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2022年5月の読書記録

ツイッターのモーメントが廃止されたので地道に移管。
読書感想は苦手なので、好きだったところ、印象的だったところを抜粋してます。といっても、5月からはじめて7月末頃からとあるジャンルに沼落ちして全然読書してない時期もあるんですが。

今年はいままであまり読んでこなかったジャンルに挑戦中で、詩・短歌・俳句・海外の短編集・青空文庫を中心に読んでいます。

芸術とは、綺麗に手ぎわよく嘘をつくこと、人造の花びらを拵えること、ダイヤや真珠を化学方程式に依ってでっち上げることである。即ちみんなのものを端的に美しくあざむくことである。
稲垣足穂(2005)「稲垣足穂コレクション1 一千一秒物語」
筑摩書房「大統領チックタック氏公開状」P94
稲垣足穂(2005)「稲垣足穂コレクション1 一千一秒物語」
筑摩書房「夏至近く」P100
きらわれたくないという思いからかでしょうか。いろいろな約束をしすぎてしまいました。 どうしたらいいのかしら。フライパンでバターを溶かします。ああ、とてもいい匂い。
三木卓(2008)「詩の玉手箱」いそっぷ社 P123
カート・ヴォネガット(2017)「人みな眠りて」河出書房新社
「エピゾアティック」P45
作 トーン・テレヘン/訳 長山さき(2018)
「きげんのいいリス」新潮社 P56
「ぼくはときどき自分に疲れてしまうんだ」アリがそう言った。「リスはそんなことない?」「自分のなにに疲れるの?」リスはたずねた。「わからない。ただなんとなく、なにに、というわけではなく」
作 トーン・テレヘン/訳 長山さき(2018)
「きげんのいいリス」新潮社 P83
シャーロック・ホームズが事件を解決していくというよりも、コナン・ドイルがどのような思考で事件を組み立て、思考で事件を組み立て、シチュエーションを考え、解決に向かっていくのか想像をして、クライアントからの希望と捉えて事件現場の建物の設計を進めていくようにしてきました。
文 北原尚彦/絵・図 村山隆司(2022)
「シャーロック・ホームズの建築」
株式会社エクスナレッジ P214
メアリ・ポピンズは、あきれはてたというように、フンと鼻を鳴らしました。「知らないんですか?」とあわれむように言いました。「だれだって、自分だけが知っているおとぎの国があるっていうのに?」
作 トラバース/訳 岸田衿子(2019)「メアリ・ポピンズ」
朝日出版社 P34
すべての記憶力の中で唯一価値あるものは夢を思い出すというあの名だたる神の贈物だけ アントニオ・マチャード
ホルヘ・ルイス・ボルヘス/訳 堀内研二(2019)
「夢の本」河出書房新社 P111
そんな折、『夢の本』を読み返すと、ほらやっぱり、という気持ちになる。夢は現実の影なんかではない。蔑ろにしていると、いつかきっと痛い目に遭う。そんな気がしてくるのである。「解説 秩序と混沌」岩崎由依
ホルヘ・ルイス・ボルヘス/訳 堀内研二(2019)
「夢の本」河出書房新社 P111
木下龍也・岡野大嗣(2017)
「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」
ナナロク社(P1)
老犬を抱えて帰るいつか思い出す重さになると思いながら
木下龍也・岡野大嗣(2017)
「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」
ナナロク社(P35)
さらに、アクアリウムはもう一つ重要な役割を果たしていた。想像力の触媒となり、観察者の視野を広め、人間の魂の奥底を想像し、おそらく未知のものを思い描く力さえ与えてくれた。
ベアント・ブルンナー/訳 山川純子(2013)
「水族館の歴史 海が室内にやってきた」白水社 P129
一方では環境の破壊や損失を嘆き呪いつつ、他方では自分たちの趣味が及ぼす悪影響をしばしば忘れがちなのだ。
ベアント・ブルンナー/訳 山川純子(2013)
「水族館の歴史 海が室内にやってきた」白水社 P177
館内はこんな深夜の宿泊客のために、明るく照らしだされている。夕映えのような蜜橙(タンジェリン)ライト。漆喰の壁を淡紅色(ときいろ)にそめて、市松もようの床にぼくたちの影を長くのばした。〈Bonne nuit!(ボン ニュイ)〉
長野まゆみ(1995)「夜間飛行」河出書房新社 P35
ほんの少し老紳士の鸚鵡に気を取られている間にプロペラ飛行機は夜の海を遊覧飛行していた。夜天(そら)から降って来る一カラットのシトリンダイヤモンド。旋回すると、そこらじゅうにちりばめられたシトリンが見えた。飛行場も檸檬色に煌(かがや)いている。
長野まゆみ(1995)「夜間飛行」河出書房新社 P53
”神さまが 守ってくださるように。わしは お礼はなにもいらない。さあ海へお帰り。ひろびろとした所で 好きなように泳ぐがいい”
A.プーシキン/訳 みやこうせい(2004)「金の魚」未知谷 P4
田の神まつりは、水稲耕作という日本の最重要伝統産業に関わる民俗信仰で、日本社会の基層文化と密接しており、柳田国をはじめとする民俗学研究者により検討が加えられてきている。
森田 俤・金田久璋(1996)「田の神まつりの歴史と民俗」
吉川弘文館 P4
自分のままでいたらどうでしょう?孤独で、なににも確信がもてなくて、少し不幸かもしれない。でも、少し幸福でもあるのでは?
作 トーン・テレヘン/訳 長山さき(2016)
「ハリネズミの願い」新潮社 P21
でもハリネズミはカミキリムシが唯一のお客さんで、自分はカミキリムシになにも望まず、ただいっしょにお茶を飲み、なにも言わずにうなずきあい、カミキリムシが帰っていくことを求めていたのだ。
作 トーン・テレヘン/訳 長山さき(2016)
「ハリネズミの願い」新潮社 P23
それがだれであっても、彼らは死へとはじき飛ばされ、未来を断念せざるをえなかった。死者たちはその死を生き残った者たちに返し、生者たちは生の終わりが来るまで嘆き悲しむ運命を担わされるのだ。
イーディス・パールマン/訳 古屋美登里(2020)
「蜜のように甘く」亜紀書房 P23
猫の骨いづくに埋めむ蓬草 根を分け掘りぬまた逢ひたくて
春日真木子(2018)「何の扉か」角川書店 P78
入道も鯨も軌跡を残さずて己を脱ぎけりあをき夏空
春日真木子(2018)「何の扉か」角川書店 P155
くり返し胃潰瘍患う看護士のA君 わたしの所為じゃないよね
前川静子(2000)「人恋うこころ」母船短歌会 P81
満たされて溢れ流れて空になるまでを欲るかも人恋うこころ
前川静子(2000)「人恋うこころ」母船短歌会 P165

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