積み重なって住むこと
形(ハード)より住まい方(ソフト)
健康に暮らす家で土に接した生活が大切なことを述べました。土に接して体を電気的に地面と同調させ、地球の持つ磁場のエネルギーを受け何十万年の時を掛けて体を作ってきたのが人間です。しかし、最近都会では高層のマンション暮らしも珍しくなくなり、体を作ってきた環境から外れ、めぐりが狂って慢性病になるのではと考えてしまいます。健康を維持するには5階以上の高層階に住んではいけないという意見もあります。
ローマ近郊テヴェレ川河口の遺跡オスティアに2000年前に作られたアパートの原型インスラがあります。アウグストの時代は6階建て、ネロ帝の大火以降は5階建ての中流以下の市民向けの賃貸集合住宅で上流階級の都市生活(ヴィラ)と比べ劣悪な環境に住んでいたと思われます。(ウィキペディア「インスラ」参照)
また、イタリアの中世都市はどこでも周囲に城壁を巡らせ石造りの家々がひしめき合い、略奪から必死で逃れ生き残ってきたことを物語っています。大航海時代に大陸から金銀財宝を持ち帰った略奪に罪悪感を感じられないのはその習慣によるものなのだろうか・・・と、思ってしまいます。
話は横道にそれましたが、長大な城壁は築くに大きな労力が必要ですし、守るのも大変です。できるだけ小さな町を築き効率よく暮らすことが求められ、狭い中に積み重なって暮らすこととなったのだと思います。ローマは大都会ですが、今でも城壁がめぐっており、その中はほとんどアパートで、その階数は6~7階建です。
城壁は町を守るに必要ですが、狭い中に暮らすストレスや健康に及ぼす悪影響も同時に存在します。時代により生活の仕方も異なりストレスも今とは比べようもないでしょう。しかし、人間は工夫して出来るだけ快適に暮らそうと努力するものです。
イタリア人は夏のバカンスに海辺に過ごすことが多いようです。夏休みが過ぎて都会に戻った時、褐色の肌がステータスとなると聞きました。我々日本人はイタリア人は働くのが嫌いだと単純に考えていますが、海辺を裸足で歩き、海で泳ぎ、船に乗って遊んだりすることにより体の内部の環境を知らず知らずのうちに調整しているのかもしれません。狭い都会の中のストレスの解消のために必要な時間がバカンスでないかと思われます。
古代ローマ以来2000年の時間の中で都会に生活する方法の変遷を研究してみるのも面白そうです。日本人には解らない、より快適に暮らそうと出来上がった工夫があると思います。行事やお祭り、そして食べ物が取り上げられる理由も娯楽という名の体の調整の工夫かもしれません。
我々日本人は積み重なって住むことを始めて、まだ100年の初心者です。積み重なって住む工夫は始まったばかりです。
積み重なって住むことには、形やデザイン(ハード)より住まい方(ソフト)がより大切なようです。
1年に一度は温泉に行って露天風呂で体を調整することが大切に思えてきました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?