理系のMBA 夏休みの過ごし方
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理系でビジネスやファイナンスに興味があり、現在MBAに通っている方は、そろそろ前期が終わるころではないだろうか?とても優秀な方は理系の研究や博士課程での苦行に比べれば楽勝だったという方は、その調子でいけば当初の目標は達せられるのであろう。一方、手ごたえがない、理解が進まず、退学したいと思っている方は下記が参考になればと思う。
暗黙の前提知識の差を埋める
まず、MBAは実践的な専門学位とはいえ、経済学や経営学を基礎とした修士(に相当する)過程に相当するという観点では、経営学部の学部生が学習することが基礎となっていることが多々ある。つぎに、ご教授下さる教員各位は、そのような基礎がないことも考慮した講義を設計してくださる神のような方がいる一方、そのような基礎があることは当然との前提でがんがん講義をすすめられる鬼のような教員もいる。(神と鬼はあくまで受け取り側の負荷の尺度)さらに、講義で出てくるワードやフレーズはMBAに合格(通学)される方々が他の書籍で知っていたりするため、深く理解できていなくても「わかる」という錯覚に陥りやすい厄介な課題もある。
そこで、おすすめは、マクロ経済学、ミクロ経済学や会計学などの学部生が学ぶ基礎科目を夏休みに徹底的に学習することがおすすめである。学習にあたり、どのような書籍に当たるべきかは、自身がとっていた/とろうとする講義の担当教員の学部生向けシラバスを探ったり、教員に直接聞いても良いと考える。(私が通っていたコースは基礎講義群が開講されていたのでとても助かった。)
数学が売りな理系がつまづく必要な数学基礎力
私は数学には少し腕に覚えがあると自認していたためさほど不安を感じていなかった。しかし、理系の専門によっては専門と遠いため未習熟、使っていないので忘れた、またはそもそも難しいといった問題が発生する。まず、経営学の研究やMBAの基本的な理論構築は実証分析の結果が基礎となっていることが多い。そこで、確率・統計は重要な基礎科目となる。私はここで結構つまづいた。基礎統計や線形代数の力が前提とした講義についていけないことがあった。もう一つは、微分積分・微分方程式である。少し専門用語になるが、「効用の最大化」に微分を利用したり(これは高校数学の範囲)、「デリバティブの価格付け」に関するブラックショールズ方程式は難易度の高い微分方程式を解くことが要求される。
機械学習などが専門の情報工学の方々は大丈夫かもしれないが、固体物理(ナノテクノロジー)が専門の私は結構大変であった。私見だが、バイオ関連の人たちは結構大変ではないかと思う。よって、数学力の確認と強化は後期以降に役に立つと考える。
※デリバティブに興味がある方は下記をどうぞ。
学習したことを使ってみよう
前期で学習したことは文系各位にとっては当たり前に近い内容も多いかと思うが、皆さんは理系である。よって、皆さんの職場やコミュニティにとっては、とても刺激がある内容ではなかろうか。もし、文系職場にいる場合は、学習したことをアウトプットに対するフィードバックを得る機会になるのではないか?これらには、二つの良いことがあると考える。一つは、自身の業務時間が大幅に減少している場合、自身が学んでいることを表現する/自身の業務に役に立つことで周囲の納得感を高める機会になる。(応援してもらえる)もう一つは、自身の学んだことの定着と応用が間違っていることを知ることができる。特に、経営企画などの部門にいれば、その道のプロがいる可能性があり、ご自身の学習成果をぶつる好機である。(厳しいフィードバックは覚悟のうえで)
皆さんの状況はどうであろうか?大変な思いで通学して、ようやく半期がおわりホッとしているところであろうが、ここが勝負ではないか。是非、復習も含めて、上記の実践を一考いただきたい。ただ、あまり専門用語や横文字を並べた会話がすぎると煙たがられる可能性もあるのでご注意を。後期の学びが深くなる準備ができ、周囲の協力がよりもえられることを!