《記録》10/25 にちようびのアトリエ「ちいさな声をきく」
半年ぶりのアトリエは、植物園でおこなうことにしました。
朝10時。ひさしぶりに会うこどもたちに、わたしのほうがドキドキしています。
この日集まったのは、年長〜4年生までの女の子4名。入口でお家の方に手をふって、さっそくこどもたちと茂る緑のなかへ進んでいきました。
歩き出すと、10月だというのに蚊に刺されたり、拾った木の実からムカデが出てきたり、の大騒ぎ。「帰りたい〜!」と泣き出す子もいて、「さてどうする?」をみんなで考える。
こどもたちとの冒険は、こんなはじまりでした。
木の実のスケッチ
それぞれが地図を片手に、相談しながら歩きます。神社をみつけたあと、「温室だったら虫はいないんじゃないか?」と温室に向かうことに。
途中、ちいさな画用紙をこどもたちに渡すと、さっそく朱い実のなる木をみつけてスケッチをはじめました。こどもたちの目の低さになる朱が、樹々の緑のなか、なんともあざやか。
木の葉ならべ
歩きながら、いろんな形、おおきさ、色の葉っぱを拾います。温室に着いて、みんなでおやつを食べていたときのこと。
「わたしはこうかな。」「う〜ん、わたしはこう。」
と<木の葉ならべ>がはじまりました。素敵なアイデアだなぁ、とながめていると「はい、先生の番!」
5人が順番に、ならべて、くずして、かたちのリレー。
こどもがつくりだす遊びのセンスには、ほんとうにドキッとさせられます。前半は虫騒ぎがあり、どうなるかしら、と思っていたけれど、青空と緑を歩くなかで、ちいさなうつくしさをみつめる目はすこしずつひらかれていたのだ、と嬉しくなりました。
こういうアイデアをスッと受け入れられるように、できるだけ最小限の荷物でいよう。両手がふさがってたら、こんな素敵なアイデアを拾えないものね。またひとつ、こどもに教わったこと。あらためて、幸福な仕事だななんて思う。
こどもたちの対話
この日、中心に置いていたのは、こどもたちの対話でした。
あっと言う間に過ぎていく時間を伝え、予定していた糸電話のワークショップも含めて「どうしようか?」と投げかけると「もうすこしスケッチしたいな」「みんなでどろけいしようよ」「糸電話もやりたい!」とばらばらの声。年上の女の子たちが「時間を決めて全部やろう!」とみんなの話をまとめてくれました。
急ぎ足になった部分もあったけれど、こどもたちが決めたこと。やりたくない子は「やらない」と言って、スケッチをしていたし、それでもしばらくすると、最後は全員で追いかけっこ。そうして、時間をすこし過ぎて、お家の方が待つ植物園の入口へ戻りました。
出会う場所
今回、ひさしぶりのワークショップをしたきっかけに、ひとつの記事がありました。
イタリアのある学校で、青空の下に机と椅子をならべ、先生たちが学校再開の準備をする写真。今年の夏ごろのことだから、いろんな面で不安や疲労があっただろう。でもその写真をみたとき、<場>というのは、こうして誰かがつづけてきたものなんだ、誰かがつづけていくものなんだ、そう思えたのでした。
どんなことが起こっても、生活は変わらずにつづいていく、というのが、秋になってわたし自身がようやく取り戻せた感覚でした。食べること、眠ること、人と出会うこと。
こどもたちの経験の場をつづけていこう。ゆっくりでも、できる範囲で。今はそんなふうに思います。
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