金融、財務戦略が理系におすすめ

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 私の周囲の狭い範囲ではありますが、私のように研究に近い方々にとって、事業に関わる知識は遠い存在に思える。研究もその出口として事業化を目指すことから、マーケティングや競争戦略については自発的に学ぶこともあるかと思うが、金融・財務は遠い存在と考える(ていた)。
 理系の実務家は、自然現象を各種の理論を用いて読み解き、利用し、技術の社会実装をすることから理論などについては大事にする傾向がある。しかし、企業運営などの理論的な軸の一つである金融・財務については重要との考えに行きつかないと思う。
 そこで、理系にとって金融・財務コースを学ぶことは必要なのかという疑問に対しては、必要かつ重要であると考える。自分の体験として、下記が理由としてあげられる。
 まず、そもそも簿記的なものを財務と勘違いしている程度の知識しかない人が多いように思われる。もちろん、簿記も重要ではあるが、それは会計の一部分であり、上位で重要なコーポレートファイナンスなどの知識が欠如していると考えられる。(少なくても自分は不十分だった)加えて、この辺をそれほど理解されずにCVCを担当している人も少なからずいるのではと推察する。次に、金融・財務は理論体系が整備されているが故に、それを体系的に理解していないと、自習で必要な時に断片的な知識を取り入れるのでは不十分であると思う。加えて、どこまで理解していれば十分かという相場感も判断が難しい。最後に、一度コンセプトが理解できると経営学よりも理論体系が整備されているため、理系には理解しやすい。また、自身で事業を考えたり、CVCに近い仕事をしている時の考える軸が増え、財務戦略も含めた事業を考えることが可能になる。リアルオプションなどの意思決定の理論には2次元の偏微分方程式など熱・統計力学の知見がそのまま生きるなどの理系ならではの長所もある。
 私のように、企業で部下がおり、家族もいるような立場では、時間にどうしても制約があるため、同じ時間を投入するのであれば、理系人が金融・財務を選択することは良いのではないかと思う。

記事を書くときの素材購入の費用などにさせてもらえればと思います。