生きる重み、命の重きを描く『竜送りのイサギ』レビュー
「………あのさ 今からでも逃げちゃわない…?」
ああ、なんて瞳(め)をしているんだ、と思った。
竜が棲む、罪人がその命を終わらせるための地、陵獄島。
罪を背負った者たちの首を断つために誂えられた首打役、櫛灘イサギ。首斬りの達人という意味合いを込め「斬聖」と呼ばれる彼はまだ少年で、幼さの拭えない顔立ちにはどこか「諦観」の憂いが滲む。
何を隠そう、私は星野真著『竜送りのイサギ』を読んでから彼、イサギに王道少年漫画の主人公に覚える胸のときめき、燃えるような隆々たる感動を感じざ