バーデン=バーデン 5月| 聴く聖者
パドヴァの聖アントニウス。
フランシスコ会の茶色の修道服を着て、幼子イエスを抱いた姿は教会の中で一番ポピュラーな存在でしょう。
ペスト患者、旅行者、パン屋をはじめアントニウスによる守護の対象となる項目はとてもたくさんありますが、先ずは貧困者救済の聖人。像の足元に寄付の小箱が備え付けてあります。
私がお世話になるのは専ら、探し物が見つからない時。
「アントニウスさん、アントニウスさん、あのUSBメモリスティック見付けるのをお助けください‼」
探しものをしている者の守護者でもあります。
とても話術にたけており、生存時から説教師として名を馳せ、各地を回って説教したそうです。
これはドイツ南西部に位置し昔からスパ施設の備わった保養地として有名なバーデン=バーデン市のカトリック教会です。
アントニウスが幼子イエスを伴うのはいわばお決まりですが、ここでは胸にかき抱いて頬を寄せてまるであやしているかのように見えるのです。
しかし一歩あゆみを進めると…。
なるほど。イエスの方が聖人に耳元で語りかけているのですね。
アントニウスの骨太の大きな手に、行動する者の本質を見たように思いました。