作られていて、全国にどれだけの種類や製法があるのか。
また、その栄養価や魅力は?歴史は?

どれだけの日本人が答えることが出来るでしょうか。


「ごはん」と「みそ汁」を食事の土台としている我々は、
自分たちの命を歴史と共に繋いできた味噌のことをどれだけ知って、食生活に取り入れているのだろうか。


癌についても、
お味噌についても、

これだけ身近な存在であるにも関わらず、
いや、身近な存在でありすぎるが故に、

かつての私は、

それらを全く理解していませんでした。


◆本当の意味での知るとは◆

癌になって一番に思うことは、癌を知る機会と意識がなかったという、
今更ながらの言い訳です。


癌は、自分の病気である以外に、家族や友人という身近な方々にとっても
生活や感情が一変するものでもあります。

ショッキングな事実として、そのことに私が気が付いたのは、
癌になってからでした。

癌のことをちゃんと知る機会と意識があったら・・・
自分を守ることは、大切な家族や友人を守ることなのか・・・

当たり前すぎることではありますが、
私は今更ながら、「知らない」できたことの後悔と教養のなさを悔いています。


自分事になって改めて知ったのは食のこと。
がん治療によって弱っていく自分の体を根本的に支えるものは、
「食べ物」だということ。
どんな優秀な栄養士よりも腹にガツンと落ちて理解できています。

「味噌の力、みそソムリエが改めて実感する」の巻です。


テレビで得た情報、
本や新聞を読んで身に着けた知識、

私たちは暮らしの中で、こういう状態を「知っている」と認識しています。

でも、本当に知っているということは、その程度のことを指すのではないと思うのです。

感情を揺さぶられるほどその情報に夢中に喰いつき、
だからこそ腹に落ちて、
それでもなお、「なぜ」「なに」を探求し、
自分の頭で何度もそのことについて想像をめぐらし、
我が事として共感し続けることで得られる知識こそが

「知っている」だと私は考えています。

学問は学問でしかなく、
報道も報道でしかないということです。


この私が思う「癌を知っている」の状態を作り出すには、環境が必要です。
そのためには、
情報の接触回数と距離感が重要だと思っています。


現に今、このnoteを読んでくださっている方は、
私に非常に近い距離にいる方が多いはずで、そんな距離感の近い方には、
タレントや芸人のがん公表よりも私の「乳がん」のほうがはるかに感情を揺さぶられているはずです。

この短い期間に、私の投稿を見て
「がん健診を今年は絶対受けます!」という連絡を20人を超える友人から頂きました。


冒頭にも記しましたが、
私が自身の癌を公開するのは、

大切な家族や友人、仕事仲間や私を知る全ての方に、
「癌のことを、一緒に学んで欲しい」からです。

癌と診断されると、様々な想いがよぎります。
そして、治療方法や仕事の継続の仕方など様々なことに決断を迫られます。

いざと言う時、多少の知識があることで落ち着いて対処していけることがあると思います。

皆さんの笑顔がこの先いつまでもいつまでも続くために
「本当の意味で知って」欲しいと心から願っています。



◆コニュニティFM、地元メディアの力◆

周波数20w短波放送のコミュニティFMや地方紙、ケーブルテレビなどは、
まさに地域の情報について「接触回数」と「距離感」を重視したメディアです。

情報が市民の腹に落ちて自分事となるよう仕掛けられるのは、
地域メディアの大きな特徴であり、同時に大きな使命でもあると考えています。

ラジオおおだてを運営していて、
特に「情報の距離感」のニーズと重要性を実感してきました。


FMラジオおおだて、開局3年目突入。
ここからと言う時に「乳がん」になった局長として、発信は使命です。

コミュニティFMの存在意義とラジオの力で、一人でも多くの市民が大館での暮らしを豊かに過ごしていけるよう発信することは、私の最後の役割りです。



乳がんを軸に、リスナーの皆さんと一緒に癌について学ぶ番組をスタートさせたいと思います。

癌になったらどうなるのか。
癌と共生するとはどう言うことか。
全ての人が心豊かに生きるとはどう言うことか。


様々な視点から語らい合える時間、
また、時には自分の想いを吐き出せる家族のように温かい場所、
そんなラジオ番組を作ってみたいと考えています。

顔が見えないラジオだからこそ、
自由に語らうことができ、自由に吐き出すことを容認できる。
そして、その言葉に応援を届ける誰かの存在が生まれたり。

『みそソムリエがラジオ局を立ち上げて3年目。
ここからと言う時に「乳がん」になりまして』

7月より、第1・第3木曜日 午前11時30分ON AIR予定。
(30分生放送。再放送は月4回)

現在、番組を応援してくださるスポンサーを大募集しています。

また、この番組の収益の一部を、がん治療の関係機関に寄付したいと
考えています。


みそソムリエとしては、
癌について考え学ぶ機会となる「みそ仕込み会」を実施していく予定です。

体調を見ながら、たくさんの方のお力を遠慮なくお借りしながら、
私が出来ること、
私が活きること、

小さなことですが
それが私の「生きる」に繋がっています。

応援してもらえたら嬉しいです(^^)


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