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日本の爬虫類③ ナミヘビ科

ナミヘビ科

100属あまりを含むヘビ類のなかで最大のグループ。オーストラリアの一部を除いて全世界に分布している。日本では4属11種3亜種が確認されている
頭部はよく分化した鱗板で覆われている。鼻孔は基本的には吻の側面にある。小型のものから3mを超す大型の種までさまざまな種がいる。卵生のものと胎生のものとがいる(※日本産はすべて卵生)。体鱗は多少、瓦状に重なり合っている。腹板がよく発達し、日本産の種はすべて尾下板が対になっている。

■アオヘビ属 Cyclophiops

琉球列島および台湾、中国、インドシナに分布し、6種が確認されている。眼の大きさは中くらいで、瞳孔は丸い。体鱗は基本的には15または17列。旧分類ではナメラ属Elapheに近縁のグループとされていたが、分類が見直されてアオヘビ属とされた。日本には琉球列島産の2種が棲息する。

リュウキュウアオヘビ Cyclophiops semicarinatus

琉球列島の固有種で、奄美諸島と沖縄諸島のほとんどに棲息する。日中に日光浴する様子が確認されているが、夜間も行動することがある。主に森林や原野に棲息する。5−10月にかけて活発に行動し、ミミズを好んで食べる。冬季には活動量が落ちるが冬眠はしない。
頭が小さく、太さは頸部と同大。頭胴部および尾部の背面は緑色または灰色がかった黄色をしている。体鱗は胴のどの部分でも15列。背中よりの鱗には隆条がある。頭胴長はほとんどのものが750−1000mmほどだが、宝島の集団のみ矮性化している。尾長は頭胴長の25%ぐらい。
▪繁殖:交尾期は4−5月と8−9月

サキシマアオヘビ Cyclophiops herminae

琉球列島の固有種で、八重山諸島の石垣島、小浜島、黒島、西表島、波照間島に棲息する。平地でも確認があるが、主に山地に棲息している。ミミズを専食していると思われる。
基本的な形態はリュウキュウアオヘビに似る。リュウキュウアオヘビと比べるて胴部が太く、頭部がやや短い。体鱗は胴のどの部分でも17列(まれに19列)、鱗は大部分が平滑、一部胴の後部と尾部では背側の鱗基部に隆条がある。頭胴長は400−750mmほどで、尾長は頭胴長の20−25%ほど。
環境省RDB:準絶滅危惧(NT)


■オオカミヘビ属 Lycodon

インド、スリランカから中国、東南アジア、台湾、日本に分布し、約60種が報告されている。低地から高地までさまざまな環境に棲息している。食性は幅広く、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類などを捕食する。日本には4種1亜種が棲息する。旧分類では一部の種がマダラヘビ属Dinodonとされていたが、明瞭の違いがなく、かつ最近の分子系統解析の結果、マダラヘビ属をオオカミヘビ属の異名として扱うことになった。

サキシマバイカダ Lycodon multifasciatus

宮古諸島の宮古島、伊良部島、下地島、八重山諸島の石垣島、西表島に分布する。夜行性で樹によく登り、野外ではトカゲ類を食べることが報告されているが、生態は不明な点が多い。
体鱗は胴の大部分で17列(頸部の一部で19列)、後方では15列。外側の数列以外には弱い隆条がある。頭胴長は500-750mmほどで、尾長は雄で頭胴長の30%ほど。

シロマダラ Lycodon orientalis

日本固有種。北海道、本州、四国、九州および周辺の島嶼に分布する。熱帯に分布するマダラヘビ類の分布北限である。夜行性で、日中は倒木や石の下などに隠れている。主にトカゲや小さなヘビを食べるが、甲虫など昆虫類を食べることもある。
体は細身背面は淡灰褐色または灰褐色で、胴には40個、尾には15−20個ぐらいの横帯がある。瞳孔は縦長、虹彩全体が黒い。歯の大きさは生えている場所によってかなり異なる。体鱗は胴の大部分で17列、頸部で19列、後方では15列。外側の数列以外には弱い隆条がある。頭胴長は240-600mmほどで、尾長は雄で頭胴長の20−25%ほど。
▪繁殖:1−9個の卵を産む。40−45日間で孵化する。

アカマタ Lycodon semicarinatus

奄美諸島と沖縄諸島の固有種。人家の近くの耕地や森林の中など分布域は幅広い。夜行性でトカゲやヘビなどの爬虫類を中心に魚類、両生類、鳥類なども食べる。
日本産のオオカミヘビ属では最大。頭部はやや大きめで吻端が少しとがる。体鱗は胴の大部分で17列、頸部で19列(まれに17列)、後方では15列となる。頭胴長は600−1600mmほどで、尾長は頭胴長の25%ぐらい。
▪繁殖:6−7月にかけて、4−8個の卵を産む。

アカマダラ Lycodon rufozonatus rufozonatus


サキシママダラ Lycodon rufozonatus walli


■ジムグリ属 Euprepiophis

ミャンマーからベトナム北部、中国、台湾、日本にかけて分布する。3種が知られており、日本には1種が棲息する。低地から高地のおもに森林に棲息する。旧分類ではナメラ属Elapheとされていたが、最近の分類によってナメラ属との遺伝的な隔たりがあり、独立属として扱われるようになった。

ジムグリ Euprepiophis conspicillayus

北海道、本州、四国、九州および周辺の島嶼に分布する。主に昼行性で、低地から亜高山帯の林の中でも見つかる。野外では小型哺乳類を食べることが報告されている。、生態は不明な点が多い。
体鱗は胴の大部分で21列、頸部では一般的には23列、後方では19列。外側の数列に弱い隆条があるが、わかりにくい個体もいる。頭胴長は500-850mmほどで、尾長は雄で頭胴長の20-25%ほど。
▪繁殖:交尾期は4−5月で、3−7個ほどの卵を産む。48−56日間で孵化する。


栃木県茂木町での確認例

シロマダラとジムグリが確認されている。シロマダラは発見例が少ないためか地元新聞で「幻のヘビ」として扱われることがあるが、1年間に少なくとも1匹は目撃するため、実際にはそれなりの個体数がいるものと推定される。
ジムグリは昼行性のため、林の中を徘徊する様子が観察される。ロードキルの個体を目撃したこともある。

【引用・参考文献】
新 日本両生爬虫類図鑑 サンライズ出版
山渓ハンディ図鑑10 増補改訂 日本のカメ・トカゲ・ヘビ 山と渓谷社
日本のレッドデータ検索システム http://jpnrdb.com/aboutsite.html

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