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愛猫ビーよ・そして

   975文字        ヤレヤレ~4

 実家には15歳になるオスの猫がいる、ポピーという名前でとても穏やかな性格をしている。
 白・黒・グレーのトラ縞で綺麗な猫、尻尾はビーとは正反対で短いのがお情け程度に付いている。
 私が東京から連れて来た猫ビーを可愛がってくれたのに。
 ビーは成長した、2歳を過ぎた辺りから、この実家に元々いたポピーを付け狙うようになっていた。
 ボス争いなのだろうと理解はして居るが、ビーは言うことを聞かない。
 ポピーは全く争いをしよう等とは思っていないらしく、避けて遠巻きにしていた。
 私は近付け無い様に何時も見張って居なければならなくなって・・・ポピーをかばうとビーは、不思議とも怒りとも言えない目で私を見つめて来る。

 動物の本能を押さえつける事の難しさが日に日に押し寄せてくる。

 それでも何とか月日は流れ、次の年の夏終わりが巡ってきたあるお昼過ぎ、道の真ん中にチョコンとポピーが私を見つめている気配に気が付いた。
 
「どうしたの ? ポピー」

 近づいて撫でてあげる。
 ポピーは満足した様に道なりにポコポコ歩いて見えなくなった。

 二日間ポピーは帰って来なかった、そして帰っってくる。
 次は五日間、帰って来て暫くは普通に甘えてそして帰って来ない日にちが長くなる。
 今回は二週間以上になる、ポピーの歩く姿や、もしや何かに襲われてもう帰って来ないのかしら、沢山の事に思いを巡らす。
 一か月振りにほんの少し痩せて帰って来た。
 
「何やってたの~」

 帰って来たポピーを抱き上げ心配していた事をクドクド話す。

 ポピーはそれから何日家にいたのか、もう記憶にない。
 秋晴れの良いお天気の16時頃、矢張り道の真ん中にポピーがチョコンとこちらを見て座っている。

「ポピー又行くの ?」

 声をかけるとポコポコ遠ざかり、又、チョコンと座りこちらを見ている。
 何度もそんな事を繰り返してポピーは道なりに姿が見えなくなった。
 その間、私は駆け寄りポピーを捕まえて、もう出て行かない様にしようか ? 色々考えたが、それはしない方がいいのでは無いかと思った、又暫くすると返って来るだろう希望、帰って来て欲しい、もう帰って来ないという感じの方が強い、理解出来ない感覚が寂しく感じた。
 
 それがポピーを見た最後となった。

 ポピーは私に最後の挨拶をしていたのだろう。
 
   続く



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