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烏と一緒に初日の出♪♪
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空が明るくなる、★星は一つもなくなっていた、薄っすらと東の空オレンジ色、冬みかん色が美味しそう。
それから待つ事一時間あまり、2023年の初めての太陽は見えて来ない・・・嫌~地球よ速く動け、動くと怖い、ガックンガックン油の切れた機械の様になったらどうしょう、等と想像してニヤリとしていると、私の車を見つけたカラスのカー子が飛んで来ていた。
「カー子 今食べ物持っていないのよ」
ウインドウを開けてカー子に話しかけると目をキラキラ、何か貰えるのかな~とソワソワが伝わる、おもむろにウインドウを閉めるとカー子は首を捻り東の方を向き動かなくなった。
7時近くでようやく見え始めた太陽、カー子と一緒に一時間程初日の出を待ちわびて、そして有難い新年の朝日を拝んだわ ♪♪ 眩し過ぎて直視出来ない、数枚写メで長居は無用だわ、車を発進させた。
カー子は車を誘導する様に前方を低く飛んでいる、コヤツの魂胆は知っている、食べ物を貰えると思いジーと私の車の横で一時間も待っていた。
そんな魂胆を知っていても生きている者が隣にいる状況に、心が柔らかくなり嬉しくなる。
人なんてそんな者なのよね、やっぱり一人でも大丈夫なんて肩肘張っていても寂しい生き物なんだわ、ねぇカー子、戦いの末に食べ物で懐いて来たカー子さん、毎年二羽程の雛を育てて、あの戦いの攻防から早いもので20年近くも経ってしまったわね。
「カー子 今日はキャットフードふたつかみよ、今度来る時は大好物のパンを持って来るからね」
猫の餌では不服らしい、近づいて私を見上げている、首を傾げて見上げられても、ない物は出せないからそのままホッタラカシにすると諦めた様に食べている。
毎年カー子の子供達は半分以上猫の餌で育っている、よって他のカラスの子より成長が二か月位遅くなっているみたいだわね~、自然界にはそんなにも食べ物がないのだろうか ?? 探そうとしていないのか ?? 雛から離れられないのか ?? 困ったカー子だけど我が子を育て上げ、夏終わりには親に餌おねだりの雛達が電線の上でガーガー煩く鳴いている光景が見られる幸せかな~??
ああ~~煩いわね~真っ赤な口を開け続けて、もう一人立ちしなさいとカー子は餌をやらなくなると、子供達はさあ~大変しつこく親を追いかけておねだりの声がかすれる頃には、諦めとお腹が空きすぎて自分から餌を探し初める。
そして冬にはカー子と夫なのか奥さんなのかは分からないが、二羽だけが実家の裏の木々の間に住み着き、カラスの巣が5~6個出来ている。
新年早々初日の出をカー子と拝んでしまったわね、縁なのかしら?