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本当に ◯LDKでいいの?
個室主義は日本人向きではない
少し前になりますが、TVで佐藤ママの子育てが話題になりました。子供4人(三男一女)をすべて東大の医学部に入れたお母さんはどんな子育てをしたのか興味のあるところです。(なんで4人とも医者なの?とは思いますが。)
もちろん母親は子育てに専念したのでしょうが、気持ちだけではどうにもなりません。子供と接するその時その時の方法が信念に貫かれているのに感心しましたが、中でも子供に個室を与えないというのにはびっくりしました。居間に机を並べ、皆、自発的に勉強をして、寝るときは和室に布団を敷いて一緒に寝る。まるでスポーツクラブの合宿のような生活です。マンションや住宅のうたい文句に3LDK、4LDKなどの部屋数を表す表現が必ず付きますが、その数字の意味を否定するような生活です。
現在、若年層だけではなく40代の中年層でも引きこもりが問題になっています。外国でも引きこもりはあるようでヒキコモリという言葉が英語の辞書に加えられたそうです。日本全国では推計100万人以上が引きこもりになっていると言われ、その原因もいろいろ取沙汰されています。
その主なものに親と子の関係作りの失敗によるとの説があります。とするならば、親と子を分断する西洋的な個室主義に原因があるように思います。日本古来の住宅は襖と障子で仕切られ家全体が一室のようです。特に日本の大部分を占めていた農家は職住一致、冠婚葬祭すべてを一軒の家で執り行い、親子孫三代に渡る協力で生活が成り立っていました。一人隠れて自分の世界に浸ることなど許される暇はありません。
それに比べ核家族化が進んだ都会の何LDKで表される個室住宅では、父親は朝早く仕事に出かけ、夜、遅く帰り不在の時間が異常に長く、子供は帰ってきたら部屋にこもってしまいコミュニケーションをとる時間のない毎日になってしまいます。その結果が閉じこもりになっているのではないでしょうか。
最近は公園などで父親が子供と一緒に遊ぶ姿を見るようになりました。働き方が会社第一から、家庭第一に変わりつつあるのでしょう。ある住宅メーカは「新しい家族室」というもう一部屋を提案しています。リビングが集まって話をしたり、音楽を聴いたり、テレビを見たり動きの少ない静的空間なのに対して、「新しい家族室」は家族でトレーニングしたり、合奏したり、工作したり行動する空間を目指しているようです。家族と一緒に行動的に過ごし、皆のコミュニケーションを図る家が求められているわけです。
〇LDKという作り手(工務店)主体の家づくりを脱して、住まい手主体の家造りが求められていると感じます。