ハッピーエンド
昔むかしあるところに、シンデレラという名前の少女がおりました。彼女は貴族の屋敷で家政婦として働いていたのですが、そこに住む未亡人の奥様とその二人の娘達は美しいシンデレラを妬み、毎日のようにシンデレラにたくさんの家事をやらせ、意地悪をしていました。
そんなある日のこと、お城で舞踏会が開かれ、その場で王子様が結婚相手を探すという噂が屋敷に届きました。奥様と娘達は自分たちこそ王家と結ばれ金持ちになるのだと大騒ぎ。
「シンデレラ、いつ王子たちがうちを見に来ても恥ずかしくないよう、屋敷のすべてを綺麗にしておくのよ」
そう言い残し、三人はお城へ向かっていくのでした。
シンデレラも舞踏会に行きたくてたまりませんでした。
「でも、こんなにみずぼらしい格好では無理だわ」、そう思っていると魔法使いの妖精が現れ、なんとシンデレラに美しいドレスと馬車を用意してくれたのです。
「さぁ、これで舞踏会へ行っても恥ずかしくないわ、いってらっしゃい。ただし、0時には帰ってくるのよ。魔法が解けてしまうからね。」
シンデレラはあまりに信じ難い出来事に驚きながらも、急いで舞踏会へ向かいました。
舞踏会では素敵な王子様と大変美しいお嬢様が踊っておりました。どうやら、彼女が王子様に見初められた人のようです。
「なんてロマンチックなんだろう…」、シンデレラはうっとりしてしまい、二人から目が離せません。豪華なお城、美味しい食事の数々、美しく着飾った人々、優雅な踊り。この贅沢な空間に、家政婦にすぎない自分が参加できた幸せでシンデレラは胸がいっぱいでした。
「もう充分楽しんだわ、そろそろ帰りましょうか。」
シンデレラは馬車に乗って帰ります、舞踏会の余韻に浸るようにゆったりと。屋敷に戻ると、シンデレラは身につけていたものを部屋に飾って眠りにつきました。
翌朝シンデレラが目を覚ますと、ドレスやティアラはあとかたもなく消えていました。しかしガラスの靴だけは残っていたのです。
「やっぱり、夢じゃなかったんだわ」
シンデレラはまた、嬉しくなりました。