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あれも欲しい、これも欲しい

まあ自分は、強欲であった。
欲しかったものが手に入ってから、
また欲しいものが増えた。

そういう気持ちで書いている。

1年前欲しかったものは、
愛であった。

それは恋人からの愛されたい、
自分を際限なく大切にしてくれる存在への切望もあったが、友達からのそれも。

新しい環境に、いやでも飛び込まねばならぬ
タイミングだったから、心の拠り所を求めていた。

人間関係は、得意ではなかったので余計に、
なんとかしなければもたない、という焦りがあったのかもしれない。

会社の仕事が嫌いではなかったことは唯一救いであったが、
毎日会社で仲良くもない誰かに会わねばならぬことはしんどかった。

失恋も、いまから思うとまだ引きずっていた。
誰からも愛されていない、これからも愛されないのではないかという、自分でも『それは違う』とわかる妄想の中にいた。

ひどく飢えていた。
それだけ手に入れば、いいと思うほどに。

愛は、手に入れた。
彼ができたのだ。

自分の思うところや、譲れないところは
がんとして譲らない人。

衝突した時に、
「わたしは〇〇と思ってるんだけど…」
と歯切れ悪くいうわたしに、
「君はそういう考えで、それはそれで尊重するけど、自分は××と思ってるから価値観の違いじゃない」
とばっさり言う人。

腹が立つこともある。

でもたぶん、心の内をストレートに伝えてくることが、『なに考えてるかわからない』よりずっと心地いいのだと思う。

友人に愚痴をいえば
「だいじょうぶ?その人」と言われるが、
だいじょうぶらしい。

だから十分すぎるほどの
愛を手に入れたのだ。わたしは。

なのに。

どうしたものか。

それで100パーセント、幸せになれる気がしていた一年前のわたしには申し訳ないのだが、

満たされる部分よりも満たされない部分に目がいってしまうらしい。

社会人2年目になったとはいえ、
まだペーペーで、勉強不足だなあと思わされることも多い。
それでも、同僚から一目置かれる存在に
なりたい。これがひとつめ。

最近はじめた宅ワークで
雑な私生活が浮き彫りになりそうなのも
なんとかしたい。
もっと丁寧に暮らしたい。

心が穏やかになるような、
整理整頓された部屋に住みたい。
これがふたつめ。

もちろん、
整頓するのはわたしですけど。

そして最後に、これである。
書くことである。

愛が手に入ろうと、「書かない」自分の選択が、生活の中に欠損を生んでいること。

しばらく目を背けていた。
その選択を目まぐるしい一週間の中で
なにか言い訳をつけるのは簡単だった。

ただ、このご時世で
家で過ごす時間に余裕ができたことで、

「書きたいな」

今、そう思っている。

「『書かないと』そう思ったら、終わりですよ」

もう2年前くらいかと思うのだが、
大学で出会った尊敬すべき後輩に言われた。

その通りだな。

身に染みる。

愛は手に入れた、けど。

もっと欲しい。

もっと。

もっと。

強欲に。

来年、また違うものを欲しがりたい。
今持ってるものに、
新しく欲しいものを迎えて。

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