理系のファイナンスにおける選択肢(クオンツというキャリア)
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これまで、どちらかというと事業立上げや運営に必要な内容について書いてきたが、もう一方の理系ならではのファイナンス分野での活躍の可能性について記載したいと思う。
計量経済学の分野では、先物やオプションという金融派生商品の価格付けが重要なテーマである。その理論的な価格付けには、ブラック・ショールズ偏微分方程式というものが利用される。これは、量子力学のシュレーディンガー方程式や電磁気学のマクスウェル方程式のようなものである。銀行や証券会社などの文系の会社と思われているところで、このような派生証券の値付けを行う人々は「クオンツ」と呼ばれている。(私はクオンツと聞いて、何か量子論と関係があるのかと勘違いしたが。)この「クオンツ」と呼ばれる人たちは理論物理や数学を専門としていた方も多く、文系(+理論に弱い理系)の方が理解できない部分でもあり、その情報の非対称にもより、難しいことをしてくれる頼もしい人たちということで(ここのあたりやゆるいエビデンスと推察)高給である人も珍しくありません。これらの人たちは、各部門から派生証券の値付けを依頼されたり、新しい理論をトレードに応用したり、新しい方法論を見つけたりということをされているようです。特に理論よりの理系人にとっては、キャリアチェンジの方向性としてはありではと考える。
では、理系の会社にいる理系人が「クオンツ」になるにはどうしたらよいのか?そこで、ファイナンス系のMBAコースが役に立つと考えられる。ファイナンス系のMBAコースには、計量経済学の専門家の先生がそろっており、その方たちは金融関係の方々と人脈がある。加えて、非常勤講師の先生も金融機関の場合が多い。(かつ、大学で教えられるほどなので、かなりトップクラスの「クオンツ」人である。)よって、MBA期間中に大学の先生と共同研究で実際にクオンツ分野の研究成果を出すか非常勤講師の先生の講義の試験でハイスコアを獲得し、アプローチするという方法もあると考える。(前者の方が可能性は高いと推察)
私はリアルオプションにつながるため、派生証券の講義を受講し、とても楽しく受けていたのですが、事業の方が好きかなとなりました。一方で、理系人の中には、せっかくの鍛え上げた理論のブレインパワーが企業で利用する機会がなく、残念な思いをしている方がおられれば、それを金融分野に適応することで自身のやりがいや収入を増加させる機会になるのでは考える。(その結果、金融商品の運用成績がよくなり、日本の税収や年金の運用益が増加すると嬉しいなと考えている。)