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【開発秘話】毎月20kgが廃棄の額装マット紙を救う!“香るアート”「artme」が誕生した学生インターンのある一言とは?

今年の3月に株式会社80&Companyと有限会社画箋堂の共同プロダクトとして販売開始したルームフレグランスartme。額装マット紙をアップサイクルしたリードスティックが特徴で、アロマも容器もオール京都産で作られています。今回は、そんなartmeが誕生したきっかけや秘話をご紹介いたします。


大正2年からお客様の「つくる」を支え続けている有限会社画箋堂

美術の都として栄えた京都にて大正2年に創業し、それ以来100年余りお客様の「つくる」 を支えてきた画材・額縁の専門店画箋堂。作品づくりの素材や道具を売るだけではなく、額縁オーダー・美術教室の運営・作品の展示に関するサポートなど様々な表現活動を支える「学ぶ」「つくる」「見せる」全てのプロセスに必要なサービスに対応しています。

本来の特性からちょっと意外な使い方まで、画材の持つ奥深い魅力を知っているので、お客様のニーズにあわせて、画材が持っている様々な可能性をご提案することができます。第一線で活躍されるプロから、はじめて制作に取り組むという人まで。画箋堂は表現活動に取り組むすべてのつくり手の味方です。

毎月20kgが廃棄されていた額装マット紙

近年、SDGsといった考えの広まりとともに、リサイクルなどによる資源の有効活用が求められています。画箋堂は、画材、額縁の専門店として額縁のオーダーメイドを手掛けていますが、その過程で「額装マット紙」という厚紙が、毎月の受注で使用する約3割、重量にして約20kgほどが廃棄になっていました。

額装マット紙は、絵画の保護を目的とした厚紙です。品質の安定した中性紙で耐久性もあるのですが、そんな良質な資源を廃棄してしまっているという問題を解決するため、私たちは「額装マット紙」を新たに再利用するためのアイデアを模索することにしました。

額装マット紙とは何かを表した図

ホテルのドアプレートなど様々な案が出ましたが、耐久性を保ちつつも液体を含浸するという額装マット紙の特徴に注目した時に、当時学生インターンだった80&Companyのメンバーが「それって、アロマディフューザーにぴったりな素材じゃないですか?」と一言。

試しに小さく切ってアロマを垂らし、1週間ほど様子を見たところ、香りは持続し紙が破れるようなこともなかったので、アロマディフューザーへ転用しよう!と決まりました。

そして誕生したのが、「artme」です。

オール京都産。額装マット紙をアップサイクルしたルームフレグランスartme誕生

アートの“余白”が、“香り”をまとい生まれ変わるーー。

artme - アトメ - は、アートを飾る過程において、
本来は捨てられていたはずの端材に
“arome”(香り)をまとわせた新しい“art”(アート)です。
まさに唯一無二。

生産地である京都の街並や自然を連想させる嗅覚体験があなたに豊かな時間をもたらします。

ルームフレグランスには、アロマオイル、リードスティック、容器の3つが最低限必要となってきます。デザインをする過程で、京都の美大生・芸大生と深い関わりを持っている画材屋独自の産学連携の取り組みとして、ディフューザーのリード部分を学生コンペで募集し、多くの応募がある中、古典紋様の「立涌(たてわく)」をモチーフとしたデザインを採用しました。立涌紋様は、気運の上昇を示す縁起柄であり、蒸気や煙がゆらゆらと立ち昇っていく様子がリードの役割と重なるartmeのコンセプトに合うデザインだったからです。

また、アロマオイルは京都の森林環境をモチーフに、菫・黒文字・金木犀それぞれに、柚子・黒文字・杉をアクセントに加えたオリジナルの香りに仕上げました。 アロマポットは、京都の伝統工芸である清水焼で一つ一つ丁寧に手作業で作られており、どんなシーンにも馴染むデザインです。 

このように、額装マット紙はアートを「飾る」ものから「香る」ものへ、アロマは「嗅覚」だけでなく「視覚」でも楽しめるものに変化させました。

本来、アートには香りがありません。しかし、今回は香りがメインのアートです。せっかくなのでそれを活かした名前にしたいという想いから、“arome”(香り)をまとわせた新しい“art”(アート)として「artme-アトメ-」と名付けました
実は、画箋堂ではもともとフランス留学する作家・画家との関わりが強く、美術教室「creer」やオンラインショップ「mateie」の名前はフランス語からきています。そのため、今回もフランス語であるaromaにちなんだ名前にしました。

先行販売では目標の倍以上の売り上げを達成し、テレビにも取り上げられる

Makuakeの販売ページ

ようやく完成したartmeを先行販売としてクラウドファンディングサイトMakuakeにて販売開始したところ、目標の2倍以上の売り上げを達成しました。さらに、KBS京都の「スグレモノ」コーナーでも取り上げていただき、売り上げは好調。また、5月には京都・梅小路公園で開催された「循環フェス」にも出展しました。今はグッドデザイン賞にもエントリーしており、エシカルなプロダクトとして活躍の幅を広げています。

artmeは、本来なら捨てていたはずの端材から誕生したプロダクトです。アップサイクルを軸にアートの新しい楽しみ方を伝えて行きたいと考えています。また、誰でも使えるアロマ製品だからこそ、今まで画材に関心のなかった人にも画箋堂のことを知ってもらうきっかけになれば良いなと思っています。

▼artme購入ページ

▼80&Company × artmeの取り組みを知る


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