「人間」の本質、背景が織りなす永遠のドラマ-「ブラック・ジャック」(手塚治虫著/秋田書


何を隠そう、アッチョンプリケ。
ピノコ語で話している場合ではない。

ブラック・ジャックは最高峰。数多い手塚作品の中でも、特別な地位を与えられるものだろう。
「前だらけでもなければ、悪の塊でもない人間」
「本音もあれば、建前もある人間」
「金や地位が絡むと、大方、どうにでもなる人間」
以上が、「生・死・老・病」
全ての物体、生物。大袈裟に言えば「生あるものは、死す」と、良く絡み合った秀作だ。

「医者は仁術」
言われるけども、医者だって生活者であり、人間だ。人間である以上、本能からは逃れられないし、好き・嫌い。感情でも動く。
「金(きん・カネ)」
丁度「記憶にございません」&ピーナッツの色は黒と決定。パンダが来たと浮かれまくる中での、第一次石油ショック。
東京オリンピックから約10年が経過した世の中を、冷静に見抜くことが出来た手塚ならではの作品だ。

地雷を踏んでしまい、何年も母親は寝たきりの生活の上に他界。少年だった自分も滅茶苦茶な身体に。
仕事の都合で当時、中国にいた父親には、既に愛人がおり、子供もいた。
寝たきりになった前妻と、滅茶苦茶な体になった息子を、あっさりと父親は見捨ててしまう。
恩師・本間丈太郎によって奇跡的に一命をとりとめるが、心の中はトラウマだらけ。苦労の連続のような人生だ。
顔半分の色違いに見る、唯一の友達・タカシとの絆。そのタカシも事故の犠牲になるのをニュースで知る。親友だったが、る。そんな中でも
恋人だった彼女は、子宮筋腫を患う。
助手のピノコは元々、双子の一人。だが、大変な状況を抱え生まれた。
地位ある家庭で、「いまいましい」とすらの判断をする。
同じ優秀な医者でありながら、軍医だった過去が死生観を決定的に位置づける、ドクター・キリコの存在、、、、。
医者としての日々を歩みつつ、「人間」。ジャックは人間の本性を垣間見る。

「生・死・老・病」
人類が人類である以上、避けられないもの。
それぞれが抱える背景が、読者のひとり、ひとりに熱く語りかけてくる。

ちょー最高!ちょー熱い!
泣きたいほどに名作でもある。
メチャクチャに考えさせられる作品だ。

<了>

#創作大賞2023

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