---にちようびのアトリエ---変化することと、変化させられること
生活や仕事、ひととの出会い方、向き合い方。4月からいろいろ変わって数ヶ月がすぎた。
そのあいだ、変化するもの、変化することについてずっと考えていた。
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変化は怖い。変化そのものが苦手だ。ずっとそう思っていた。
でもその苦手としている変化をよくよく見ていくと、自分のなかのある欲望とであうことになる。そこにあったのは「変わりたい」というつよい思いだった。わたしは変化をひどく怖がりながら、変化することをつよく望んでも、いた。それでいて、自分のなかの安心を求める思いは、変わらないものを望んでも、いる。
変化はいつも向こうからやってきた。わたしはその勝手さに常に疲弊していて、いろいろなことを諦めて、変化を受け入れた。いや、ちがうな、変化に従った。自分から変わろうとしたこともあったし、頑なに変わらなかったこともあった。変わるふりをしたこともあった。
ある日、気付いた。わたしが苦手だったのは、変化そのものではなく、変化を<させられる>ことのほうだ。気づけば、「させられていること」でわたしはあふれていた。あふれているからいつも溺れそうで、次から次へと打ち寄せる波を手でかきわける。そんな海をずっと泳いでいた。
でももう、あの海を泳がないでいいや。ふいにそう思った。
するとあの怖さがゆっくりと手から離れていった。
それより、自分がこうしたい、こう生きたいほうをみた。そっちの海はずいぶんのんびりしていた。こっちの、湖みたいな海をこれから泳ごう。疲れたら、岸辺で休もう。
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荒い海を泳ぐこどもたちと出会ってきた。その子たちは自分より他の子(もしくは親)を優先していた。どこか大人びていて、やさしい子が多かった。
ときどき、その子がわたしの目をのぞきこむことがあった。もしくは、わかりやすく目をそらした。そんなときは、その子とふたりで過ごした。いろいろしゃべってくれる子もいれば、黙ってそれぞれ別のことをして過ごしたりもした。彼らは、対等に話をしてくれる大人との時間を好んだ。ひとりでいられる時間を、好んだ。わたしもそうだった。だれかといると、自分がなにをしたいのかわからなくなってしまうから。だから、ひとりでいたかった。
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今回、向こうからやってきた変化を、わたしは時間をかけて怖れた。ときに、近くの、遠くの友人たちに助けを求めた。動きすぎたり、動けなくなったりして、無理していたなとわかってからはしっかり休むことにした。
必要なだけ休んだら、次に歩き出すときをからだが教えてくれるだろう、と呑気に構えていた。やっと実感する。からだが、追いついた。自分のやり方が、またしても間違っていたことに気づいた。
わたしは、自ら変化できるだけの余白を自分のために用意することにした。その時間を、からだはずっと待っていたから。
変わりたい意思をすこし先に置く。
追いかけることはもうしない。
すると、ひとりの先に、仲間がいたのだった。みんなもまた、それぞれ怖さを抱えていた。怖いのは、自分だけではないことを知った。
今、わたしがいる場所には、ゆらぎの猶予がある。変わっていっていい、間違ったら戻ればいい。長いあいだ、こどもたちに伝えていたそれを、自分にも伝えることにした(今まで自分ができていないのに、こどもたちに伝えていたのだから、情けない話だ!)。
そうあることは、あまりに不確かなことかもしれない。けれど、そういう在り方をわたしがわたしに認めてあげればいいだけだ。そのほうがずっとたしかで、ずっと自由で、ずっと元気。心地よさも、安心も、そこにあった。
ゆらいでいる、ということのたしかさ。
変わっていくことのできる余白を、わたしにも、人にも、用意しておく。
その人のひとりを、邪魔しない。
それが、こどもたちとやってきたこと。約束してきたこと。
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こどもたちはずっと変わっている。やわらかく、吸収し、さっぱり忘れて、あたらしい場所へ向かう。そのことをずっと、こどもたちから学んできた。ずっと、こどもたちに教えてもらってきた。
一体、わたしはなにを大きく考えていたんだろうな。自分の幼さと、大人であることを両手に考える。
ひとりの子が大きくなっていくあいだに出会うたくさんの大人。わたしはそのなかのひとりだ。親には親の、友達には友達の、学校の先生には学校の先生の、近所のおじいちゃんには近所のおじいちゃんの、やることがあるようにわたしも自分にできることをするだけだ。
もし、つくることが好きだったら、いっしょにつくってみよう。そう声をかけてみる。もしかしたらいっしょにできることがあるかもしれない。そうやってそれぞれが、こどもが育っていく場をつくる。これからをつくる人たちに。そしてわたしたちもこどもから学ぼう。
目の前の、活き活きとした、ひとつのいのちと出会う。ここから。これから。
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