東京旅行と翌日
楽しすぎた二泊三日の東京旅行明け、今日はいつも通りより少し早めに目が覚めた月曜日だった。
予定より若干早く起きる度、いつも損した気分になる。なぜなら二度寝をするには時間が足りず、下の階に向かうには少し早すぎるのだ。
しかも早く起きたって、朝の習慣といえば、いつも使っているコスメレビューサイトの公式アプリを開き、ログインスタンプを押すことくらいだった。
1ヶ月間、毎日欠かさずにスタンプを押すと、通販で使えるお金に等しいポイントが貰える仕組みだ。
わたしは行動を起こすのに腰が重く、直ぐに忘れてしまう頭なので、「後回し」という行動との相性が悪すぎる。継続が望ましいログインスタンプにおいて、朝起きてすぐに押すことはわたしの性質と生活に合っていた。
よし、iPhoneの画面を点けたらそのアプリを開こう、と決意して少しだけ目を瞑る。決して二度寝が得意ではないが、これは気休め程度に脳を休ませたかったわたしのある種おまじないのような行動だ。稀によくやる。視覚情報を遮断してみると、次には聴覚が強くなってゆく。
耳には下の階では母がバタバタと顔を洗ったり何だりをしている音が入ってきて、その数分後にはすぐ向かいの部屋から弟が起床し、階段を降りる音が聞こえてきた。
いつもの生活がまた始まる音がして、昨日までの楽しかった旅行はもう過ぎ去ってしまったのだとひどく分かってしまい、寂しかった。
何がそんなに楽しかったかと言われたら、なんだろうか。
そもそも今回の旅行は、ある切符を活用してみたかった計画されたものだった。
それは平日限定の1日間だけ、JR東日本の路線がエリア対象内であれば1万円で乗り放題・新幹線なら指定席は2回分乗れる切符、通称“キュンパス”。
期間限定で販売されていたため、これを使って旅行を楽しもうという魂胆だ。
わたしの居住地は東北の最北県であり、新幹線の指定席をとって1万円で東京に行くのは片道でも十分にお得だった。
そして欲張り、東京のみならず鎌倉観光をしたくなって、初日はいざ鎌倉!とした。
出発前に現地の記憶をシュミレートして「多分暑いだろう」と考え、着ていったアウターは母から借りたデニムジャケット。予想外、現地に着いたら風は冷たくて凍えるようだった。
というか、東京に着いてから街ゆく人 すれ違う人たち揃って冬のコートじゃないか!わたしだけが春の装い…いや、外国の方はたまに寒空の下であろうと半袖や短パンだからそれより季節感はある——またそれとは別の話か。
よく考えてみたら多数派になれなくてもそれはそれで話のネタになるからいいんだ、当時のわたしはそうは思わなかったけど。
やっと“春を先取りした格好のお上りさん”であるわたしを活用できたが、そもそも二月の記憶って難易度高い。ましてや普段暮らしてる場所と離れた場所に行くと考えると更に記憶をよむのが難しい。
服装の季節感がズレている自覚をしてしまってから、東京を観光中は電車に乗るたび恥ずかしさを感じていた。
前提として、誰もわたしの事を見てない国だと分かっていたつもりだが、だからと言って周りから明らかに浮いているのは居心地がより一層悪くなる。
ちっぽけな自尊心を守るためにはなるべく避けたいものだ。
でも楽しかったってここに記す。
都現美の企画展 二つとも面白かった!
片方はずっしり重く、もう一方は極めてユニークな内容と感じた。やはり都現美はわたしが一番好きな美術館に違いない、規模も展示も。
あとは伊勢丹で接客してくれた店員さんのおかげで素敵な香水に出会えた。
母から東京土産のお使いを頼まれ、日本橋まで歩いたのも良かった。
秋田市で馴染みがあったブックカフェと、明らかに同じ系列のカフェが日本橋にもあるのを偶然見つけた。それは黒澤文庫というカフェであり、少し並んだけれど入店でき、お陰でゆったりとした時間を過ごした。
そしたら帰りの新幹線ギリギリのお時間になって、最後はキャリーケースを抱えて階段を走った。汗だくだった。さっきまでのゆったりは何処に行ったのか。
ああ、三日間の日程だった旅行について思い出せば、やっぱり一番新しい三日目の記憶が鮮明だから、ついそれに引っ張られてしまうかも。
鮮度を保っているうちに記録に残すことはかなり重要だということなんだ。
胸いっぱいの旅行後ですら労働者に戻った週初めの仕事も、殆どいつもと変わらず無事に終わった。今日は早く眠ろう。
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