モグラのトッポス(・稿4)
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「よぅ トッポス」
「うわ〜っ」
トッポスは巣穴に身体の半分以上入った当たりで、突然お尻がペチッと叩かれ、おまけに声が大きい、驚いた瞬間にバタバタとうごめき巣穴にぶざまな格好で転げ落ちてしまった。
「そんなにビックリされるとこっちもビックリしてしまったよ」
目を見張り振り向いた巣穴の入り口には、クマネズミのピピムが巣穴をキョロキョロ見回しながら立っていたのでした。
「な~んだピピムか ビックリし過ぎて心臓が止まったよ、優しく声を掛けて欲しかったな」
「オッ 猫なで声でか ? ト~ポ~スさ~ん か ?」
身体をくねらせて目はトッポスを見詰め、両手を身体に付けて手を開いている、気色悪い。
「それも気持ちが悪いな」
「だろっ 俺じゃあないな~」
「ピピムが僕の所に来るなんて珍しいね」
「まぁなっ 話しが流れて来たんだよ、トッポスが可笑しくなったとか、兎に角何も話さなくなってこの世の者ではないようだ、とかなんとか、謎解きの俺としちゃぁ興味深々で居ても立っても居られない・・・とね(笑) 」
「エーッ 僕が可笑しくなったのか・・・そうかも知れないな」
「やっぱりそうなんだ」
二匹で涙を流して笑い転げた、笑い過ぎて呼吸が苦しい、野山の木々には若葉が生い茂り、ソチコチで沢山の花々が咲き始めている。
久し振りの青空が広がった、ほんの少し差し込む光りがトッポスの巣穴をいつも以上に明るくしている。
すると一本の薄い黄色の光りの線がトッポスの目の前に現れた。
瞬く間に光りの海が波打ち極彩色でトッポスとピピムを包み込む、クマネズミのピピムは呆気に取られ、口を開けたままトッポスの前で一本の枯れ木の様になっている。
「ピピム凄いだろう この光りと色の海をもう一度見たくて待っていたんだよ」
「ああ~ 凄いな~ 俺も初めて見たよ、話しには聞いた事があったけど、本当にあるんだな」
「だろう・・えっ 知っていたの ? 」
「聞いた話しだよ」
そう言うとピピムは光りの海の中を進み始めた、トッポスが気になり持って来た石の所迄行き石を持ち上げた。
すると光りの海は忽然と消えてしまった。
「あ~~ピピム~ 何するんだよ~せっかく見れたのに消えてしまったじゃあないかよ~」
「そんなにがっかりするなよー 出所と原因が分かったんだから、喜んで欲しいな~」
そう言うとピピムは石を元の位置に置いた、その瞬間又光りの海が現われた。
「どうなっているんだ ? 」
「簡単な話さ 太陽の日差しがこの石を通って広げているんだよ」
「へえ~ 物知りだね~」
それからピピムは沢山の光りの事、とりわけ日の出から日の沈み、海がキラキラ光る様子などをトッポスに話した。
「ピピムは色んな事知っているんだな」
「全部聞いた話しだよ、実際に見た事がない、俺もこれを初めて見た位だからね」
「ふ~ん 見たいと思わなかったんだ」
「まぁな」
「食べ物探しが大変だからな、それどころではないかな」
「ふ~ん ふ~ん」
「なんだよ そのふ~んは 余計な事話してしまった気がして来たょ 謎も解けたし俺は帰るよ」
「ああ 心配してくれてありがとう」
「うん 何かあったら何でも聞いてやるから 何時でも訪ねて来てくれ じゃあな 」
「うん 分かった」
ピピムは光りの海の中から外に出て行った。
つづく