映画『ストーンウォール』
まだ同性愛者に対する差別が激しい頃のアメリカを描いた映画。
田舎の男子高校生がゲイだと発覚し、町にいられなくなり高校も辞めて、NYへ行く。そこで同性愛者は売春しか仕事もなくホームレス同然の生活。一時は希望を失いつつも、同性愛者として違う生き方がある事も知る。
社会の弱者は結局のところ、売春か他の犯罪に走るのは同性愛者であっても、家庭の事情、その他諸々でも同じことになるように思えた。社会から違うマイノリティであっても受け入れて、保護するべきだと思う。
そして、差別をしても何もなくならない。他者との違いがあっても危険がないのであれば、何故隣人として過ごせないのか? 必死になりマジョリティである人間はマイノリティが恐怖である。自らの狭い世界観の崩壊と今までの労力の無駄に絶望するからだ。
よくマイノリティだから出来ないとか、◯◯だから出来ないとか平気で口にする人がいるけれども、それは違う。環境が揃っていなかったり、またマイノリティ側も固定概念に縛られて可能性を失っているようにも見える。諦めずに誇りを持って欲しいと思う。
同性愛者解放の運動は固定概念からの解放にも見えて来る。
暴動などの暴力行為で抵抗する点は賛成は出来ないが、ただ時には強く声を上げて訴える必要はある。残念ながら世の中はそんなに平和には行かない。今でも差別的弾圧には大きな声を上げて戦う場面も多々ある。そうしないと権利を搾取されてしまうのだろう。マイノリティで生きるのはそう簡単ではないと事件が起こるたびに思い知らされる。
映画としてはどんなに辛い事があっても乗り越えて幸せになっていくという展開がアメリカ映画らしい。ただ、この映画には希望が欲しいし、最後に認められていくのが分かるから安心して観れる。
映像もクリアで綺麗な色合いで、登場人物も60年代らしい古めかしさはあるが、洗練されていてファッショナブル。薬物使用のシーンや露骨な性描写もあるが、ある程度大人であれば多くの人が楽しめると思う。
※ついでにアメリカ版のポスターのハッキリした色合いがPOPで個人的には好み。『トレインスポッティング』の雰囲気に似ているかも。