Reflexion
ミュンヘンの中心部、新・旧絵画館やギャラリーが軒を並べるアートエリアの一角、現代美術館(Pinakothek der Moderne)の向かいにあって、その名も Galerie an der Pinakothek der Moderne にお邪魔しました。
ミュンヘン在住のロザリ・シュヴァイツァーさんのインスタレーションの展示を見てきました。
黄色・マゼンタ・シアン・緑などの原色、パステル調、ネオン色などの様々な色に着色されたアクリル板がメタルフレームから吊り下げられていて、僅かな空気の動きでゆらゆらと揺れています。
長方体のフレームから吊り下げられているものと、アレクサンダー・カルダーの作品を思わせるような、自在に湾曲したフレームにそれぞれがお互いにバランスを取り合って繋がっているキネティック・アートの作品があります。
fata morgana 2020, Acrylglas & V2A-Draht, 100 x 100 x 34 cm
円、四角、極細長方形などのシンプルな図形にカットされたアクリル板は、周りにあるものを反射させながら新しい色と形と動きを生み出していきます。
bambule 2021, Acrylglas & V2A-Draht, 170 x 31 x 41 cm
この日はちょうど、気温が21度にも届く秋晴れの日。陽の光の差し込み加減によって、くるくる、キラキラと一時もとどまることなく、常に新しい表情を見せてくれます。
個人的には、長方体の枠組みのものが気に入りました。枠組の影も一緒に投影されることによって、アクリル板の様々に揺らめく色彩にカチッとしたフレームが与えられ、白い壁に全く新しいグラフィックデザインが誕生するからです。
mystere 2021, Acrylglas & V2A-Draht, 50 x 50 x 20 cm
ちょうどシュヴァイツァーさんご本人が、売却済みの作品の梱包と発送のためにいらっしゃっていました。「影(Schatten)と反射(Reflexion)がテーマよ。」とおっしゃっていました。
展示パンフレットのインタビューではこう述べられています
“私の作品を見ていると、日常が一時中断するような錯覚を起こすかもしれません。それは、時として突然に、荒々しく、あるいは静かにやってくるでしょう。”
リフレクションとは反射という意味の他に、熟考する、内省するという意味もあります。この断ち切られた日常の一瞬に、人は遠くどこかに思いを馳せるのかもしれません。