80代のセンパイと暮らす。(43)
最近新たに加わったセンパイのぼやきは、「手が動かない」。
どうやら、手が硬くなって思うように動かないらしい。こちらからすると、毎日料理出来てるんだから大丈夫じゃない?と思うが、知らない間に物を落とすことが増えたとか。イラつくような、哀しいような、そんな表情をしていた。
そして昨日、成人用オムツパンツのCMを見て、「どういう風にあっちに移行するのかしらね」と。「もう自分ではコントロール出来ないと思った時じゃない?」と私。「そうよね〜」と意味深。「きっと、ああいうの履いたら、もう体は自分で何とかすることを諦めるようになるよね」と、とりあえず釘を刺しておく。あれは75歳くらいの時だったか、尿漏れの悩みを告白されて病院を探せと言われた。すぐに病院に行き、そこで指導された体操をしたら治ったようだった。しかし、また何か起こっているのかも、ちゃんと言わないけど。
当たり前に出来たことが出来なくなることのもどかしさとの戦い。それが老いるということなのだろう。出来ないことを認めなきゃいけない時もあるけど、認めると負けてしまう時もきっとある。センパイが負けないように、ストッパーの役割を果たしていかねばね。何十年後かの自分の姿を想像しながら。