挙式迄<掌>

わたしの人生、「8」に翻弄されている。
姓字からして、まず「矢野」だ。名前、こちらは「真矢(まや)」である。
数字化すれば、共に「8」。
両親が8回目の結婚記念日を迎えた8日後の、8月18日に生まれた。
8月の10日。
夏の暑い盛りに結婚するなんて、思えば変わった親達だ。

生まれてから大方、2年に1回、計8回ほどの引っ越しだ。18歳で家を出てから、何故か決まって住所やら、電話番号にも「8」がつく。
8年後。
26歳の時に、父母揃って他界した。共に事故死だ。
別々に出掛けた矢先で待っていたのは、共にの他界原因だったのである。
慰謝料その他で入って来た金額のどこかしらに「8」があったのには、我ながら苦笑した。

間(あいだ)。
何人もの男と付き合い、肌を重ねて来たが、出会って別れるまで最短、何と8ケ月。
しかも相手は、「八日屋 斗志八(ようかや としや)」
冗談みたいな名前だった。コイツにだって「8」がつく。

「あのぅ、ボク、、、、」
そんな話を友人にしながら、スタンドコーヒーで笑っていたら、声を掛けてきたのが、じき旦那となる男だ。
「ボクの場合は、7なんです」
わたしが辿った道程を、「7」でこの人は経験している。
わたしより7歳年上。
(面白いわね、気が弱そうだけど)
経験を喋る男に持った、第一印象だ。
笑うと出来る、笑窪が深い。

あれから、7年目。
「どうせなら、8と7に因む日にしようや。8+7で、15日。
そうねぇ、10月の15日、なんてどうだろう?」
「そうね、そうしましょ」
7ヶ月後の秋。10月15日。
我々は、式を挙げる。

<了>



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