モグラのトッポス(・稿6)
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瞬く星々、茂みに付いた夜露はまん丸いお月様を見つめている。
「トッポス~ トッポス~ ? あれっいないのかな~この間はごめんよ~謝りに来たんだ」
三回程の夜が明けたトッポスの巣穴はシーンと静まり返っていた。
クマネズミのピピムはトッポスの好物の肉団子を持って、辺りを見回しましたがトッポスの気配が全くしないのです、光りを通す石も見当たりません。
ない、ない石がない、あの石がないと俺は困る、あれから三回の夜が過ぎただけだ、準備が必要だった。
クマネズミのピピムは一生あの石で楽をして楽しく過ごそうと考えていたのである、それが全部消えてしまった事になる、アタフタと沢山あるトッポスの巣穴を巡っては見たが、何処にもトッポスの匂いも気配すらない。
外に飛び出しうさぎのビゴルは居ないかとキョロキョロ「まったく今日に限って誰もいない」ピピムは舌打ちをしながら、もしかしてそこら辺にトッポスがいるのではないかと探し回って見たが見当たらなかった。
「おいおい 俺になんの挨拶もなしに何処かに行ったのか ?」
ピピムはブツブツと独り言をつぶやいた。
「あんら~ピピムさんではないですか~オッ今日はお一人様でいらっしゃいましたか」
うさぎのビゴルは怪訝な顔つきをしながらピピムに近付き声を掛けた。
「まったく・・・嫌な言い方しないでくれよ」
「そう聞こえるだけの事をしただろう」
「それは謝まるよ 俺が悪かった 今はそんな事言っている場合ではないトッポスは何処か違う所に行ったのかい ?」
「えっ 俺は何も聞いていないし知らないけど」
「巣穴にトッポスが居ないんだよ 探し回って見たけど匂いも気配すらない、 もしかしてと思ってそこら中探していたんだけど 姿 形が全く見つからないんだよ ビゴルなら知っているのかなと思っていたんだ」
「いや知らない えートッポスが居なくなったのか ? 」
うさぎのビゴルは信じられないと言う目をしてクマネズミのピピムを見た。
「トッポスが居なくなったのはお前があんな事をするからだろう」
「それは悪かったと言ってるだろう」
「何をそこで喧嘩しているんだよ」
通りかかったリスが木の上から声を掛けて来た。
「トッポスがいないんだよ、何処にもいないんだよ見なかったかー」
クマネズミのピピムは木の上にいるリスを見上げながら、トッポスの事を知っているのではないかと思った。
「僕は見ていないな~ 皆に聞いてみるよ」
リスはそう言うと隣の木の枝に飛び移り、あっという間に姿が見えなくなってしまいました。
「俺も探しに行って来る」
うさぎのビゴルはリスとは反対方向へ急いで走り去って見えなくなった。
森中にトッポスの事が知れ渡り、口々に見当たらない、見つからないと言うばかりでした。
つづく