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ZAHRADA -ふしぎな庭- は続いている

「なんだ,石の小人だよ。こわくなんかないや」
そのときとつぜん、「アウウウー」といううなり声。
みんなびっくりしてとびらの外にとびだしました。
おそるおそる中をのぞいてみると....

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まだ「私はチェコが好き」と認識する以前、コマ撮りアニメーションの夜間学校で出会った同級生が「ふしぎな庭」DVDを持っていたのでした。少し影のあるかわいくない人形や動物たち(私は好みですが!)、世界観に惹かれ「これがチェコアニメというやつだな」と思いました。
2017年のチェコ旅行の際に原作の絵本「ZAHARADA」(著イジー・トゥルンカ)を書店で見つけ急に興味が湧き、帰国してからは日本語訳の本も見つけました。(なんとフィルムブックまでも出版されていました!)


どんな話かというと、5人の男の子(アニメーションでは4人)がとある家の庭へしのびこんで遊ぶという日常の延長のような物語。庭には恐いドラ猫や池に博識のクジラが住んでいて、ドラ猫にやられそうになると象が助けて学校まで連れて行ってくれる...非現実であるのですが、ディティールが細かいのでリアルな世界を感じます。

この男の子たちが庭にやってくる前(この世界の時間的に5〜10年くらい前でしょうか)、庭(家)の持ち主の「動物が好きな男」という話があり、庭ができるまでのストーリーが描かれています。アニメーション版では男の子達の話とこの家主の話ではアニメーションの手法やテイストが異なっていて、一見繋がりを感じないのが、逆に時間のブランクを感じることができていいなあと思います。(子どもたちの話は立体アニメーションところどころマルチ撮影、家主の男の話は切り絵マルチ撮影。マルチ撮影とはカメラを上部に固定してガラス板でレイヤーを作ってコマ撮り撮影する方法です。)

著者である、イジートゥルンカ(Jiří Trunka 1912-1969)は数えきれないほどの本に挿絵を描いていますが、文章を絵の両方を手がけたのはこの「ふしぎな庭」一冊だけだそうです。そして、戦後のいわゆるチェコアニメーションに貢献した一人であり、チェコでは彼を知らない人はいません。しかし、業界の巨匠であるトルンカは、ふしぎな庭のアニメーション制作には関わっていません。疑問に思っていたら、トゥルンカの死後5年後にアニメーションが制作されていました。もしトゥルンカがアニメーション制作に関わっていたらプジェチスラフ・ポヤル(監督・脚本)&ミロスラフ・シュチェパーネク(美術)の黄金コンビの作品は生まれていなかったのかもと思うと複雑な気持ちです。
絵本「ふしぎな庭」の初版は1962年、アニメーション放映は1974年〜1977年。

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そして、時を超えて舞台化!

2018年の年末に国民劇場ラテルナマギカで映像とダンスを組み合わせた舞台作品になりました。私も去年(2019年)に観に行きました。だいぶアレンジがされていたのでまた別物として観た方が楽しめるかなと思うのですが、なんにせよZAHRADAファンとしては嬉しいことこの上ないです。どうして今、舞台化されたのか経緯を知りたい...。チェコの場合、日本と違って一度作った舞台作品はなんども繰り返し上演されるので観れるチャンスはこれからもあると思います。私はもう一回、いや二回か三回くらい観たいです。


ちょうど5月1日から、この舞台制作のドキュメンタリー映像もYouTubeにてプレミア配信されています(英語字幕付き)。


余談:私が初めて通ったブルノ市にあるチェコ語の語学学校の教室に絵本のふしぎな庭のポスターが額装されて飾られていました。もちろん大興奮して「ザハラダ!」と言いました。まだDobrý den(こんにちは)しか知らなかった頃の話です。

ああ、ふしぎな庭に迷い込みたい。。。

【instagram LIVE 水曜ノッツ第0回/チェコを愛する女たち/2020年5月9日】

毎週水曜22時は『水曜ノッツ』 聴いてね

毎週水曜の夜22時から、@hato888のアカウントからインスタライブを実施しています!ノッツはチェコ語のnoc=夜という意味です。




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